ACT196妄想-11-(side/K-5) | 妄想最終処分場

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ネタばれ注意!本誌ACT196(1/5発売)の関連妄想です!

未読の方、コミックス派の方はバックプリーズ!!

















蓮キョ☆メロキュン推進!「ラブコラボ研究所」

にも初提出とさせていただきました!

メロキュンになるかちょっと怪しいですが、よろしくお願いします~


長くなりそうなので、タイトルを分かりやすいようにナンバリングしました。

亀の歩みで進みますがよろしくお願いします。

これまでのお話

ACT196妄想-1-(side/K-1)

ACT196妄想-2-(side/K-2)

ACT196妄想-3-(side/R-1)

ACT196妄想-4-(side/R-2)

ACT196妄想-5-(side/R-3)

ACT196妄想-6-(side/K-3)

ACT196妄想-7-(side/R-4)

ACT196妄想-8-(side/K-4)

ACT196妄想-9-(side/R-5)
ACT196妄想-10-(side/R-6)






ACT196妄想-11-(side/K-5)



「・・・っく・・・・・ごめん・・・なっ・・・さ・・・っ・・」



(・・・浅ましい)


伝えても、許されることなんてないのに。

打ち壊されてもいいと覚悟したのに口をつくのは懺悔の言葉で、どこかで許されたいやり直したいと思っている私がいることに気が付いた。


「・・・・うっ・・・ごめ・・・なさ・・・っ・・・つる・・・がさ・・・っ・・・」


敦賀さんに呼びかけることは白旗を上げることを意味する。

見透かされているのはわかっているけど、カインじゃない彼の名を呼んで私が演技ができていないことを認めてしまった。


「・・ぅ・・・っ・・・・ご・・・めん・・・なさ・・ぃ・・・」

自分で降参しておいて、それでも悔いているのか許しを請う言葉を繰り返すのをやめられない。


「…どうして…?」


(どうして…なんて、分かっているのに言わせるなんて酷い人)


降ってきた言葉は残酷だ。

もっと酷いことをしているのは私の方なのに、向けられた言葉に心が軋んで恨み言が心中に浮かぶ。


「・・・ふっ・・・うっ・・・ごめ・・・っ…」


それでも、謝罪の言葉は止められなかった。


敦賀さんは自分の非を認めた人に、それ以上無益な追い打ちなどかけない大人な対応ができる人だと知っていた。きっと私はそれに無意識にすがっていたのだろう。


「・・・わ、私、が・・・セツカじゃない、からっ・・・」


根底にあった独占欲は知られてはいけない。


「・・・だから、キス・・・したんですか・・・?」


「・・・!」


小さく息をのむ気配がした。

きっと図星なんだろう。私がセツカになっていないことなど一目瞭然だ。

きっと、歯型の中心に刻んだ『私』の独占欲も見抜かれている。

そうでなきゃ、こんな風に・・・妹になれない私を揺さぶるようなカインの独占欲を刻み付けたりしない。

噛みつくような口付けは、私にセツカを出せと強引に迫るものだった。


怖くて、恐ろしくて貴方を見ることができずに、自分の視界を両手で遮っていた。


「誓い、を・・・破って・・・セツカになれない、私だから・・・カインの印を・・・」


認めてしまうのも恐怖だけどそれ以上に何とか許しを得たくて、浅ましく「心中の告白」を装った言い訳をして。
私がセツカであればカインでいてくれると誓ってくれたのに、貴方はカインなのに私はセツカになれないただの最上キョーコのままだ。


「演技が、できないっ、・・・っく・・・私に、セツカになれって・・・キ・・・スを・・・・」


(演じることができない・・・自分を作っていけない・・・)


自分の言葉で自分の胸に刃を刺しているようだった。

知りたくない、認めたくない。

でももう私はすべてを懺悔して、卑怯にも許されたいと思っているのだ。

一度収まりかけたのに、苦しさが込み上げてまた涙と不規則な呼吸に声が乱れる。


きっとカインとして私に接した敦賀さんは、何時までもセツカになれない私にあきれているだろう。



≪・・・どうしてはそこまで許されたいの?≫

不意に私の中で、また雪花の気配がした。



『わかるよ・・・よく、分かった』

脳裏によみがえるのは、柔らかな笑顔と以前自分に向けられた言葉。



(・・・だって私を信じてくれたから)

私が芝居の道に足を踏み入れたとき何よりも仕事に誇りを持つ敦賀さんが、偽りなく甘やかな笑顔を向けてくれた。不純な動機で飛び込んだ世界で私が見つけたものを信じてくれたから。


「カインの隣っ、に、セツカでなきゃいけないのに・・・ぅ・・・なれないっ・・・んです」


認めたくなかった。

それは私を信じてくれた貴方に裏切りを重ねた自分を認めることだから。


「気が・・・付いて、しまっ・・・て・・・」


独占欲を持ったのはセツカじゃなくて自分だった。

それは、演技ができていない自分を自覚したきっかけ。

真剣な目で私を信じてくれたあなたは私が裏切りを犯していたこと知ったらどう思うだろう?

「何に?」


続きを促す言葉にもう逆らうことはできなかった。

言いたくなのに、自分の言葉を止められない。

白状してしまえばきっと呆れて見限られてしまう。

嫌われて、拒絶されて、また一人になってしまう。


「演技者失格なのは、分かってます。・・・私、ずっと・・・セツカじゃなかった・・・」


(・・・嫌われたくない)



≪ね?なんで嫌われたくないの?≫


内にいる雪花だったは最後の砦を崩しに来た。

なんで雪花は私にこんなことを言うのだろう?

脳裏に浮かんだ雪花はさっきの意地悪な笑みではなく少し悲しそうな表情だったような気がする。



(好きな人に嫌われたくないなんて、当たり前じゃない・・・!!)


もう私には抵抗する力なんて残ってなかった。


独占欲の正体は雪花に吐露した言葉のなかにあった。




「・・・っ!・・・」


顔を覆っていた手首を掴まれた感触に、現実に引き戻された。

掴まれた手の熱に、急激に頭に血が上った。


(私、何を考えてたの!?)


たった今見えてしまった独占欲の正体と、自分の手首を掴んだ人に頭を巡らせたら一気に混乱が襲ってきた。



子供っぽい自分が嫌だったのは、敦賀さんの恋愛対象になれないからだ。

キスマークを残したのはあなたを独占したい私だ。

貴方のキスを拒んだのは、過去に嫉妬する私で

所有印をつけられたら、セツカに向けたのに勘違いしそうになる自分に予防線を張るためだ。



「許して・・・下さい」

(見ないで・・・)


さっきと同じ、顔を見られたくない衝動。

だけど理由はこの一瞬で変わっていた。


きっと敦賀さんの顔を見たら自覚したばかりのこの想いが溢れてきて、何を口走るか分からなかった。

私の手をどけようと手首を掴んだ手に力が入るのがわかった。


(知られちゃいけない、私の気持ちは・・・!)

誰も愛さないはずだったのに。

知られてしまえば余計に迷惑で隣に居づらくなってしまう。


「頑張るから・・・セツカになるから・・・」


(そうよ、早くセツカになって。セツカはカインが好きなんだから、セツカになれれば大丈夫)

この状況を打開するには、もうセツカを装うしかなかった。不自然でもなんでもいい、セツカになれればきっとこの状況も乗り切れる。

「隣に・・・そばに居させて下さい」


さっきよりも雪花が近くに来ている。早く早くと言いながら彼女の手を取ろうと必死だった。

それでも、混乱の只中で口にしてしまった言葉は私の本心だった。


(どうか嫌わないで、そばに居させて)

虫のいい望みだって分かっている。それでも願わずにいられない。


今迄の自分の言動のが総てがつながっていく。


(総てはあなたが『好き』だから・・・)


私の抵抗も空しく、強い力で手を引かれ視界が開けた。

まっすぐに私を見つめる瞳に目がそらせないけど、もう止められない涙で視界がぼやける。

私をみる瞳がカインなのか敦賀さんなのかもよく見えなかった。


ぐちゃぐちゃに入り乱れ、混乱した頭はなぜだか一番口走ってはいけない言葉を口元にかたどってしまっていた。



「・・・すき・・・」



涙でぼやけた視界の向こうで、驚きに目を見開く貴方が見えた。


ようやくそこで私は何を口走ったのかを自覚して、手で口を押えようとしたが掴まれたままの手は動かせなかった。


隠すことの叶わなかった私の顔は涙でぐしゃぐしゃで、自分の言葉に驚いてとてつもなく変な顔をしていることだろう。


次第に熱くなる顔と、耳元で響く心臓の音が爆竹のように激しくなるのが聞こえた。




続き→

ACT196妄想-12-(side/R-7)


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うん?軌道修正大失敗!!

おかしな方向にまた転がりましたね・・・


それにしても、キョーコさんの本当の自覚はここまでギリギリでした。

そしてうっかり告白。どーすんだコレ。(←毎回そう言ってしまってますが)

なんだか一人で無茶振りリレー小説書いてる気分になってきた汗