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『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

「博聞強記は聡明の横なり。精義入神は聡明の竪なり。」

『何事でも博く聞いて諸々の事情に精しく,記憶の強いということは,賢明の横幅である。深く道理を探求して,神妙な奥義に入るというのは賢明の奥行きである。』

(「言志四録」佐藤一斎著/川上正光訳 講談社学術文庫)






<しの訳>

▼ スゴイ博識と言えば?

南方熊楠というヒトはスゴイ。

明治から昭和初期に活躍した知る人ぞ知る自然科学者。

逸話は多いが,それは「くまぐす外伝」などの本を読んでいただくとして・・・

とにかく「知の怪物」とか「孤高の学者」という形容が相応しい。

そんな彼は,当時まだ東洋の一小国に過ぎなかった日本が欧米列強と伍していく在り方に,心を砕いて意見をしたと言われる。

その発想は当時にしてすでにグローバルだ。

そして帰国後,大学を始め幾つかの誘いがあったにもかかわらず,在野を貫いた。



▼ 根っからの職人と言えば?

片や,イチロー選手。

先般のWBC二連覇の折りの活躍は,これからも皆の記憶に残るだろう。

彼のバッティングをして,「職人技」だという形容もよく成される。

神妙な奥義とやらへ入っているようにも見える。

バッティング理論に関する「奥行き」は相当深そうだ。

そんな彼から,先日のWBC予選東京ラウンドが(日の丸を背負った)最後の日本お目見えという発言も飛び出した。

シアトルとは2012年まで大型契約が残っているし・・・・・

たぶん日本球界には戻らないんだろうなぁ。



どちらも日本人としてのアイデンティティーを強く意識している。

そして当たり前のことなんだが,日本人たることを誇っている。

しかしそんな賢明なる人達が,「日本システム」に属さないのが気になる・・・・・

ちょっと寂しい。



▼ 冗長とは?

とある情報システムのアンケートにて。

タダでさえ面倒な作業なのに,次のようなワケわからん質問項目があってイライラする。

「・・・回線故障時の対応について,他回線等による冗長化を実施していますか?」

はぁ~?

回線の冗長化???

なんやねん,それ?

広辞苑では「冗長=くだくだしく長いこと」とある。

だったらば,「回線の冗長化」とは一体どんな状態なのか?

回線の配線を意味なく無用に長くすること?(ホンマ意味無さそう)

回線が混線して,ワケわからんことをのべつ幕なしにしゃべりだすのか?(ある意味コワい)

回線容量が少ない?ため,ゆっくりのんびりしゃべり始めるのか?(ボイスチェンジャーかっ?)

一般ピープルにとっては,ワケわからん言葉だ。



▼ 「余剰」のことらしい

調べてみると,「冗長化 redundancy ~ システムに何らかの障害が発生した場合に対して,障害発生後でもシステムとしての機能を維持し続けられるように予備のシステムを数多くバックアップとして配置すること」とある(ウィキペディアなどより)。

たとえば,せっかく作った大事なデータ・ファイルを保存する場合。

PCに保存しておくのみでは,何が起こるか分からない。

突然PCがクラッシュしたり,ひょっとするとPCごと盗まれるかも・・・・・

なのでPC保存に加えて,外付けHDDやウェブ上のブリーフケースのようなサイトに情報を保存しておく。

こういった万が一の障害時にシステム稼働を保障する工夫・工面のこと。

畑違いのITや情報分野では頻出する用語らしい。

なんで「冗長化」なのか?

日本語古来の意味と随分ズレがあるような気がするが・・・・・

それはおそらく,redundancy(余剰・冗長)の日本語訳なんだろう。

その真偽のほどや日本語訳がうまいというかヘンというかは置いといて,この「冗長化」は突っ込みどころ満載だ。



▼ 例題1

「この春から,自分・アミ・テルの3人体制になった病理部。

今までは業務時間の拘束が長くて,正直言って風邪をひくこともできなかった。

一名増員となったこれからは,少し楽になるかもしれん。

これからも,病理部の人材的な冗長化をさらに進めて,病理診断の高精度化と病院の安定稼働に貢献していきたい」

・・・・・このように「システム」を「病理部人材」とすると,なんかかっこいいことを言っている気になる。



▼ 例題2

「紀○,冗長に耐えきれず離婚!

豪華披露宴や互いの収入差などから“格差婚”などと話題を集めたゴールデンカップルが,わずか2年で終焉を迎えた。

原因が夫側の配偶者の冗長化であると言われ,会見では「すべては僕の責任。彼女の心を傷つけ,申し訳ございません」と自身の非を認めて頭を下げた」

・・・・・こんなふうに「システム」を「結婚」に読み換えると,よくある浮気→離婚という三面記事見出しにも応用可?


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他の人より多めの仕事をかかえていながら,忙しそうに振る舞うこともなく,いつもユーモアを欠かさない。
それでいて情報量が豊かで,残業は週に一度だけ。
どこに秘密があるのかと調べさせてもらった。

・朝は定刻より三十分から四十分早めに出勤し,入念に仕事の準備をしている。
・始業時刻から一時間ほどは,電話や上司との打ち合わせなど人との折衝に費やす。
・昼休みは食事のあと,資料室で新聞や雑誌のたぐいに目を通していることが多い。
・資料室の専属職員と親しく,定期的に切り抜きのコピーなどをもらっている。
・引きだしのファイリングが驚くほど充実しており,分類が素晴らしい。
・自分の部署の若手社員と週に一度,テーマを決めて研究会を行っている。
・残業は木曜日にしかしないが,その日は十一時すぎまで帰らない。
・金曜日は異業種の人との勉強会に参加している。

  本 「仕事に活かす<論理思考>」  本田 有明著  ちくま新書

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▼ できるヒトとは?

これまでに見聞きしてきた仕事ができるヒト。

・人任せがうまい

すべてを抱え込まない。

うまくヒトを巻き込んで,頼めることは頼んでしまう。

・雑用をその時その場で処理する

何かの頼まれごとがあったとして,ちょっとしたことならその場で解決する。

後に積み残しをなるべくしない。

・戦略的というか先手必勝

たぶんAという仕事をやらなければならなくなりそうだ。

ならば,Bが問題になってくるだろうから,そのためにCを準備しておいて・・・

こんな感じで,先読みして仕事を戦略的に計画できる。

ばっと思いついたことは,こんな所か。



▼ 自分の場合は?

・朝は定刻より一時間早めに出勤し,朝食用のパンを食べつつ本を読む。

・始業時刻からニ時間ほどは検鏡に集中して,電話や上司との打ち合わせは極力しない。

・昼休みは食事のあと,笑っていいともに目を通していることが多い。

・図書館の専属職員とは親しくなく,切り抜きのコピーなどはゴミになるのでもらわない。

・引きだしのファイリングはせず,書類保管は秘書さん任せ。

・自分の部署の若手と月に一度,お店を決めて飲み会を行っている。

・残業は木曜日のみしないし,その日は図書館で本を借りる。

・月曜日は他科の人とのカンファに参加しているが,よく居眠りをする。


なんか違うな,こりゃあ・・・・・



ハラスメント

悩ますこと・嫌がらせ。



▼ 流行りです

ハラスメント流行りだ。

セクシャルハラスメント・パワーハラスメント・アルコールハラスメント・モラルハラスメント・アカデミックハラスメント・・・・・

略して,セクハラ・パワハラ・アルハラ・モラハラ・アカハラ・アオハラ・シロハラ?

自分のような教員の端くれにとっては,実は身近な問題のハラスメント。

これらの被害者ではなく,加害者になる可能性がある。

っていうか,教育の機会はその危険性と隣合わせと言ってもいい。

できれば関係したくはないが・・・

まったく心当たりがないかと言われれば,そんなこともない気がする。



▼ 身近な問題?

たとえば,自分の後輩であるところのアミ先生に対して,先日の教育的指導のヒトこま。

シノ「何やってんねんっ!・・・この境界部分のガンが目に入らんか?」

アミ「はぁ・・・すいません」

シノ「こんなん見逃してたら病理医の資格無いわ・・・ドアホッ」

書き出してみれば,結構なコトを言っている。

ここにもう一つ二つ感情の拗れなどが加わると,「モラハラ」になるんだろう。

しかし,こちらとしては感情の赴くまま暴言を吐いているワケではない。

小さなことなど馬耳東風・打たれてもへらへら笑っているアミ先生。

「あっけらかのかー」な彼女には,これくらいのキツイことを言わないと・・・と思ってのこと。



▼ 誤解なきように

一方,この4月から病理部の一員となったテル先生。

ほとんど何も分からない彼女と一緒に検鏡する時間を,毎日1時間以上は割いている。

その教育的指導のヒトこまは・・・・・

シノ「この辺がガンで,だいたいこの辺まで広がってるやん」

テル「はぁ・・・でも境界が分かりません」

シノ「そやなぁ・・・境界は分かりにくいかもしれんし,見逃すかもしれんなぁ・・・まぁ最初はしょうがないけどなぁ」

声のトーンから諭す内容までアミの場合と対照的。

なのでアミへの罵倒の後に「テルちゃん」などと軽口をたたいたりすると,「セクハラ」と判断されるかもしれん。

こちらとしては,なにも感情の赴くままにジェントル・ティーチングに徹しているワケではない。

それは,テルさんが新人・おとなしい・物静か・しっかり者・秘めたプライドあり?っということを慮ってのこと。



ハラスメントと問題視されるには,ある一線を越えるようなひどさや悪意があるのだろう。

自分的には,問題となるレベルには及ばないとは思っているが・・・

けれども,ここ最近の自分の教育的言動が一貫性を欠いている点は,少し気になっている。

新人さんを教えるという慣れないことをしているからか?



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いわゆる恩や義理,恥などの概念が重視されるのは,
普遍的な善より人それぞれの個別の事情が優先することだと言い換えてもよい。
正義よりお家大事,要するに「うちわの理屈」なのだ。
その心性が,日本に欧米流の厳格な倫理を根づかせなかった・・・・・

食材の偽装表示であれリコール隠しであれ虚偽報告であれ,
告発された会社の多くでは十年二十年前から同じことが行われてきた。
隠蔽が企業体質そのものになったといってもよい。
日本人性悪説を声高に唱えるつもりはないが,
どうも私たちは生まじめに正義を論じる民族ではないらしい・・・・・

  本 「仕事に活かす<論理思考>」  本田 有明著  ちくま新書

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▼ うちわ至上主義

一般的な日本人論は置いといて・・・

うちわがなにより大事。

所属する組織のためならイヤなことでもやらねばならぬ。

うちわを放れれば,絶対的に従う正義がない。

よって旅の恥はかき捨て。

あとは野となれ山となれ。

・・・・・自分の場合,言われてみれば確かにそうだ。



▼ 患者様のため?

たとえば病院における絶対的普遍的な善とは何か?

それは「患者さんのため」。

多くの病院の理念には,「患者中心」とか「あなたの病院」などの文字が躍る。

しかし,どれくらいこの言葉が忠実に守られているのだろう?

現代医療が医療従事者の純真な奉仕の上に成り立っていることは否定しないが,

多かれ少なかれ,その意志が揺さぶられグラついているのも事実。

気持ちは「患者中心」を厳格に貫きたいが,そうは問屋が卸さない・・・・・

そんな自己矛盾に悩む日々が実情ではないか?

迷える(多くの)私たちには,普遍的な正義・絶対的な拠り所がないらしいのを自戒するべきという指摘は,傾聴に値する。

それにしても厳格主義以外はすべて「見て見ぬふり」だというのは・・・・・耳が痛い。