マキロップ祭り
忙しい1月も終わりが近づいてきた。
外の気温も、財布の中身も、より寒くなる2月がやってくる。
気持ちだけはウィスキーで温かくいたいものだ。
さて、勝手に一人で盛り上がっているマキロップ祭りもいよいよ折り返しである。
飽き飽きされている読者の方もいらっしゃるだろうが、どうかお付き合いいただきたい。
本日は、昨日“紛らわしい”例に挙げた、こちらの蒸留所を紹介したい。
No.21 AULTMORE 1982~1999(マキロップ・チョイス CASK STRENGTH)
実は昨日紹介したベンリネス蒸留所に深い関係があり、創業は1897年。
当時のベンリネス蒸留所のオーナーであるアレクサンダー・エドワードによって、密造酒の中心地であるスペイサイド キース地区に設立された。
“オルトモア”とは「大きな小川」という意味で、近くを流れるオーヒンデラン川から名付けられた。
こちらの蒸留所の特筆すべき点は、ウィスキー精製の際にでる廃液(ドラフ・ポットエイル)の処理を「ダークグレイン」と呼ばれる家畜の肥料を作り出すことに成功したパイオニアであることだ。
現代でこそ環境問題が大きく取り上げられているが、オルトモアは1952年にこの環境問題を改善し、今ではほとんどの蒸留所が廃液をダークグレインにする方法を取っている。
現代ウィスキーを堂々と飲めるのは、オルトモアのお陰かもしれない・・・。
ちなみに、一言にスペイサイドと言っても8つの地区に分けられており(フォレス地区・エルギン地区・キース地区・バッキー地区・ローゼス地区・ダフタウン地区・リベット地区・スペイ川中下流域)、オルトモアのあるキース地区には6つの蒸留所(オルトモア・オスロスク・グレントファース・グレンキース・ストラスアイラ・ストラスミル)がある。
もちろん覚える必要はないが、一般的に同地区のウィスキーの味は似ていると言われている。
偏見を持つとたいがい後悔することになるが、共通の特徴を探し出す楽しみとしてならば知っておいても良いことかもしれない。
さて、まずはこちらの香りであるが、少し鼻にかかるオイル、硫黄、わずかに桃。 舌の上を通らずに真っ直ぐ喉元で焼けるような印象。 遅れてハーブやバニラ、余韻は短めで舌が渇く。 加水すると梨、青りんご、シトラス、やはり硫黄。
・・・あともう半年程寝かせることに決定。
嫌いではないが、「本来のポテンシャルが出ていないのではないか?」と思えるような硬さも感じる。
・・・ということは同じキース地区のあいつは・・・。
手短ですが、また明日。まぎらわしい?
多忙な一週間が終わり、また一週間の激務が待っている。
そんなことを考える休日は、昼間だろうが酒を飲んでしまう。
現実逃避というわけではないが、限りなく自由を感じるこの時間が私は好きだ。
もちろん、休みの日にしないといけないことは多少なりともあるので、掃除をしながら、アイロンをかけながら、はたまたボトルを拭きながら、特に今日はWHISKY MAGAZINEが届いたので、それを読みながらウィスキーを飲んでいる。
寝る前に飲むウィスキーとは付き合い方を少々変え、ハイボールやロックで楽しむことが多いが、なにせマキロップ祭りは始まったばかりである。
休日イベントとして本日は一挙に2本紹介したい。
ちなみに、皆さんはウィスキーの銘柄が「紛らわしい!」と思ったことがないだろうか?
例えば「ミルトンダフ」と「リトルミル」(つい先日間違えました)、「オルトモア」に「オクトモア」。
そして本日紹介するこちら。
No.18 BEN NEVIS 1985~1999(マキロップ・チョイス CASK STRENGTH)左
No.19 BENRINNES 1985~1999(マキロップ・チョイス CASK STRENGTH)右
日本語で発音すると「ベンネヴィス」と「ベンリネス」。
これに近いので「ベンウィビス」というモルトもあるが、間違えるわけがない。 伝説のシングルモルト・・・高すぎる。
名前が似た者同士のこのモルト。
名前の由来は実はどちらも山からきている。(“BEN”とは山という意味)
「ベンネヴィス」はイギリス最高峰の山(標高1,344M)の名前に対し、「ベンリネス」はスペイサイド地区最高峰の山(840M)の名前。
創業も「ベンネヴィス」のほうが先輩で1825年。 翌年の1826年に「ベンリネス」が建設されたが、残念なことに大洪水によって流失してしまい、正式な創業は再建された1834年となっている。
西ハイランド フォート・ウィリアム地区に位置する「ベンネヴィス」蒸留所を創業したのはロングジョンの愛称で知られるジョン・マクドナルド。
この地区は、イングランドに強い反感を持ったジャコバイトと呼ばれる組織が活発であり、マクドナルドの曽祖父は「ジャコバイトの反乱」(1715年・1745年)の際にはジャコバイト軍の先頭に立つ英雄であった。
そのため、末裔のジョンが蒸留所を創業した際には、地域の人々の大きな話題になったという。
酒税法改正の翌年に蒸留所を創業していることからも、果敢な行動力のある人物であったことが推測できる。
一方、流失してしまった「ベンリネス」蒸留所は、その8年後にジョン・イネス社により再建された。
ベンリネス山の北麓、213Mに位置するこの蒸留所は、ウィスキー作りには最上の水と昔から言われていたスカーラン川とローワンツリー川の水を使用し、モートラック同様、もろみ(ローワイン)の一部を3回蒸留する方法を取り入れており、現在ディアジオ社が所有のこの2蒸留所は「ディアジオの異端児」などと形容されている。
ゆえに飲み比べるならば本来は「ベンリネス」VS「モートラック」の異端児対決なんてものも面白いのだが、別の機会を利用したい。
さて、蒸留年も熟成年数も同じマキロップ・チョイス。
まずは、ベンネヴィスだが、写真でお判り頂けるだろうか?ベンリネスに比べてライトな色をしており、香りは溶剤系。わずかに香草(ハーブ、湿った草原)、ハチミツの甘みが真っ直ぐに伝わり、バラ、すみれ、生姜、加水すると、よりシロップ。恐らく、マキロップ・チョイスでなければ感じないベンネヴィスの表情だろう。
手前の資料によると1981年に英国ビールの最大手、ウィットブレッド社がオーナーとなり1983年に生産停止。 その後、1989年にニッカウヰスキーが買収し再開とあるが、この1985年ヴィンテージのベンネヴィスは一体・・・。(教えて土屋さん!)
一方、毎度二番手紹介のベンリネスであるが・・・。
うまい!
スペイサイドらしい麦芽の香りの奥から、「飲めば解るさ」と誘ってくるようなフルーツの芳香がたまらない。
カンロ飴、焼きりんご、肉っぽいニュアンスもあり、スルリと味がほどけ深い麦の甘みの余韻が長い。
まさに、熟成年数のこだわりを一蹴する、芯の強いモルトだ。
マキロップ・チョイスに関しては、私の中では「ベンリネス」に軍配が上がった。
あくまでも好みなので、人によってはもちろん「ベンネヴィス」の方が好きと言う意見も多いと思う。
それがウィスキーの魅力でもあるわけで、つまりは不必要なウィスキーなどない。
まだまだ未熟者の私には、この「ベンネヴィス」の本当の美味さを教えてもらえないのかもしれないな・・・と思いながらマキロップ祭りはまだ続く。

