まるで動く美術館。映画「インモータルズ神々の戦い」紹介、他

▼まるで動く美術館。映画「インモータルズ神々の戦い」

(C) 2010 War of the Gods, LLC. All Rights Reserved.

今週末公開の映画で注目を集めているのが
ブラッド・ピット主演の実話ドラマ「マネーボール」と
オスカー受賞俳優が多数出演する感染モノ「コンテイジョン」の2本であろう。
興収的にもおそらくこの2本が上位に食い込んでくると思うのだが
私が断然お勧めしたいのが、今回紹介する「インモータルズ神々の戦い」。

ジェニファー・ロペス主演のサイコサスペンス「ザ・セル」で衝撃的なデビューを飾り
続く「落下の王国」では世界遺産を巡る長期ロケーションを敢行し
CGに頼らない自然界の美しさをフィルムに閉じ込めて見せたターセム・シン監督の最新作。
私自身がターセム監督の大ファンだということを差し引いても
ギリシャ神話を題材にした「300＜スリーハンドレッド＞」や
「タイタンの戦い」などとは一線を画す傑作に仕上がっている。

主人公のテセウスにはウディ・アレンの「人生万歳！」で注目を集めたヘンリー・カヴィル。
2013年公開予定の「スーパーマン」でも主人公に抜擢されるなど
今後の活躍が期待されている若手注目株の筆頭とも言える存在。
闇の王ハイペリオンには「レスラー」のミッキー・ローク、
ゼウスには現在公開中の「三銃士」でアラミスを演じているルーク・エヴァンス、
未来を予見する美少女パイドラには、「スラムドッグ＄ミリオネア」でヒロインを務め
現在公開中の「猿の惑星：創世記」にも出演中のフリーダ・ピント。
ターセム作品には欠かせない独創的な衣装デザインは、今回も石岡瑛子が担当している。

しのごの言うよりも映像を観ていただいた方が早いと思うので
主要登場人物3名の動画を紹介。
まずは主人公テセウス。
ゼウスに認められ、長きに渡って鍛錬を受けてきた人間の青年。

占い師の中でも唯一の処女であり、未来を予見する能力を持った少女パイドラ。
テセウスが選ばれし者であることをいち早く発見し、行動を共にする。

アテナやポセイドンといった神々を司るゼウス。
人間に対して厳しくも深い愛情を持ち、テセウスを優秀な戦士へと育て上げた。

ストーリーはとても単純で、ざっくり言えば「光と闇の戦い」である。
タイタン族の封印を解くため、神器「エピロスの弓」を欲するハイペリオンと、
邪悪な者の手に弓が渡るのを阻止せんとする人間との戦いを描いている。

ターセム個人の死生観や思想が色濃く出ていた「落下の王国」から一転し
今作はバリバリのハリウッドメジャー。しかもギリシャ神話が題材ということで、
雑音に塗れてターセムの持つ独自のカラーが薄くなってしまうのではと
懸念していたのだが、全くの杞憂だった。

映像と迫力だけがウリの大人向けアニメといった雰囲気の「300」や
3Dを用いたアトラクションムービーに過ぎなかった「タイタンの戦い」に比べ
ギリシャ神話の世界をとても身近に感じられる作りで
どれだけ現実離れした風景にあっても、常に人々の体温が感じられるのが素晴らしい。
題材が題材だけに、「落下の王国」のような全編ロケーションによる
実写映像とはいかなかったが、全編実写でないことを逆手にとった絵画風の映像は
「300」のスタッフとターセムのイマジネーションが高いレベルで融合した証と言えよう。
ターセム作品に欠かせない「美女」「サディスティック」「残虐」に
活劇としてのダイナミズムが加わり、
「動く美術館」としか言い用のないほど美しい映像が111分間展開する。

キャストも皆魅力的で文句無し、と言いたいところではあるが
ミッキー・ローク演じるハイペリオンの邪悪さが浅いのが残念。
アル中の親父が暴れているようにしか見えず、神話の世界観に合っていない。
ミッキー・ロークは嫌いではないのだが、ここだけはミス・キャストだったように思う。

ギリシャ神話モノは辟易という方でも絶対に損はしないので
あと1回だけ劇場に足を運んで欲しい。
3D・2Dが同時公開だが、3Dにこだわらなくても十分楽しめる。
特にターセム作品に触れたことのない方ならば
今までに見た事の無い映像体験が出来ること請け合い。
ただし、残虐シーンもかなり含まれているのでその点だけはご注意を。

映画「インモータルズ神々の戦い」は明日11日より公開。

■DVD：「ザ・セルデラックス版」
■Blu-ray：「ザ・フォール/落下の王国」

■Blu-ray：「300〈スリーハンドレッド〉コンプリート・エクスペリエンス」
■Blu-ray：「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」
■Blu-ray：「タイタンの戦い」

▼3DS「スーパーマリオ3Dランド」初週で34万本を販売、3DSは14万台

11月03日発売■3DS：「スーパーマリオ3Dランド」

3Dマリオとしては過去最高の初動記録を達成。
3DS用ソフトとしても「ゼルダの伝説時のオカリナ3D」が持っていた
16万本をダブルスコアで引き離しての歴代1位。
ただし、今後「マリオカート」「モンハン3G」などが控えているので
この記録は短命に終わる可能性も。
本体の牽引効果も高く、新色「アイスホワイト」の投入もあり約14万台を販売した。
口コミ効果が高いのか、当BLOG経由でも発売日以降も注文が途切れておらず
定番商品として出荷が続いている。

ちなみにまだワールド6。
取り逃したスターを集めるべく前のステージをプレイし
ようやく全ステージで3つ獲得した。
5-2だけがどうしても見つからず、ネットで調べてしまったことを少し後悔。
全部自力でクリアしたかったのだが。
ともかく、3DSを持っていてこれを遊ばないのは絶対の損。
3Dが苦手でも、とにかく一度プレイしてみるべし。

店頭での数分試遊など、落ち着いた環境でないと面白さが
伝わりにくいかも知れない（実際私がそうだった）ので、
持っている友人などに借りて数ステージ遊ばせてもらうのがベターだ。

■3DS：「ニンテンドー3DS ホワイト／レッド／ピンク／ブラック／ブルー」

本体の動きもますます活性化してきた。
今年末はソフト・ハード共に何かと商材不足になると言われているので
本体購入予定の方はくれぐれもご注意を。

▼新作Blu-ray／DVD情報

02月02日発売■Blu-ray+DVD：「くまのプーさん」

ディズニークラシックの血を受け継いだ
古き良き2Dのセルアニメーションの手法を用いて
水彩画タッチの絵柄を再現して見せた「くまのプーさん」がBlu-ray／DVD化。

01月06日発売■DVD：「それでも、生きてゆくディレクターズカット完全版」

今年放送された連続ドラマの中では「仁完結編」よりも「南極大陸」よりも
「家政婦のミタ」よりも印象に残っている「それでも、生きてゆく」がDVD化。
某事件を露骨に連想される内容ではあるが、瑛太と満島ひかりの関係や
二人の母親の演じた大竹しのぶと風吹ジュンの葛藤など、
地上波のドラマでこれだけのものが見られることは本当に稀。
坂元裕二は「東京ラブストーリー」の頃からずっと好きではない脚本家だったのだが
松雪泰子と芦田愛菜の「Mother」からググンと成長した。
プライベートで何か心境の変化でもあったのだろうか。

02月02日発売■Blu-ray：「うさぎドロップ」

松山ケンイチと芦田愛菜による「うさぎドロップ」実写版もBlu-ray化。

02月03日発売■DVD：「デンデラ」

老女優達が人喰い熊と格闘するマニア必見の「デンデラ」がDVD化。
邦画にも関わらず定価で2500円、Amazonの予約価格なら1900円ほどと驚くほど安い。
これは買ってもいいな。

▼新作ホビー情報

▼ヤマト新作映画に監督「伝えていかねば」

1974年（昭49）に日本テレビ系で放送された人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」が、
38年ぶりに復活し、来年4月7日から劇場公開されることが9日、分かった。
タイトルは「宇宙戦艦ヤマト2199」。
ベースとなる物語、2199年という時代設定はシリーズ初代と同じだが
監督に過去のシリーズで設定やメカニックデザインを担当した
出渕裕氏（52）を起用するなど製作陣を一新。
ビジュアルなどを再構築し、新作として公開する。

【関連記事】わしはこんなヤマト、みとうはなかった。映画「宇宙戦艦ヤマト復活篇」
【関連記事】【ネタバレ有】ココが凄いよ「SPACE BATTLESHIP ヤマト」（実写版宇宙戦艦ヤマト）

初代「ヤマト」のリメイクとのことなのでまたイスカンダルに行くらしい。
今回が「38年振り」なら、2009年の「復活篇」は一体何だったのか。
西崎義展プロデューサーが昨年お亡くなりになったからと言って
「第一部・完」で〆た前作の立つ瀬がなくなってしまう。
この記事で楽しみなのは「テレビシリーズなど新作の制作を始めることを明言」というくだり。
企画倒れにならず、なんとか実現して欲しい。

▼今週発売の新作ダイジェスト