- ミスト [DVD]/ポニーキャニオン
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ガラス窓を破るほどの嵐の翌日、スーパーへ買い出しに出掛けたデヴィッド(トーマス・ジェーン)。軍人やパトカーが慌ただしく街を往来し、あっという間に店の外は濃い霧に覆われた。設備点検のために外に出た店員のジム(ウィリアム・サドラー)が不気味な物体に襲われると、店内の人々は次第に理性を失いはじめ……。 (シネマトゥデイ)
★嘘いつわりの無い、衝撃のラスト15分
かなり、賛否両論分かれる作品でしょうか。
しかし、否を唱える人は、きっと根本的にハッピーエンドしか評価できないのかと思ってしまいますね。
この映画は、「後味の悪い映画ランキング」を作らせたら、必ず上位に入るであろう、そのラストシーンの衝撃さで有名な作品です。
「衝撃のラスト」とかいったキャッチコピーはくさるほど見てきましたが、この映画に関してはまさに適切。だれしもが、見終わった後すぐには席を立てないような衝撃さです。
さて、原作はスティーブン・キング。そして監督はもちろん、フランク・ダラボン。
このラストは、原作にはなかったようで、監督自身のオリジナルだそうです。監督が、キングに「このラストにしようかと思うんですが」と聞いたところ、オーケーが出て「私も思いついていたらそうしてただろう」とまで言わせたらしいです。
内容に触れます。
あらすじを見ていただければわかるんですが、ある日街全体が濃い霧に覆われるんですね。
最初はその霧が晴れることを、出先のスーパーの中で気楽に待っていたわけですが、なにやら普通の霧ではないことがわかってきます。いきなり、店の外から、瀕死状態のおっさんが入ってきて、「霧の中に何かいる!」というわけです。こうして、スーパーで足止めを食らってしまう。霧の中に何がいるのかは依然不明なまま。しかし、人を死に追いやる恐怖の何かがいるのだけは感じられるのです。
まぁ、こんな感じです。l
結局昆虫系の新種モンスターが大量発生してるんですが。
それで、僕が言いたいことは、この映画は決してラストだけではないってことですね。
ラストシーンだけが有名で、そこまでがつまらない作品って結構あるんですよ。(「ヴィレッジ」とか)
ミストに関しては作品全体として、飽きさせない作りをしていて、終始ハラハラドキドキできます。
霧から避けるためにスーパーに閉じこもっていたのですが、その中の人間関係が次第におかしくなってきます。極限状態の人間心理は非常に怖いなと思わせますし、本当に怖いのは霧の中のモンスターではなく、人間なのだとまで思わせる描写は素晴らしいと思いました。
そして、問題のラストシーン。
僕はめっちゃ好きです。ハッピーエンドではないということだけは言っておきましょう。
しかし、それでもこのラストは素晴らしいと唸れる。
ラストシーンに至るまでの筋書きが非常にうまいんだろうな、と思いますね。
主人公はどんどん追いやられていって、選択肢がなくなっていくんです。
そして最後にはそうせざるを得なくなってしまう。
そこには決して、見る人に他の選択肢をうかばせないほどの絶望。
この絶望の描き方が非常にうまかったと思うんです。
本人の気持ちになってみてください。なんとかなりそう、と思っていたところに、500メートルはありそうな怪物を目撃してしまう。(人間の想像を超える世界観の描き方も好き)
「もう終わりだ」以外にないと思うんですよね。
あのラストシーンにはまったくの不自然さはなく、ストレスもない。
もうそうせざるを得ない状況に持って行った筋書きが良かったわけです。
その結果、爽快なバッドエンドと、一見矛盾した表現がこの作品にはバシッとはまるように感じました。
多分最初から主人公は、ひかれたレールに沿っていたんだと思います。
全ての行動があのラストにつながってますし、もう変更はきかないんです。
この映画が嫌いな人、だったら他のラストシーンの案出してみてくださいよ。
出ないと思いますよ。だって、あのラストしかあり得ないのだから。
それでも批判するなら、それは単なるバッドエンド嫌いに他ならないわけです。。








