第6話すねこすりの話で涙腺がヤバい、当ブログ主、闇の中のジェイです。

7回その一:幽霊電車

7話は「幽霊電車」の話。元々は1960年に三洋社より出版された『鬼太郎夜話』のエピソード「顔の中の敵」にて登場。男の純情を踏みにじられたねずみ男と人狼の手により亡き者にされかけた鬼太郎の復讐として「幽霊電車」が登場している。少年マガジン版の鬼太郎では1966415日に出版された『別冊少年マガジン 春休みおたのしみ特大号』に「墓場の鬼太郎 ゆうれい電車」が掲載され、登場。おばけを信じない上に鬼太郎を殴った人間に同じ大きさのタンコブを返すために登場した。

原作では鬼太郎とねずみ男以外の人外は亡者と名もなき異形の者どもぐらいしか出て来ないのだが、アニメでは様々な妖怪が登場し、粗暴な人間を驚かしている。

「ゆうれい電車」は第1345期で、「顔の中の敵」もアニメ「墓場鬼太郎」でアニメ化されているので、今回で6回目。墓場は上記の通り、人狼が出ているが、驚かすのは亡者のみ。第4期は基本、鬼太郎ファミリーが驚かす役割として登場している。第1期では化け傘、地魅、つるべ火、土佐ヱ門、二口女、見越し入道、ろくろ首などが、第3期では油すまし、バケ傘、天井さがり、濡れ女、ひょうすべなどが、第5期ではおしろい婆、かわうそ、加牟波理入道、白装束、白坊主、天井さがり、豆腐小僧、ろくろ首などが登場する。

今期も幽霊電車や亡者の他に、多くの妖怪たちが出たようなので、当ブログでは第4回同様、複数回に分けて紹介していく。

 

『墓場鬼太郎読本』によると、終電車のあとに、誰も乗せていない電車が走るという都市伝説があるそうで、それがエピソードの原点になっているという。

実際、手元の資料で電車にまつわる話は狸や狐などが化けていた「偽汽車」や「きさらぎ駅」などの存在しないはずの駅の話が多く、幽霊電車と呼ばれるものはそう多くない。

終電が終わった後に、一人の女性を乗せた臨時便が走り、通りがかりの目撃者が最寄り駅まで追いかけてみたところ、ホームに着いた途端、女もろとも電車が消えてしまったという話が東京渋谷―二子玉川間であったという。

また、駅も線路も無いはずの家の前を電車が走っており、乗客は年寄りや体の弱そうな人たちばかり。その電車は幽霊電車で、死んでいく人を乗せており、見た人は一週間以内に死ぬという話が『不思議な世界を考える会 会報』に報告されている。

 

参考文献

アミューズメント出版部編『アニメ版ゲゲゲの鬼太郎妖怪事典』株式会社講談社2010712

『墓場鬼太郎読本』株式会社角川書店2008722

水木しげる『水木しげる漫画大全集029 ゲゲゲの鬼太郎1』株式会社講談社201363

今野圓輔『日本怪談集―幽霊篇―』株式会社社会思想社1969830

不思議な世界を考える会『怪異百物語10-まだまだあるこわい場所―』株式会社ポプラ社20072

ゴールデンウィークも残り時間が少なくなってまいりました、当ブログ主、闇の中のジェイです。

 6回:すねこすり

6話はすねこすり登場のオリジナル回。

すねこすりは過去のアニメだと第2期、第3期、第5期に登場。第2期では犬たちへの轢き逃げに対する報復に事件を起こし、第3期では劇場版にて敵の本部の扉開閉役として登場した。第5期では岡山県の妖怪四十七士に選ばれたが、活躍する前に……。

漫画では鬼太郎シリーズではなく、『週刊少年マガジン』連載、主人公:山田真吾版『悪魔くん』にて、すでに絶滅した妖怪として登場。敵の力により復活し、ぼたもちを食べている。

2005年に公開された「妖怪大戦争」ではメイン妖怪の一体として「すねこすり」が登場しており、水木先生がコミック化した『水木版妖怪大戦争』にもしっかり登場している。

 

伝承もあまり採取例がない。

岡山県小田郡では犬の形をしたものが雨の降る晩に通行人の股間をこすって通ったといい、井原市七日市町にある井領堂という辻堂附近に出たスネコスリは夜に通行人のすねの間をすり抜けていたという。

上金倉から石寺へ通じる大石坂、下金倉から川関に通じる槌が峠に出現した脛こすりはくり返し脛をこすって通ったといい、人々は夜の通行を恐れたものだという。

山田野理夫氏の『おばけ文庫3 べとべとさん』には何に依ったものなのか宮城県仙台市二十人町の話を載せている。サカズキ屋の者が歩いていると足の間に触れるモノがいる。サカズキ屋が足を閉じるとクックックッと鳴きながらすり抜けていったという。

 

この他、脛に対し何かしらの行動をしてくる妖怪に同じく岡山県の「すねっころがし」や新潟県の「スネククリ」がある。

すねっころがしは西吉井一帯に伝わるもので、暗闇に紛れて子供や老人の脛や足首を引っ張って転ばせるという。

スネククリはスネコスリに近いようで、ただ人の脛をこするのだという。

 

妖怪の「すねこすり」とは無関係と思われるがすねこすりという名称がつく場所が存在する。

福島県福島市笹谷には臑コスリという所があり、大分県杵築市猪尾にはスネコスリ溜池が存在する。溜池の方は農業用水確保のために杵築藩初代藩主松平英親が作ったものだという。

 

ちなみに「すねこすり」がいるなら「すねかじり」はいないのかというと、『画本纂怪興』には「野良息子」が、『怪談摸摸夢字彙』には「のうらく息子」という創作妖怪が描かれており、どちらも親のすねをかじっている。

 

参考文献

アミューズメント出版部編『アニメ版ゲゲゲの鬼太郎妖怪事典』株式会社講談社2010712

南條竹則「水木漫画御馳走帖 水木漫画を美味しく(?)読む」『水木しげる80の秘密』株式会社角川書店2002730

監修:水木プロダクション『水木しげる記念館 公式ガイドブック』朝日新聞社201368

佐藤清明『方言叢書第七篇 現行全国妖怪辞典』中国民族学会193555

木下浩『岡山文庫290 岡山の妖怪事典―妖怪編―』日本文教出版株式会社2014622

山田野理夫『おばけ文庫3 べとべとさん』株式会社太平出版社1976630

化野燐「妖怪大検証2 脛擦りの章」『怪vol.0019』株式会社角川書店2005725

杵築市公式ウェブサイト

201332日ソラト氏のツイート

高田衛+原道生『森島忠良集』株式会社国書刊行会1994725

山東京傳全集編集委員会『山東京傳全集 5巻』ペリカン社20097

前回の3回連続更新でだいぶ参っています。今後の新登場妖怪多数出演回が恐ろしい、当ブログ主、闇の中のジェイです。

 第5回:かみなり

5話は「電気妖怪」の話ということで、今回は「かみなり」を紹介。

「かみなり」はアニメだと第1期、3期、4期に登場。今期で4度目。3期では串刺し入道戦にて鬼太郎を助けている。

原作での登場は19671126日『週刊少年マガジン』に掲載された「ゲゲゲの鬼太郎3 電気妖怪」。人工雨の実験により自分を刺激した学者たちを攫うが、組み付いた鬼太郎により自身の熱で焼き殺されている。

 

「かみなり」の伝承を紹介しようと思うのだが、「地震、雷、火事、親父」と言われるだけあって、莫大な数の民話や俗信といった伝承が存在する。

名称もカミナリ、ナリカミ、ナルカミ、カンダチ、イカヅチ、ライコウ(雷公)、ライジン(雷神)、岡山県ではドンドロサマ、広島県ではドロガメ、長崎県ではドロカミサンとも呼ばれている。

雷といえば、雷神の姿を想像するのが今日では一般的だが、「雷狩り」と言った場合、この雷は、雷と一緒に落ちてくる雷獣のこととなる。肥前国神崎(現在の佐賀県神埼市か)でも「雷狩り」が行われるらしいが、その時に追われるモノは雷神とも雷獣とも違うようで、白雲に似た、空を飛ぶ鞠ほどの大きさの丸いものだという。人家に落ちれば火災になり、草原に落ちれば火没して見えなくなる。そのため、人々はこれが飛来すると器を片付け、屋背に水桶を上げ、金鼓を鳴らして追い回すことで火災を防ぐ。こういったことは4,5年の間に必ずあるのだという。この雷は天火の類であろうか。

変わり種の雷神としては他に豊後(大分県)のとある山村の庄屋が出会った雷神がある。庄屋が山中で猟をしていると池に7,8歳くらいの子供のような者がいた。体は赤く、一眼で庄屋に気がつくと隠れてしまった。庄屋はその者たちが隠れた辺りを狙い撃ってみたが当たらず、結局帰宅した。家に帰ってみると、妻に何かが取り憑き、狂っていた。「我は雷神である。たまたま遊んでいたところを何故撃ったのか」と取り憑いている者が言ったという。

 

雷は臍を取るとよく言う。静岡県では雷が二人の女の前に現われた。美しない女の臍はまずいからと美しい女の臍だけを取り食らったという。

逆に大阪府の秋篠寺に落ちた雷は人の臍を取った罰として自身の臍を取られている。

こういった話があるためか、雷除けの方法として、「線香を焚く」「蚊帳に入る」他に「臍を隠せ」といわれる。また、雷震の際にうつ伏しているものは死なず、仰向けになっているものは必ず死んでいることから雷が臍を取ると言うようになったのか、という考えもあったようだ。

 

雷という恐ろしいものを避けるための一般的な方法といえば他に「くわばら、くわばら」がある。

「くわばら、くわばら」と唱える他に群馬県では「遠くのくわばら」、山形県では「くわばらくわばら山に登ってくれ」、「くわばらくわばら、どうが落じねでくれ」、「ここはくわんばらくわんばら、信濃へござれ」、「くわんばらくわんばら、どうが雷さま山や天さあがってくれ」、岡山県では「ここはくわばら」、新潟県では「ここはくわばらですけ、信濃に飛んでくれ」、千葉県では「くわばら観音、くわばらかんのん」といった唱え言葉もある。

北山久備の『勇魚鳥』には「くわばら、くわばら」というのは「さあ晴れよ晴れよ」と願う言葉であるという説を載せているが、「ここは桑原である」ことを示しているのだとする説の方が一般的だ。

「ここは桑原である」という意の「くわばらくわばら」と唱える理由は諸説ある。

・雷となって藤原時平に仇を報じた菅原道真の生まれ故郷が桑原であり、この土地には雷が落ちないので、これにあやかるため。

・桑原という土地の井戸に落ちた雷を村人が井戸に蓋をして水責めにしたため。

・桑の木で雷は目を突いたので、雷は桑が嫌いだから。

といった説がある。

「雷の桑嫌い」には変化した伝承もあり、語呂合わせで鍬を外に出して立て掛けておくといった俗信が和歌山県や岡山県に存在する。

 

雷はよく落ちる。放電現象ではなく、雷を起こしている者のことである。

「くわばら、くわばら」と唱えるようになった理由の一つに、雷が井戸に落ちた話があったが、これは大阪府泉北郡の話で、他にも南河内郡古市村(現在、羽曳野市)誉田の八幡様の井戸にも雷が落ちている。八幡様の井戸では大黒様が金の盥で井戸に蓋をしている。今後は決して誉田には落ちないと約束したことで、雷はようやく許された。

井戸と雷だと、雷を助けたお礼に井戸を設けてもらった話もある。

大分県津久見市の解脱闇寺には雷井戸と呼ばれる水汲み場がある。本堂の庭に落ち、天に昇れない雷がいた。みかねた南渓禅師が錫杖を岩の上に立て、ここから昇るように告げると雷は喜んで天へと昇った。後日、雷がお礼をしたいというので、禅師はこの辺りは水が乏しいことを話した。雷は風雨を起こし、雷で岩盤に穴を開けると清水が湧きだしたという。

また、杵築市大田村にある宝陀寺には雷井泉というのがあり、こちらも開山悟庵禅師への報恩のために雷神が雷で地を穿ち、清水を湧き出させたという。

臼杵市吉小野の吉水では増長した雷神が雲から足を踏み外して落ち、岩に全身を打ち付け動けなくなった。たまたま近くにいた和尚が自業自得だと樫の木に雷神を縛り付けた。日照りに困っている人々のために雨を降らせることを条件に許された雷神は傷の手当てをしてもらい、和尚にお礼を言って雲へと戻っていった。それから後、吉水の樫の根元から湧き出る水はどんなに日照りであっても絶えることは無いという。

桑や樫以外に松と雷の話もある。

和歌山県那賀郡山崎村(現在、岩出市)赤垣内に山崎神社があり、境内に雷松がある。この松に昔、雷が落ちたことで社頭に置いていた大太鼓の一面の皮を破った。社の神がこれに怒り、その太鼓を雷神に覆い被せた。雷神は謝り、神のいるところには落ちないことを誓ったことで許してもらった。それからは雷が落ちなくなったという。

上記の臼杵市の例のように、石に落ちることも多く、その場合は雷石と呼ばれている。その石には雷が落ちた跡が残っているといい、愛知県や奈良県などに伝承が残っている。

 

雷が落ちた話を紹介したが、雷ではなく人が落ちた話もある。

ある男が何千何百と実がなる茄子の苗を買った。77日、七夕様にお供えするための茄子を取るために茄子の木を登ると天上まで登ってしまった。そこには御殿があり、白髪の翁の姿をした雷神が住んでいた。毎日、茄子を頂いているお礼にとご馳走され、二人の美人姉妹も来て、もてなしてくれた。昼頃になると、夕立を降らせるから手伝わないかと雷神に誘われた男は雨の役目を請け負った。ちょうど男の村の上に来たので、知人たちをからかおうと翁や娘たちに頼み、うんと太鼓を叩いたり、鏡を閃かしたりしてもらった。慌てる知人たちに大笑いしていた男だが、熱心のあまり衣服がはだけ、裾から出た娘の白い脛を見たことで気抜けし、雲を踏み外してしまった。下界へ落ち、桑の枝に引っかかった男を見た娘たちはひどく惜しがった。娘たちの心を察した雷神は「あの男が可愛そうだから、今後は桑の木の辺りには落ちないようにしよう」と言った。雷鳴がすると桑の枝を軒に挿すようになったのはこのためであるという。

 

参考文献

アミューズメント出版部編『アニメ版ゲゲゲの鬼太郎妖怪事典』株式会社講談社2010712

『水木しげるvs京極夏彦「ゲゲゲの鬼太郎解体新書」』株式会社講談社1998313

水木しげる『水木しげる漫画大全集031 ゲゲゲの鬼太郎3』株式会社講談社201523

監修者:小松和彦『日本怪異妖怪大事典』株式会社東京堂出版2013720

佐藤清明『方言叢書第七篇 現行全国妖怪辞典』中国民族学会193555

柴田宵曲『奇談異聞辞典』株式会社筑摩書房2008910

柳田國男『妖怪談義』株式会社講談社1977410

鈴木棠三『日本俗信辞典 動・植物編』株式会社角川書店19821125

石川一郎『江戸文学俗信辞典』株式会社東京堂出版1989710

高木敏雄『日本伝説集』株式会社筑摩書房2010810

津久見市『津久見市誌』津久見市誌編さん室1985320

酒井富蔵『大田村誌』大田村教育委員会196691

臼杵妖怪共存地区管理委員会・臼杵ミワリークラブ『亀城下異談』200934

日本放送協会『日本伝説名彙』日本放送出版協会1950310

日本放送協会『日本昔話名彙』日本放送出版協会194831