2025年も適度にブログを書けたらなと思います。
頻度は…ちょっときついかも?
今日は「変な列車」を考えます。全部じゃないですけど。
何の話かといいますと、鉄車輪の鉄道車両はおおむね以下の形態に分かれます。
<機関車 + 客車/貨車>
←進行方向
[蒸気機関車][客車/貨車][客車/貨車][…]
[ディーゼル機関車][客車/貨車][客車/貨車][…]
[電気機関車][客車/貨車][客車/貨車][…]
<電車>
<気動車>
進行方向に運転台があるのが一般的で、機関車列車が日常で電車や気動車を引くことは普通はないですし、電車と気動車が混在するということも普通ではありません。ただ、例外というのはこの世にいっぱいあるわけで、とりわけ日本は技術的変態なので結構あります。

早い話が代表格はこいつです。まずはこれから考えていきますか。
731系とキハ201系。731系は札幌圏の旅客量増大に対応すべく開発された初の北海道型ロングシート車両になります。)近郊型/通勤型のどちらに分類するかが微妙なのはやっぱり3ドアだからなんでしょうかね…?)
一方のキハ201系。こちらは札幌圏の中でも電化されていないが直通需要が多い余市~倶知安方面から札幌駅へ直通可能な車両を製造するという目的で作られている…はずです。ネックは小樽~札幌間で、普通・快速電車がたくさん走る過密ダイヤとなっています。もっと言うとこの区間で快速を退避可能な駅が実は手稲駅の一駅しかなく、直通するにも"電車と歩調を合わせられる車両"が求められていました。すでに高出力気動車キハ150が開発され、快速ニセコライナーの運用に入っていましたが、こちらは2ドアで(1両x2の)2両編成。混雑が激化していました。
そこで、倶知安方面から直通で運転しつつ、混雑する小樽からは増結して向かうコンセプトが考えられたようです。それなら同じ気動車を6両つなげればいいのでは?と思った方、たぶんそれでいいんだと思います…が、予想される理由が2つほど
・キハ201系は編成12億円くらいと731系電車に比べて高価だった
・キハ201系の開発自体が試験車を兼ねていて、本命は2000年のキハ261系0番台+785系の協調運転だった
があります。後者の特急協調運転計画は有名な話なので、気になる方は調べてみてください。
というわけで、キハ201系と731系は気動車・電車であるにもかかわらず、連結して一括で制御ができる現状の国内では唯一の列車となっています。
ただ、これだけの性能をもちながら、これを生かす列車は登場当初から実は1本しかなかったりします。731系とキハ201系が連結する列車自体はそれなりにあったのですが、「倶知安方面着発で小樽で連結する」列車は、今も走る倶知安発札幌行きキハ201系 & 小樽発苫小牧行き731系の963D(キハ201系単独)→963M(協調)→2722M(731系単独)の1本だけです。ほかのキハ201系は、3両単独のニセコライナーや、6両で小樽に行き3両になるニセコライナーだったりとキハ201系だけで運用が組まれています。
理由は定かではありませんがこうなっている要因の一つにキハ201系の所属する苗穂運転所が非電化であることがあります。これが札幌運転所所属であれば、最初から協調運転させておいて手稲→(江別←何回か往復→小樽)→倶知安とかで運用が組めて効率的だったような気もします。
じゃあ、キハ201系は無用だったかというとそうでもなく、そもそも3ドアロングシートという気動車が初めてでして、混雑する非電化路線…2012年以前の学園都市線で大活躍していました。学園都市線での6両での運用はなかったようですが、日中の運用にはキハ141系列より収容力があることもあり、それなりに入っていた記憶です。
あとは小樽~江別を中心とした架線下での運用が多かったかも。ターゲットだった小樽~倶知安間はワンマン運転が主流となっていて、キハ201系を日中に入れると検札をすり抜けられるリスクがあったのかな…と思います。ただ、最近のインバウンド増大に対応して、H100型の代わりにキハ201が運用に入ったケースがありました。本領を発揮した瞬間ともいえるかと思います。

お次はこいつ。今年引退の富良野と釧路のノロッコ号です。余剰となった車から観光車両を作ろうというコンセプトがぴったりで、客車は札幌圏と快速海峡の廃止で余っていた50系客車。機関車は冬は仕事があるが夏は持て余すDE15がメインで使われています。釧路はDE10ですけど。

50系改造というえばキハ141系列が真っ先に浮かびます。こちらのほうが登場が先なので「ノロッコ号」もエンジンをつけて気動車化したものを使うという手もあったと思います。ただ、改造費が高くつきそうなのと、気動車化するほど加速性能を求めない点でこういう形態になったんじゃないかと思います。
こういう形態…含みがあるんだかないんだかな書き方になりましたが、この記事に出てくる以上、普通の列車ではありません。ノロッコ号は進行方向の向きにかかわらず、機関車の連結位置は固定です。つまり、機関車が一番後ろにつながった状態で走ることもあります。

どうしているかというと、客車に運転台があります。なので形式名も客車なのに「オクハテ510」と制御を示す「ク」の文字が入っています。ノロッコ号は比較的短区間を走る臨時列車で、釧路湿原ノロッコ号も最大2往復、富良野美瑛ノロッコ号については運転日は基本3往復を確実にすることから、そのたびに機関車の付け替えをするのは手間とコストがかかると考えたんだと思います。
ちなみに:富良野美瑛ノロッコ号で機関車付け替えが必要となると、旭川運転所スタートとなるので、運転所-(回送)→旭川-(1号)→富良野-(2号)→美瑛-(3号)→富良野-(4号)→美瑛-(5号)→富良野-(6号)→旭川-(回送)→運転所の運転形態。旭川2回、富良野3回、美瑛3回の計8回/日も連結切り離しを行わなくてはなりません。これらを運転台交換だけで済ませられるという点で、このコンセプトは理にかなっているかと思います。
また、機関車の付け替えが不要ということは、終点駅が棒線の超ローカル線にも入ることができ、これを生かした「増毛ノロッコ号」なんかも走っていました。

さて、こちらの列車は2025年度で引退ということで、2026年度からはキハ143を用いた別の観光列車が計画されています。ですが皆さんお気づきでしょうか、ノロッコ号も置き換え後の車両も50系改造車です。今回の老朽化は、どちらかというと機関車…DE10/DE15を示すようですね。DE15も1970年代製造なのでもう50年選手ですし…。

もう一つ、書くのが疲れてきたのでこの3種で終わりにします。
北海道にやってくるクルーズトレイン「四季島」です。こいつもかなりのバケモノかと思います。この列車は、自力で東京から北海道まで走りきるために、とてつもなく多くの制御装置を持っています。
北斗星で考えてみましょう。上野を出た北斗星は黒磯までEF81/EF510で直流1500V区間を走ります。その後黒磯から青森までは交流20kV-50Hz、青森からも20kV-交流50Hzですが、ここからはED79が担当し、青函トンネル区間は信号機がなくATCが必要となります。函館から先は、DD51が担当。函館~東室蘭間が非電化のためです。
さらに、現在の青函トンネルは実質的な新幹線路線。従来の交流20kVではなく、25kVの電気が、おおよそ中小国~木古内間に流れています。このことから、全区間を自走で走るためには
・直流1500V
・交流20kV-50Hz
・交流25kV-50Hz
・長区間の非電化路線を走る動力(と書きましたがまぁディーゼルエンジンですね)
・各路線の保安設備(JR北のATS-Dn・新幹線のATC・JR東のATS-P系)
これらすべてが必要になります。なのであります←
E001型クルーズトレイン「四季島」は、交直流はもちろんのこと、新幹線の25kVにも対応した3電源対応の初の車両のはずです。とはいえ「交流20kV-60Hz」は対応しているか微妙ですし、ましては交流25kHz-60Hz(北陸・東海道系統の新幹線)は不要なのでないでしょう。
これに加えて、ディーゼルエンジンで非電化区間も走行できます。せっかくの電車ということで、ディーゼルエンジンを発電用とし、電化区間で使用していたモータに電流を送る電気式気動車の方式をとっています。

これにより、JR貨物をはじめとした機関車の助力を一切受けずに、上野駅から札幌運転所まで走りきることができます。余談ですが、北斗星の時代にはディーゼル機関車で駆け抜けた東室蘭~札幌~札幌運転所間は「交流20kV-50Hz」の電車モードとして走ります。この区間にJR北海道以外の「電車」が入るのは初めてのケースのはずです。
まぁ四季島、すごすぎてみるのが精一杯ですけど…乗れるとは思えないのと筆者ツアー系の旅行が苦手故…。
ともあれ、今年もよろしくお願いします。
ではまた次回です~!(^^)!