ビジネスを取り巻く状況には、自力で解決・改善できるものとできないものがあります。


また、業界によらないマクロなレベルでの影響要素もあります。


一企業や個人ではどうすることもできないものでも、今後どのような脅威が強まるかを予測すれば、対策を講ずることは可能です。


そのための分析のひとつがPEST分析です。


それぞれPolitical(政治)、Economy(経済)、Social(社会)、Technology(技術)の頭文字を示しています。各項目はいくつかの要素から成り立っています。


Political(政治)

国内政治、外交、法律、税制など


Economy(経済)

景気、株価、金利、為替、物価、地価など


Social(社会)

文化、教育、風土、風習、言語、宗教、流行、世論、人口など


Technology(技術)

技術革新、技術的習熟度、技術の普及、特許など


以上のようになります。


それぞれの項目に関して分析を行うわけですが、具体的な方法については次回。

経営といえば誰もが必ず一度は目にするのがマイケル・E・ポーターの経営論。その中でも、5フォース分析はもっとも有名なものです。


とはいっても、理解している人は意外に少ないのではないかと思われます。


本来、マクロに業界を分析するためのものですが、ここではより実務に近いところに適用して、その考え方を現実のビジネス上で利用できるようにしましょう。


たとえば、顧客に適用して顧客の課題を解決することができれば、そればビジネスになります。


5フォース

これはビジネスがさらされる5つの脅威のことです。


競合企業の脅威

基本的な脅威です。ライバル企業です。


新規参入企業の脅威

これまで無関係だった企業がライバルとして出現するということです。


代替製品の脅威

既存製品が不要になる新しい製品ということです。


売り手の交渉力

原料費、材料費、賃料、人件費、輸送費などの値上げ


買い手の交渉力

値下げ圧力、保障の充実、納期の短縮



例えば、ラーメン屋を考えると、新規参入企業の脅威としては近所のファミレスや有名チェーン店があり、代替製品の脅威としては、インスタントラーメンやカップ麺などがあがります。


これらの脅威がその顧客の課題となりますから、これに対抗する提案が解決策となりビジネスになります。


麺の食感などインスタントで再現できない特徴を強化するとか、セントラルキッチン方式では対応できない素材の使い方とかでそれらの脅威を回避できれば、ラーメン屋というビジネスの継続に役立つわけです。


5フォースの考えを適用して、ビジネスの方向を決めることができるわけです。


5フォース分析は簡単に済ませますが、ポーターの原著(日本語訳あり、解説書も多数あり)にあたることをお勧めします。


次回は、今回にちょっと関連のある話。


今回は解釈の変更の話でしたね。


有名な話では、雹(ひょう)の被害を受けたりんごの話があります。ご存知かもしれません。


雹は氷の粒が雨のように降る現象ですが、収穫直前のりんごがこの雹の被害を受けたことがあります。氷の粒がぶつかったりんごの表面には傷跡が残りました。通常、こうなったりんごはジュースの原料として安く取引されるのですが、このときは通常のりんご以上の人気で販売されました。


朝夕が特に冷え込む高原で育ったりんごは、りんご本来の甘みが増すといわれています。そんな高原の特徴のひとつは、雹(ひょう)が降ること。

今回わずかですが入荷したこのりんごは、そんな高原で育てられました。

その証拠は、その皮に残る雹の跡。

雹の降る高原育ちのりんごをお試しください。


と書いたかどうかは知りませんが、雹降る高原りんごはたちまち完売したということです。


翌年、雹降る高原りんごの入荷はまだかという問い合わせが多くて困った、という話もありますが。


もうお分かりですよね。


雹による皮の傷という決定要素の否定的特性を、決定要素の肯定的特性に変えたわけです。


もちろん、りんご自体が変わったわけではありません。皮の傷がりんごの品質を落としていないこと、りんご自体がおいしいことなどの条件があってのことですが、おいしいりんごなのに見栄えが悪くなってしまってジュースになるところを逆転したわけです。


これを解釈の変更と呼んでいます。


これから設計を始める工業製品ならば、特性の変更も可能ですが、変更できない商品もたくさんあります。


これを解釈の変更で売れる商品にするわけです。


この場合の注意点はひとつ。販売者側の都合で解釈を変えてはならないということです。

あくまでも顧客の視点で、顧客の問題を解決できるという解釈を見つけるということが重要です。


めったに入荷しない、雹降る高原りんごを味わうという楽しみを顧客に提供したからこそ、翌年のリピートがあったわけです。


先にも書きましたが、雹降る高原りんごの話は有名ですが、その話だけでは自分のマーケティングに応用することはなかなか困難だと思います。単なるいい話になってしまいがちです。


特別な才能がある人にしかできない名人芸のようになってしまいます。


アトリビュート分析の効用はここにあって、どこにフォーカスして新しい特性を見つけたり新しい解釈を考えたりすべきかを明確にできるわけです。


その一点に集中することによって、天才でなくても大逆転の可能性を見出せるということですね。


なるほどと思ったら、やってみてください。この記事を読んだ人のほとんどは、なるほど、といったきり実行しませんから、差をつけるのは簡単ですよ。


では、今回はここまでです。