不楽是如何 -239ページ目

土壌汚染屋の棲み分け

土壌汚染対策法に基づく指定調査機関ってのは、指定の要件があまり厳しくありません。

 

結構、多くて約1600機関ぐらいが指定されています。

その中で本当に調査を実施している機関と言えば、1~2割ぐらいでしょうかね。

 

ちゃんとした統計は無いので、適当なこと言えませんが、調査を丸投げしているような会社は多いと

思われます。

 

私の思い浮かぶだけでも2社は、ほとんど土壌汚染の知識はありません。

でも、指定調査機関です。

 

調査機関は一応、法に基づいて指定されるわけですが、これは「土壌汚染対策法」に基づいた調査

実施する時に「指定調査機関」でなければならないだけです。で、指定要件もたいしたことないので、

あまり「うちは環境省の指定調査機関だから」なんてのを営業文句にしているような会社はたいしたこと

ないのかもしれません。

 

ついでに言うと、土壌汚染の対策については、別に、資格もありません。

 

ちなみに調査、対策ひっくるめて、土壌汚染に係る業務を実施している会社を分類すると、

 

A.年代別に

A-1平成11年以前から業務をしている会社

A-2平成11年~平成14年ぐらいから業務をしている会社

A-3平成14年以降から参入してきた会社

 

B.業種別に

B-1 ゼネコン

B-2 建設系コンサルタント

B-3 専門業者

B-4 メーカー

B-5 産廃屋

B-6 土工事会社

 

に大まかに分かれると思います。まあ、私の感覚で行くと・・・

 

      A-1   A-2  A-3

B-1   ◎     ○     △

B-2   ◎     ○     △

B-3   ◎     ○     ×

B-4   ◎     ○     ×

B-5   △     △     ×

B-6   △     △     ×

 

ってとこですかねえ。平成14年の土壌汚染対策法成立後に参入してきた業者ってのは・・・かも。

でも、管理技術者さんが昔からこの問題に取り組んでて、新規に会社を起こしたってのなら○、◎です。

 

産廃屋、土工事屋で土壌汚染やっている会社さんってのは、私の経験上、いくら実績があると言っても、

基本的な専門知識に欠ける業者さんが多いようです。

 

ただ、儲かるから、流行りだからってことでにわかに参入してくる業者さんが多いみたいです。

正直、この問題は腰を落ち着けてじっくり取り組まないとなかなか難しい問題ですので、何かの片手間

で出来るような仕事でないのは確かです。

 

うちの会社は・・・B-3のA-2って所かなあ。

でも、社員の知識力は不足気味です。だから、自分の会社に評価をつけるとすると△ぐらいかなあ。

私個人でいくと、やっと先行業者さんの背中が遠くに見えてきたって程度かなあ。

 

努力あるのみです。

 

地下水の飲用リスクとは

今日は、少し法律改正の話とははずれます。

 

土壌汚染対策法でも水質汚濁防止法でも、「土壌汚染による人の健康被害」

「地下水汚染による人の健康被害」の恐れがある場合に、土壌汚染除去等の措置命令

地下水浄化命令が発令されます。

 

ただ、水質汚濁防止法に基づく地下水浄化命令というのは、記憶が正しければ一度も発令されたことは

ありません。

 

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染除去等の措置命令については何件か出ています。

それでも数えるほどです。

 

ほとんどが、命令を背景とした行政指導によって地下水浄化、土壌汚染除去をさせているケースが多い

と思われます。

 

命令を出すには「土壌汚染による健康被害」、「地下水汚染による健康被害」が生じる

おそれを行政で根拠づけしなければなりません。

 

 土壌汚染→地下水汚染→地下水飲用

 地下水汚染→地下水飲用

 

これを、ちゃんと事業者に示して命令を発令しなければなりません。

(土壌汚染の場合は直接摂取リスクの観点もありますが、ここでは「地下水経由」のみに絞ります)

 

じゃあ、地下水の飲用とは何か?

 

土壌汚染対策法でも水質汚濁防止法でも要件はほぼ同じです。(土壌汚染対策法の方が厳しいですが)

簡単に書くと、

 

(1)人の飲用に供する井戸があること

(2)地下水を水道用水源にし、その取水口があること

(3)災害時の非常用井戸の取水口があること

(4)汚染地下水の湧出に起因して公共用水域の水質基準超過が(のおそれが)あること

 

です、これらの一つでも該当すれば「健康被害のおそれ」=「飲用リスクあり」と見なされます。

土壌汚染除去等の措置命令、地下水浄化命令が発令できます。

 

地方へ行くとそうでもないですが、都市部ではほとんどこれらの観点の全てを論じられるわけでは

ありません。

 

「地下水なんて飲んでないからねえ」の一言で終わる場合がほとんどです。

(1)から(4)までちゃんと検討しているわけではありません。

特に(4)なんて正直、検討の仕方も見当がつかないのでは・・・

 

まあ、これが土壌汚染に関しては、

土壌汚染対策法改正で「措置実施区域」、「形質変更時要届出区域」に分類される際、

自主的な調査でも申請すればこの二つに行政が分類してくれるみたいですから。

 

後者に分類されれば、「この土地の土壌汚染による地下水経由の健康リスクは無いですよ」と

行政がお墨付きを与えたとみんなが思うでしょう。

 

自治体の皆さんの精神的なご負担が増えるのではないかと。

というより、ちゃんと指導できるのかと。

簡単に思えて、結構、難しいですよ。

 

土壌汚染対策法改正(2)

今度の土壌汚染対策法の改正の中で大きく変わるのは、

 

【現行】

 土壌汚染対策法に基づく調査を実施して基準値を超過したら指定区域に指定する。

 指定区域に指定された土地は、形質の変更に一定の制約を受けたり、土壌汚染による人の健康被害の

 おそれがある時は、土壌汚染の除去等の措置命令を受ける

 

【改正後】

 土壌汚染対策法に基づく調査を実施し、基準値を超過したら、その土壌汚染による人の健康被害が生じる

 か否かによって「措置実施区域」、「形質変更届出区域」のいずれかに指定される。

 また、自主調査において汚染が発見された場合、事業者等の申請により上記のような区域に指定して

 もらうことも可能になります。

 

実質、実務担当者からすると、たいして違いはないのですが・・・

 

現行法でも、基準値を超過した土地で、土壌汚染の除去等の措置命令を受けるのは「人の健康被害が

生じるおそれがあるか否か」なんですよねえ。

 

改正後でも「措置実施区域」というのは土壌汚染の除去等の措置を実施しなさいって命令を受けることに

なると思います。

 

でも、土壌汚染の除去等の措置≠土壌汚染の除去ってことじゃないんですよねえ。

 

これは、現行法でも同じです。

ついでに、除去等の命令が発令されない指定区域でも、形質変更(土地の掘削など)の制限はあります。

 

土壌汚染があり、人の健康被害の恐れがあっても、別に浄化する必要は無いんですよ。

(一部の物質で、ある一定の濃度を超過したものを除く)

 

土壌汚染対策の基本は、「曝露管理」か「曝露経路の遮断」です。

 

よく、基準値の何万倍とか報道されている土壌汚染も、「人の健康」っていう観点から見ると、あまり

こわく無いんですよねえ。

 

何を根拠に基準値が定められているか?基準値等の数値だけで判断してはいけません。

 

ついでに「土壌汚染対策法に基づく」の「基づく」を赤字にした訳は・・・

 

今の日本で、土壌汚染対策法に基づく調査というのは第三条、第四条を契機に実施した調査です。

改正後は、第三条、第四条、第五条となります。

 

仕事がら、よそ様の報告書を見せてもらうことがあります。

自主調査の報告書でも「土壌汚染対策法に基づく調査を実施した結果・・・」のような記述が見られることが

あります。

細かい話ですが、この辺はとても大事なことだと思います。

自戒の意味も込めて。

 

長くなりました。続きはまたの機会に。

土壌汚染対策法改正(1)

去る3月2日に土壌汚染対策法の一部を改正する法案が閣議決定されました。

 

論点としては、

 

(1)調査契機の拡大

(2)指定区域を措置実施区域と形質変更届出区域に分ける

(3)自主調査の結果、汚染が判明した場合の土地の所有者等の申請による区域指定

(4)汚染土壌を搬出する時の規制(運搬業、汚染土壌処理業)

(5)指定調査機関の質(更新制)

(6)汚染が判明した土地の所有者等に対する経済的支援の強化

 

ざっと見てこの辺でしょうか。

 

このうち(1)については、一定規模以上の土地の形質変更時に土壌汚染のおそれがある土地については調査することを都道府県等が命ずることが出来るとなっています。

 

土壌汚染のおそれがあるか否かの判断は行政がすることとなっています。判断の基準はまだ決まっていません。

 

ここで注目すべきことは、判断基準が、「汚染のおそれがある場合」なのか「汚染のおそれが否定できない場合」になるのかです。

後者の場合、ほとんどのケースで実際に調査を実施するように命ぜられることになると思います。

 

土壌汚染の原因は、何も、有害物質を使用していたからだけではありません。

正直、実際に調査をして、汚染がなかった(=基準値以下)であった場合でも「この土地に土壌汚染は無い」と断言できるケースはあまりありません。

 

ただ単に、一定のやり方で調査を実施して「汚染(=基準値を超過する土壌)が見つからなかった」というのが正しい表現だと思います。

 

まあ、一実務担当者の認識ですが・・・

 

この辺については、これからの議論を見守りながら、随時、紹介していきたいと思います。

PCB

PCBが基準値を超過して検出されたらどうすればいいのか?

 

ここで言う、「基準値」とは土壌汚染対策法の溶出量基準値のことです。

 

ちなみに、土壌汚染対策法でPCBの基準値が決められているのは

「溶出量基準値」だけです。

 

PCBはダイオキシンの一種で、PCBについての含有量の規制はダイオキシン類の特措法で

既に規制がかけられているから、土壌汚染対策法では「含有量」についての規制はしないって

ことでした。

 

この辺の法のすみわけ、結構、迷惑です。

 

ダイオキシンは非意図的な生成物

PCBは意図的に使用していた化学物質

 

このへんはちゃんと言及してましたよね。

 

法律が調査や対策の方針にちょっとばかり迷惑になる話です。

 

溶出量が超過した「土壌」は汚染土壌になります。

 

ただし、その浄化をまともにするとなると莫大な金額になります。

 

前の産業廃棄物≠汚染土壌の話ともかぶりますが、誰がトン当たり何十万もかけて

浄化し再生するん?

 

それなら、ただの無価値物=ゴミ(廃棄物)として取り扱えばいいんじゃないですか?

廃棄物として処理できなくても、

不法投棄で罰金くらった方が、費用対効果的にはいいんじゃないですか?

 

まとまりの無い文章になってます。

詳しくは、またの機会に