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*タイトルにもある通り、今回の記事は多分にネタバレを含んでいるため
予備知識無しで観に行きたい方は読まないことをお勧めしておきます。
(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会
<キャスト>
木村拓哉 古代進
黒木メイサ 森雪
柳葉敏郎 真田志郎
緒形直人 島大介
西田敏行 徳川機関長
高島礼子 佐渡先生
堤真一 古代守
橋爪功 藤堂平九郎
池内博之 斉藤始
マイコ 相原
矢柴俊博 南部康雄
波岡一喜 加藤
三浦貴大 古屋
斎藤工 山本
山崎努 沖田艦長
<スタッフ>
監督:山崎貴(「ALWAYS 三丁目の夕日」「BALLAD 名もなき恋のうた」)
脚本:佐藤嗣麻子(「ゴースト もういちど抱きしめたい」「K-20 怪人二十面相・伝」)
「復活篇」の傷がようやく癒えてきたところに、今度はキムタク古代か・・・
佐渡先生が女になっただの、雪が沢尻エリカから黒木メイサに代わっただの、
次々に入って来る事前情報の大半が、ヤマトで育ってきた私を
不安の淵に突き落とすようなものばかりで、正直ほとんど期待していなかった。
が、観終わって確信した。
これは紛れもなく「宇宙戦艦ヤマト」である。
ベースになっているアニメの劇場版シリーズからして、
「なぜ宇宙空間なのにデスラーのマントがヒラヒラしているんだ」
「沖田艦長は実は生きていたっていうのは無理があり過ぎる」など
突っ込みどころ満載なところも含めて人気を得ていた(と私は思う)ので
今回の実写版も、白組のVFX技術をキムタクの老化防止に注いでしまった
無駄遣いも含めて、充分に突っ込み、笑わせてもらった。
昨年の「復活篇」が笑って許すレベルではなかったのに対し、
こちらは「ちゃんと作られている」上で「無茶苦茶」なので、
不思議と怒りが沸いてこないのだ。
この辺の感覚は、「ヤマト」で育ってきた世代ならお分かりいただけると思う。
2002年公開の「Returner / リターナー」から8年の歳月を経て、
山崎貴監督は「日本でまともなSFは無理」という固定概念を打ち破るべく、
SFアニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」を題材にしてリベンジに挑んだ。
果たしてその結果は・・・
今回は「SPACE BATTLESHIP ヤマト」のどこが凄いのか、
笑いどころも含めて紹介しよう。
なお、冒頭でも書いた通り、今回の記事は多分にネタバレを含んでいるため
予備知識無しで観に行きたい方は読まないことをお勧めしておきます。
(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会
▼ストーリーが「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」とのミックスだった
放射能除去装置をもらいにイスカンダルまで旅に出る
劇場版第1作を実写化したものかと思っていたので、まずここに驚いた。
序盤は劇場版第1作をベースに展開し、後半はほとんど「さらば」へと変貌する。
途中まではシリーズ化を念頭に置いているのだろうと思いながら観ていたのだが、
登場人物が次々に死んでゆく「さらば」を映像化してしまったので続編の可能性は低い。
実写版「ヤマト」は1回こっきりの企画なのか。
▼木村拓哉の古代進は予想よりずっとマトモ
絶対に駄目だろうと思っていた木村拓哉の古代進は
青臭い台詞や艦長代理としての未熟さが
「若さ故」で許せない年齢に達していることを除けば及第点。
ただ、アドリブなのか、予め用意された台詞なのか、
ところどころに木村拓哉らしさを放り込んでくるのは困りもの。
アドリブなら却下すべきだったし、脚本なら木村拓哉に気を遣い過ぎだ。
(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会
▼黒木メイサの森雪がものすごいツンデレ
アニメ版の森雪は、古代の後ろを一歩退いて付いてくるような女性だった。
しかし、現代の女性はそれではいけないらしく、森雪はスーパーウーマンになっていた。
何しろ、ブラックタイガー隊のエースパイロットである。
他のメンバーと馴れ合うことなくひとりで酒を飲み、
古代を無能者呼ばわりして殴ったりもする。
ところが、とある事件をきっかけにキャラチェンジ。
ワープ直前ですら古代と共に艦内で抱き合い
「あなたがいなければ生きていけない」とデレ全開になってしまう。
余談だが、二人が抱き合った瞬間にワープに突入してしまい、
押し倒すシーンがスローモーションになったのは笑った。
▼柳葉敏郎の真田にかける愛情は本物
キムタクやメイサが新たな解釈の古代や雪を演じ、
相原や佐渡先生が女性にかわっている今回の「ヤマト」の中で
柳葉敏郎のストイックさは際立っている。
何もしなくてもそこそこ似ている外見に満足せず、
台詞回しにおいても、青野武が演じた真田志郎を完璧に再現しているのだ。
時代に流されない職人芸を見た気がする。
▼名台詞はきちんと再現
真田が古代に向かって言う「俺はお前のことを弟のように思っていた」や
沖田艦長の最後の台詞「地球か……何もかも皆懐かしい」など
懐かしの名場面はきちんと再現されている。
私的には、いつもは真田に注意されている斉藤が
「慌てず急いで正確にな」と言い返すシーンが入っていたのが特に嬉しかった。
(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会
▼デスラーもスターシアも、人の形をしていない謎の生命体
これが一番驚いた。
「ヤマト」におけるデスラーは「ガンダム」で言うところのシャアであり
ヒーローを喰うほどの人気を得た敵役の元祖のような存在である。
実際、私の姉もデスラーのブロマイドや缶ペンケースを持っていた。
しかし、本作のデスラーには実体がない。
謎の生命体として斉藤の体に乗り移ったり、
「バーチャファイター」のデュラルのようなクリスタルボディで登場する。
スターシアに関しても同様で、地球人との意思疎通は可能なものの、実体を持っていない。
敵側に人の形をしたキャラが一切出て来ないので、
アニメ版にあったような戦場のドラマは生まれない。
古代と雪の恋愛部分が「月9」並に丁寧に描かれているのは、
人間側でドラマを膨らませるしか無かったという理由もあるのでは。
▼アナライザーがまんまトランスフォーマー
■BD:「スター・トレック」
■BD:「トランスフォーマー」
■BD:「トランスフォーマー / リベンジ」
「スタートレック」と「トランスフォーマー」の影響をそこかしこに感じる本作。
イスカンダルでの銃撃戦でアナライザーが戦闘タイプにトランスフォームし
銃を撃ちまくったのには大笑い。「そこまでやるか」と、かえって清々しかった。
白組のVFXは「ALWAYS 三丁目の夕日」と同じく、綺麗に作り過ぎて汚しが足らない。
今後は美麗さではなく質感を重視した進化に精進して欲しい。
「ヤマト」世代でない方にはそこそこ楽しめるSF映画として、
「ヤマト」世代には突っ込みどころ満載の作品として、家族揃って楽しめる娯楽大作。
1800円はちょっと厳しいので、前売り券を買っておくべし。
▼関連商品
11月24日発売■CD:「LOVE LIVES / スティーヴン・タイラー」
11月27日発売■TOY:「超合金魂 GX-57 宇宙戦艦ヤマト 初回特典付き」
11月29日発売■BOOK:「松本零士監修 宇宙戦艦ヤマト 大クロニクル」
12月01日発売■CD:「SPACE BATTLESHIP ヤマト ORIGINAL SOUNDTRACK / 佐藤直紀」
12月01日発売■TOY:「1/500 宇宙戦艦ヤマト」
超合金の出来がかなり良さげで、購入リストに放り込み中。
35%OFF(1,297円)■DVD:「EMOTION the Best 宇宙戦艦ヤマト 劇場版」
35%OFF(1,297円)■DVD:「EMOTION the Best さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」
35%OFF(1,297円)■DVD:「EMOTION the Best 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」
35%OFF(1,297円)■DVD:「EMOTION the Best ヤマトよ永遠に」
35%OFF(1,297円)■DVD:「EMOTION the Best 宇宙戦艦ヤマト 完結編」
「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版シリーズ。
現在、一律35%OFFで販売中なので、全部まとめて買っても6000円ほど。
■BD:「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」
■DVD:「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」
【紹介記事】わしはこんなヤマト、みとうはなかった。映画「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」
今にして思えば、実写版の印象を良くするための
「捨て石」だったのかと思わないでもない。宇宙戦艦エクスペンダブルズか。
■BD:「銀河鉄道999」
■BD:「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅」
松本零士の代表作「銀河鉄道999」の劇場版。
BD化に際しての心配りが素晴らしく、絵も音も納得の仕上がり。
BDユーザーで「999」のファンならば、是非ともセットで揃えておくべし。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
タイトル:SPACE BATTLESHIP ヤマト
配給:東宝
公開日:2010年12月1日
監督:山崎貴
出演者:木村拓哉、緒形直人、黒木メイサ、柳葉敏郎、他
公式サイト:http://yamato-movie.net/
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