ネタばれ注意!本誌ACT196(1/5発売)の関連妄想です!
未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!
にも初提出とさせていただきました!
メロキュンになるかちょっと怪しいですが、よろしくお願いします~
長くなりそうなので、タイトルを分かりやすいようにナンバリングしました。
亀の歩みで進みますがよろしくお願いします。
これまでのお話
ACT196妄想-14-(side/R-8)
「・・・・・・・俺の・・・こと?」
問いかけに一層大きく瞳が揺れた。
(図星?それとも・・・?)
前者であればこの上なく嬉しい。後者であれば自分はどんな反応をするのだろう?
全く予想がつかない。
いつもそう、未知なる自分を引き出すのはいつもこの子だ。
目の前で大きく動揺を見せたこの子に期待と恐怖が高まる。
でも自分が発した言葉で、もうこの先もとの状態に戻れないことだけは分かった。
ならば、進むしかない。
肩口の赤い痣を押さえつけて隠した掌の中がじわりとわずかな熱を発しているような気がした。
熱いのはこの子の肌の上に咲いた花なのか、それとも自分の掌なのか。
「…ごめん…なさい」
耳に入ったのは謝罪の言葉。
クローズドクエスチョンである俺の問いに対しての答えとしては少しかみ合わないその言葉だが、後者としてとらえるには十分すぎる言葉。
(あの言葉は誰に向けたものだったんだ?この痣の持ち主か?)
予防線を張っていても突きつけられた言葉に、収まった黒い気配がまた蠢きだす気配がした。
でも、そう何度も簡単に飲まれてしまうわけにはいかない。
問い詰めてしまいたくなる衝動を飲みこんだ。
(・・・決めたじゃないか、諦めはしないと)
今抱えているこの感情はたった一度の挫折で放り出してしまえるような想いだろうか?
何度押さえ込んできても溢れて、新たな自分を教えてくれたこの感情。
芝居ではなんど潰されても諦めきれずに、挑み続けて今の自分がある。
今の自分を形作るのは芝居への熱意とこの子への恋心だ。
ならば、芝居に対してそうしたように同じように何度も挑むだけ。
誰にも心を開かなければ俺がこじ開ければいい。
他の誰かを見ているなら振り向かせればいい。
覚悟を決めてしまえば、身体は勝手に動いていた。
想い悟られないために、触れたい衝動を何度も抑え込んできた。
ただの先輩ではなく男として意識されたい。
「ごめん」
(自分勝手でごめんね・・・?)
決めた途端に触れたいと衝動を抑えられなくなった。
俺のこの言葉を君はどう捕えたのだろう?俺を映していた瞳はすっと閉ざされてしまった。
視線がなくなったことで、もう止められなかった。
視線が合ったままなら、途中で拒否の色を見つけて怖気づいたかもしれない。
目を閉じたこの子との距離を縮めた。
涙の後を残す頬やまつ毛が至近距離に見えて、鼓動が跳ねる。
演技でキスシーンなど何度も経験しているのに余裕なんてまるでなくて、自分の鼓動が耳元で打ち鳴らされているかのように大きく聞こえた。
赤い唇に吸い寄せられるように、自分のそれで触れた。
(・・・柔らかい)
触れた唇は少しひんやりして、予想通りの柔らかな感触に胸が締め付けられる。
(もっと触れていたい)
予想していなかったであろう驚いた君は目を見開いて俺を見ているんだろう。至近距離で戸惑いの気配と視線を感じる。
「・・・つ・・・!?」
触れていた唇が声を発しようと開いた瞬間、何の抑制もきかず舌を差し入れ口内を犯した。
驚いて逃げ惑う舌先を捕まえて絡め取り、歯列をなぞって余すことなく味わって。
「・・・っ、・・・んーっ!」
ろくにキスをしたことない相手には深すぎる口付けは呼吸を奪って苦痛を与えていた。
ドンドンと胸を叩かれたことで、夢中になっていた意識が引き戻される。
涙を浮かべて苦痛の表情で抗議するこの子を視界におさめ、ようやく暴走した自分に気が付いた。
名残惜しい気持ちもあったが最上さんからいったん離れれば大きく肩と胸を上下させて呼吸を繰り返す彼女がいた。
「・・・っ、!はぁ、・・・はぁ、・・・はぁ・・・・」
きっと混乱しているだろうことは、苦しげに息を整えるこの子の表情を見れば一目瞭然だ。
ホントに衝動的に、触れたいと思ってキスをしたのは自分で。
この子の気持ちすら手に入れていないのに唇を奪って。
こんな自分勝手やり方で軽蔑される危険性まで負って。
何をしているんだとどこかで自分が叫んでいるが、もう止まってもどうしようもない。
(・・・逃さない)
「・・・役者の心の法則、使えないからね」
先輩の言う事を守る出来のいい後輩だって分かっていたから、最初に釘を刺す。
(君が欲しくて、触れたくて取ってしまった俺の行動の意味を曲解なんてさせやしない)
自分が教えた方法でこのキスをなかったことになんてさせない。
キスがどういう感情のもと行う行為かくらい、いくら愛の欠落者であっても知識としては知っているだろう。
このキスに、欲望なんてなかったなんて絶対に思わせない。
「・・・はっ、・・・はぁっ・・・、え・・・?」
まだ大きく肩で呼吸している最上さんはさっき釘を刺した言葉はまるで理解していないようで、荒い呼吸の合間に疑問の色をにじませていた。
「今、俺が君にキスした意味…わかる?」
はっきりと『キスをした』事実を伝えて。
でも鈍すぎる君にも、いまだ隠したままの左肩の花にも小さな苛立ちが消えなくて少し意地悪な表現だったとは思う。
「へ?・・・あ、・・・キス・・・?」
「そう、分かる?キスされたの」
まだ呆けているのか状況を理解しているとは思えない反応に、逃げ道を塞いでとにかく現状を理解させることにした。
「分からない?」
目を見開いて俺を見てはいるが、思考は停止してしまっているんだろうか?
君のことなら、現状を認識すれば赤面の一つでも何か反応があってもよさそうなものを。
それなら・・・
今度は視線をはなさないまま、ゆっくりと顔を近づけもう一度その唇に口付けを落とす。
(今何をされているのか、理解している?)
静止したままの彼女に、また貪り尽くしたくなる衝動を抑えて唇を啄むだけ。
最後にちゅ・・・とリップ音を残して離れると、ようやく静止した表情が少し動き、赤みが引いた頬に再度朱が差す。
その反応を確認して、ようやく一番伝えなければならない言葉を口にできる。
「俺は君が好きだよ」
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ヘタ蓮、開き直るの巻。
・・・やっぱりダメ男(泣)orz
っていうかちゅーして終わったおかしい、このくだりまだ続くの!?
今回もチョイ短いけど、一回ここで切ります。