“13才までに見せたい名作映画50ガイド”と謳って、「キネマ旬報社」が出版した『「こどもと映画」を考える』が興味深い。
いまこそ、子供にもっと映画を見る機会を作るべきであるという意図で、子供たちに見せたい名作映画50本を紹介しています。
映画ファンにとって作品の選択は個人差もあるでしょうが、参考にしていただければ幸いです。
<「こどもと映画」を考える 発行 ㈱キネマ旬報社 2012年10月29日初版第1刷発行>
13才までに見せたい50作品が解説付きで、巻頭インタビューに小栗康平監督、中江裕司監督、女優の戸田恵子さんのエッセイとともに載っています。
【小栗康平監督】
キネマ旬報ベスト・テン第1位、私の好きな「泥の河」(1981年)の監督です。
「こどもたちに世界中の映画をきちんと見せられる環境を」と題した巻頭インタビューが掲載されています。
<小栗康平監督>
【中江裕司監督】
キネマ旬報ベスト・テン第6位、沢田研二主演の「土を喰らう十二ヵ月」(2022年)の監督です。
「こどもたちと映画を作るとき、けっして“こども扱い”はしないこと」と題した巻頭インタビューが掲載されています。
<中江裕司監督>
【戸田恵子さん】
女優、声優、ナレーター、歌手、タレントとして多方面で活躍されており、ファンの一人です。
「世界には優れた“こどものための映画”がたくさんある」と題した巻頭インタビューが掲載されています。
<戸田恵子さん>
本書で紹介されている映画作品は、下記の50作品で、解説、対象年齢、作品データなどが掲載され「諸外国及びわが国における「映画教育」に関する調査最終報告書」(2006年)にまとめられたリストだそうです。
【13才までに見せたい名作映画50ガイド】
1.ロッタチャンはじめてのおつかい(スエーデン)
2.お早よう(小津安二郎監督)
3.サウンド・オブ・ミュージック(アメリカ)
4.大人の見る絵本 生まれてはみたけれど(小津安二郎監督)
5.岸辺のふたり(イギリス/オランダ)
7.はだしのゲン(実写版)(山田典吾監督)
8.ブタがいた教室(前田哲監督)
9.火垂るの墓(高畑勲監督)
10. 二十四の瞳(木下恵介監督)
11. わんぱく戦争(フランス)
12. 運動靴と赤い金魚(イラン)
13. 男はつらいよ(山田洋次監督)
14. スタンド・バイ・ミー(アメリカ)
15. 大脱走(アメリカ)
16. 転校生(大林宜彦監督)
17. 友だちのうちはどこ?(イラン)
18. ミツバチのささやき(フランス)
19. リトル・ダンサー(イギリス)
20. キッド(アメリカ)
21. 街の灯(アメリカ)
22. スクール・オブ・ロック(アメリカ)
23. 地下鉄のサジ(フランス)
24. となりのトトロ(宮崎駿監督)
25. オズの魔法使(アメリカ)
26. 風の谷のナウシカ(宮崎駿監督)
27. キリクと魔女(フランス)
28. チャーリーとチョコレート工場(アメリカ)
29. メリー・ポピンズ(アメリカ)
30. 赤い風船(フランス)
31. おこんじょうるり(岡本忠成監督)
32. かいじゅうたちのいるところ(アメリカ)
33. 河童のクウと夏休み(原恵一監督)
34. 銀河鉄道の夜(杉井ギサブロー監督)
35. 千と千尋の神隠し(宮崎駿監督)
36. ナイトメア・ビフォア・クリスマス(アメリカ)
37. シーザハンズ(アメリカ)
38. ウオレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!(アメリカ/イギリス)
39. 天空の城ラピュタ(宮崎駿監督)
40. トイ・ストーリー(アメリカ)
41. 白蛇伝(薮下泰司監督)
42. ピーター・パン(アメリカ)
43. グーニーズ(アメリカ)
44. E.T. (アメリカ)
45. スター・ウオーズ(アメリカ)
46. 時をかける少女(大林宜彦監督)
47. ゴジラ(本多猪四郎監督)
48. バック・トゥ・ザ・フューチャー(アメリカ)
49. ファンタジア(アメリカ)
50. アース(ドイツ/イギリス)
名作ばかりです。
本書から「3.サウンド・オブ・ミュージック」のページをご紹介します。
【参考転載】
「テラビシアにかける橋」は映画が良かったので、原作本(偕成社文庫2007年3月第1刷発行)を購入しました。
50作品中、私が13才(1961年)までに公開された映画を調べてみると、11作品でした。
2.お早よう(1959)小津安二郎監督
4.生まれてはみたけれど(1932)小津安二郎監督
3.二十四の瞳(1954)木下恵介監督
4.キッド(1921)チャールズ・チャップリン監督(米)
5.街の灯(1931)チャールズ・チャップリン監督(米)
6.地下鉄のサジ(1960)ルイ・マル監督(仏)
7.オズの魔法使(1939)ビクター・フレミング監督(米)
8.赤い風船(1956)アルベール・ラモリス監督(仏)
9.白蛇伝(1958)薮下泰司監督
10.ゴジラ(1954)本多猪四郎監督
11.ファンタジア(1940)ベン・シャープスティーン監督(米)
うち、私が13才までに映画館でリアルタイムに観た映画は、東映の長編カラー漫画「白蛇伝」1本だけでした。
当時はまだビデオテープもなく、古い映画は映画館で観る機会もなく、洋画(字幕)は観ていません。
小学校3年(1956年)あたりから、近所の東映3番館(封切り3週目に新作上映)に毎週通っていたので、東映京都の時代劇、文芸作品、警視庁物語シリーズ、少年探偵団、月光仮面などの児童向け映画など、東映映画育ちです。
よって、50作品中、唯一の東映映画(漫画だけど)「白蛇伝」は興味もあり、シッカリ観ていました。映画は銀幕の中で人生の経験をしたように感じます。
映画のTV放送や、ビデオテープ・レーザーディスク・DVDの発達で、気軽にテレビで映画を楽しめる、良い時代になりました。
リストの「二十四の瞳」(木下恵介監督)はリバイバル公開時に新宿の松竹封切館で、「ゴジラ」(本多猪四郎監督)は東京・池袋にあった名画座「文芸地下劇場」で鑑賞しました。
「文芸座」(洋画系)、「文芸地下劇場」(邦画系)の“陽のあたらない名画祭”、“スーパーSF日本特撮映画大会”などのプログラムが懐かしい。
石井輝男監督・宇津井健主演の「スーパージャイアンツ」も、大映が70mmフィルムで撮った「釈迦」(上映は35mmでした)も、文芸地下劇場のスクリーンで観ました。
手元にある「ぶんげいしねういーくりい」は、1977年(昭和52年)のものです。
懐かしい。
大きな銀幕で、大勢の観客と観る映画館。
「年忘れスーパーSF日本特撮映画大会」などは、最強プログラムです。
<「文芸地下劇場」の「スーパーSF日本特撮映画大会」ポスター>
<「文芸座」の「陽のあたらない名画祭」チラシ>
怪円盤で地球に飛来し、地球を侵略しようとする怪星人カピア人の攻撃に、スーパージャイアンツが立ち向かう。
石井輝男監督好みの江戸川乱歩的な怪奇ムード漂うSFアクション映画。
大人は楽しく、観ている子供はビックリ!
団塊の世代(昭和23年生)の私にとって、子供時代の最大の娯楽は「映画」でした。
夏の夜、スクリーンが張られた小学校の校庭での映画会は、みんなでゴザを敷いて観た月形龍之介の「水戸黄門」。
当時、学校の授業で映画館にも行きました。
小学校の先生がチョイスしたのでしょうか、三木のり平の喜劇時代劇「底抜け忍術合戦 ・俺は消えるぜ」(1958年)、永良部群島のドキュメンタリー映画「エラブの海」(1960年)鑑賞も授業の一環でした。
中学校では70mm大画面を初めて見たチャールトン・ヘストン主演・ミケランジェロの伝記映画「華麗なる激情」(1966年)。
学校の仲間と観た映画が、なぜか今でも記憶に残っています。
シニア世代の、過ぎ去った懐かしい思い出です。
【関連する過去の投稿】ご訪問ください。
★「白蛇伝など思い出の東映動画」
★「荒川銀映の思い出」
★「本多きみ・著<ゴジラのトランク>」
★「懐かしの新東宝映画ポスター展」
★「映画の黄金時代」
【関連書籍・DVD】