第10話~残り2分の攻防~
※タイマーは、2:35と表示しとった。※残り時間を表示している電光掲示板みたいなもの
14点差ー
もう一点もやれへん。1ゴール決められただけで、勝利の可能性が一気に遠のく。
「スクリーン!」
「※スイッチ!」と立川先輩が叫ぶ。※スクリーンによって邪魔される為、自分のマークを味方のマークと変わること。
スイッチしたのは、高田とやった。高田は、フリーにさせまいと必死に追いかける。
「ぱしっ」
しかし、相手にパスが渡った。場所は、スリーポイントラインぎりぎりのとこ。
「なんや、時間使って攻めるんか、はたまた1オン1か、シュートか、パスか・・・」
高田は、迷っとった。
ただでさえ、自分よりでかい相手。ディフェンスもそんなにうまい訳ではない。
ディフェンスに自信はなかった。
「ダンっ」
高田は一歩も反応できずに抜かれた。
それをカバーするため立川先輩が、相手の前に入りこんだ。
相手の動きが止まる。
「くいっ」
相手はフェイクを入れた。
立川先輩の身体が宙に浮いた。
「ドンっ」
立川先輩の身体に当たりながらも、相手はシュートを打った。
「ピーーー!!」
「ぱさっ」
「ファール8番(立川先輩)、カウントワンスロー!」
うちのチームのベンチが、一気に盛り下がる。
立川先輩も、悔しそうな表情を見せる。
相手のフリースロー。
「ガンっ」
「リバウンド!」
「ぱしっ」長田さんが、もぎ取り「走れ!!」と叫んだ。
ボールがキャプテンに渡り、高田、立川先輩へと渡った。
「※アウトナンバーや。確実に2点欲しいところやな。」
しかし、相手の守りの戻りが早く、速攻は止められた。
が、立川先輩が誰もいない、※ハイポスト周辺にパスを出した。※ゴール前の台形のてっぺん付近
「ぱしっ」
長田さんが走っていた。
そして、そのままフリーでレイアップシュート。
「ぱさっ」
13点差ー2分2秒
「いけるぞ!最後まで、集中きらすなよ!」と、立川先輩が珍しく大声でメンバーに言った。
第9話~意地~
「ビー!タイムアウト!」
残り4分、15点差。追いつくためには、これ以上離されたらアカンかった。
「西本交代や。」
「わかった」
不穏な空気がベンチに漂う。
キャプテンは西本先輩になんか言いたそうやったけど、我慢している感じやった。
「最後はハーフのマンツーマンでいくぞ。その変わりプレッシャー思いっきりかけることな」
「オーケー」
「ほんで、もし相手がオールコートで仕掛けてきよったら、全員でボール運ぶことな。長田特に頼むで、
中継してや」
「おう任せろや」
「よし、高田いこか。ボール運びは頼むで」
高田は、上村君と同じオレの同級生でポジションもかぶってると言えば、かぶってる。
同じガードやった。
この試合で、今まで試合に出てなかった、オレの同級生が2人初出場を果たした。
オレはベンチでいてもたってもいられへんくなった。
「マネージャー!もっぺん脚、テーピングしてください!血ぃとまってもいいんで、ガッチガチにお願いします」
今からしてもらってももう遅いかもしれへん。でも、同級生が活躍して、レギュラーの座へ一歩近づいてるっちゅ
ーのに、じっとはしてられへんかった。
「ピっ試合始めます。」
「ダンっダンっ」
高田が、緊張とともに、ドリブルを始める。
相手はオールコートディフェンスではなかった。
が、相手ディフェンスが、いきなり※スティール。
「落ちつけ、高田!」とキャプテンが声をかける。
そのまま、ランニングシュートを決められ、点差が17点に広がる。
普通に考えて、17点差でも大健闘やと思う。無名校、2回戦負けのチームが、
地区の強豪校に17点差なら頑張った方やないか。
相手の監督もそんなにえぇ顔はしていない。おそらく、試合後に相手チームは走らされるやろな。
でも、ここまで来たら絶対勝ちたい。
「がんっ!」
「シュート落ちたで!リバウンド!」
相手の強いゴール下にたいして、長田さんが、意地を見せる。
キャッチはできないものの、ボールをはじき、そのボールがキャプテンの元へと渡った。
キャプテンはすかさず、スリーポイントを打った。
「ガンっ!」
「ぱしっ」
長田さんが、またもやはじき返し、※ルーズボールを高田が奪い取った。※誰もいないところにボールが落ち、どちらのボールでもない状態
「よっしゃ!高田ようやった!こっちフリーや!」
びゅんっ!
立川さんがスリーポイントを打つ。
「ぱさっ」
「よっっしゃーーーーーーーーーー!」
まさに、長田さんの意地と高田のルーズボールが生み出した3点。
「よっしゃっ、まだまだ追いつけるでー!」
この1プレイで、うちの士気があがったのは間違いなかった。
オレはそれを、テーピングを巻いてもらいながら見ていた。
第8話~弱点~
「まだ、いける」
点差を10点台にしたことで、うちのチーム全員が、そう思っていた。
「立川カット!」
「オッケ、こっちパスちょーだい!」」
「ダンダンっ」
「ぱさっ」
オールコートディフェンスで、プレッシャーを与え、立川先輩がパスカット、それがまたもや西川先輩に
ボールが渡り、シュートが決まった。」
「西川!西川!」
もはや、4Qは西川先輩の独壇場になっていた。
でもオレは、「なんで2、3Q西川先輩使わへんかったんやろか」と、ふと思った。
「オッケ、ボールとった!!」
「ハイっ!パスちょーだい!」
「ぱさっ」
また、西川先輩の得点。
残り6分50秒 78-65
ここで、相手チームがタイムアウトをとった。
「よっしゃ!いける!このままいったら、勝てるで!」とキャプテンが言う。
「長田、もうちょいプレッシャーかけれへん?パスコース完璧になくしてもて、もっと前の方でボール
とりたいんやけどな。したら、すぐ2点とれるやん。」
「うーん、そうやなぁ。ただ、気持ち前に前に行きすぎると、パス1本で、シュート決められるからさ、
それにも注意せなアカンで?」
「オッケー」
「とりあえず、ディフェンス今のままで!絶対逆転するで!」
「1,2,3,おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉし!!!」
タイムアウト後・・・
「ボールとった!!」
「ハイっ!パス!」
またしても、西本先輩にボールが渡る。
そして、またしても鮮やかに相手を抜きさり、シュートにいこうとした瞬間
「ドンっ」
「ピーーーー!オフェンスファール、青7番(西本先輩の背番号)トータル2回目です。」
相手は、西本先輩がドリブルで入ってくるのを見越していた。
その後、相手の攻撃を守りきるも、こちらの攻撃も決まらなくなってきていた。
西本先輩をが徹底マークされており、なおかつ相手は、西本先輩がパスを出さないことを見抜いていた。
「西本、外出せ!」
しかし、西本先輩は強引にシュートに持っていく。
「ガンっ」
体勢の悪いシュートは、当然のことながら、リングの中には入らずにいた。
「ガンっ」
「ガンっ」
「そうか、せやから西本先輩はスタメンでも途中で交代になるんか。」
いくら、オフェンス力があっても、バスケットボールは一人では勝てない。
西本先輩のリズムは崩れていき、とうとう※フリーのシュートまで外すようになっていた。※ノーマークの状態
「これが、彼の弱点やね。」と、相手チームキャプテンが言った。
残り4分57秒 82-67