【第4回再放送】が終わって市販された、
特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]
の作品から抽出しました。
市販品なので、
(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、
スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想)のみ
にとどめます。
将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。
※ 特別機動捜査隊 まえがき
捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。
また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。
なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。
配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。
☆・・・#137 ハンドル
特別機動捜査隊(第137回)ハンドル
(収録DVD)・・・VoL6、disc1、2021年10月13日発売
(本放送)・・・1964年6月10日
(脚本)・・・守田二郎
(監督)・・・大岡紀
(協力)・・・警視庁
(協賛)・・・無し
(助監督)・・・鈴木一也
(劇中ナレーター)・・・島宇志夫
(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班
西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、科研員(北峰有二)、
鑑識課員(上田侑嗣)、橘部長刑事(南川直)、荒牧刑事(岩上瑛)、
桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、立石主任(波島進)
(出演者・オープニングまたはエンディング表記)
・・・劇中優先のため配役名表記を省略
白根一男、有木三太、伊吹新、永島岳、佐々木清野、直木みつ男、伊東阿津子、
松尾佳子、石田守衛、田中敏夫、田所千鶴子、関山耕司、河合絃司、久保一、
小杉義隆、中村すみ、川野孝司、吉原正皓、松方信、武石昇、文部おさむ、赤城宣子、大竹淳吾、南治、浅井淑子、伊達弘、弘川恵造、斉藤力、長崎琢、小森英治、荻健司、松原美智夫、佐藤薫、小黒紀二、馬場浩、古賀一雄、
<友情出演>丘野美子、高城丈二
(あらすじ・予告篇から)
・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。
ジプシーだ!
ハンドル貸しだ!
と蔑まれ、歪められた風土の中に生きていく人々・・・。
運命の罠にはまり、殺しの一端を担ったひとりの男の悲劇!
捜査線上に浮かんだ1台の車・・・。
雑踏の都会に暗躍する謎の車を追う立石班!
か細い光に向かって、這い上がろうとする一家族・・・。
背景となる工場地帯で、
事件を追う次回作、「ハンドル」に御期待ください。
※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。
※当巻末の映像特典・次回予告篇集に収録
(備考)・・・
・「ハンドル貸し」とは、タクシー運転手が、自分の車を他人に一定時間貸して稼がせ、自らは(その他人から)不当なリベートを取るという隠語(weblio より)。
・当作、特別機動捜査隊(第138回)献身、と北峰有二演じる科研員が登場。後年の#251 終電車の女【スペシャルセレクション】 にも登場しているが、この3作以外の登場は、当稿時点で【第1回再放送】【第2回再放送】を未見のため未詳。
・花子を演じた丘野美子は日活出身の女優・歌手、特捜隊にも#126 天使の乳房【スペシャルセレクション】 で出演。当作へは、高城丈二と並んで「友情出演」ということだが、誰に対してのものかは現在のところ不明。
・加賀嘉吉を演じた有木三太は、ブログ・邦画ブラボーの2008.4.12のコメント欄に、「仲代達矢の母方のおじさんは、コメデイアンの有木三太です」とある。
・足立区小台町(オダイマチ)は、当作の約2年後、1966年から徐々に現行町名(小台1丁目、2丁目)への移行がなされ、1989年には小台町の旧来表記が完全に消滅した。なお、足立区古川町の町名は、過去も現在も見当たらない。
・作業員の目撃したタクシーについては、当初は「白いタクシー」だったのが、特捜隊本部ではいきなり「ツートンの白/黒のタクシー」とされている。以下本文では、作業員証言をそのままに下線を引き、(註・備考参照)とした。
・特捜隊本部の板書には
>6月5日
>荒川放水路殺人事件
>被害者 佐山市五郎(註・読みは、サヤマ イチゴロウ)
>死因 刺殺
>重要参考品 ドライバー、靴、手拭
>其の他 タイヤ跡、靴跡
とある。
・劇中の「王子 熊野神社」は、「北区志茂」と「北区王子本町」とのいずれかと思われるが、「荒川」に重点を置くなら前者が該当すると推察。
(視聴録)・・・開始約分半まで
(ネタバレしない範囲での一般的感想)
主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。
(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。
〇丹下組・組長・・・・・・・・・・関山耕司
〇同・幹部
〇同・組員(3人)
〇同・元組員・佐山市五郎・・・・・伊吹新
〇酒場・女将
〇同・板前
〇同・酔客・小泉さぶろう・・・・・永島岳
〇小泉の娘・勝子・・・・・・・・・伊東阿津子
〇小料理さぬきや・店主・・・・・・石田守衛?
〇浅草・間宮靴店・店長
〇同・店員
〇本田土建・年長作業員
〇同・作業員(6人)
〇事件通報者
〇ささきタクシー・社長
〇同・社員
〇同・整備員
〇同・運転手・飯沢しょうじ・・・・直木みつ男
〇別のタクシー会社・社員・・・・・吉原正皓
〇岩崎運輸・社員
〇同・運転手・加賀敏夫・・・・・・白根一男
〇加賀の妻・花子・・・・・・・・・丘野美子
〇加賀の父・嘉吉・・・・・・・・・有木三太
〇加賀の母
〇加賀の妹
○加賀の近所の主婦(4人)
〇嘉吉の勤務先指導員
○タクシーの乗車客・・・・・・・・高城丈二
〇自動車販売員
○救急病院・医師
○同・看護婦(3人)
〇刑事4課・木村 ・・・・・・・・・河合絃司
〇所轄署刑事・よしの
〇所轄署警官
「急報を受けた立石班は、直ちに足立区小台町○番地、荒川放水路埋立地へ急行した」(ナレーションから、番地発声をボカして抜粋)
状況は、工事担当の本田土建作業員たちが土砂を片付けようとしたところ、川にうつ伏せで浮かぶ男性を発見したものだった。鑑察医は、死因を細身の凶器で心臓部を一突き、年齢は40歳前後、死後3日経過したものと、立石主任に所見を述べる。これに橘は、怨恨なら何度も刺すだろうから流しの犯行かと考える。また、立石主任は、所轄署警官の「夜10時ごろから満潮、翌朝6時に干潮になる」との話から、上流で投げ込まれて下流の発見現場に流れ着いたことは有り得ないと判断。
立石主任は全員を集め、死体発見現場付近を重点的に、荒牧に聞きこみを、桃井・岩井田に遺留品の発見に努めるよう指示を出す。そして、立石主任は、被害者の風貌から一般人では無いと橘に語ると、橘も同意。ただ、橘は被害者が暴力団員なら身元の割り出しは容易だが、身内ゆえ詳細は話したがらない傾向であることを危惧する。
荒牧は作業員たちに聞きこみ。すると、年長作業員から、3日前(註・6月5日)の深夜1時過ぎ、小便で外に出ると、通行止の看板を無視して、行き止まりの川原(立入禁止地域)まで降りてきた「白いタクシー」(註・備考参照)を目撃したという。
桃井・岩井田は、その行き止まりの川原近くで、タイヤ跡と争ったような靴跡とを発見。そこに、荒牧と作業員が合流、年長作業員は5日以後に立入禁止地域への車の出入りは無いと言明。立石主任・橘も合流して情報をまとめる。
そして、岩井田が被害者の靴を外して靴跡に被せると完全に一致、立石主任は、靴跡のひとつは被害者のもので、もうひとつは犯人のものと確信、タイヤ跡・靴跡を鑑識に回すことにする。さらに、立入禁止地域で、犯行が行なわれ、被害者の死体が川に投げ入れられたものと断定、この周辺を捜索するよう指示を出す。
すると、荒牧が手ぬぐいに包まれた1本のドライバーを発見。立石主任は、血痕付着を確認して凶器と断定、鑑識に回すことにする。しかし、犯人が持ち去ったのか財布・時計などの所持品は発見されず、唯一、被害者の靴だけが所持品と見受けられた。橘はこの靴を凝視。どうやらメーカー発注品のようで、「マミヤシューズ 東京浅草」の文字が読めたため、立石主任は、荒牧・桃井に浅草への捜査を指示する。
そして、間宮靴店を訪れた荒牧・桃井は、持参した靴を店員に見せると、採寸したこともあり、丹下組の佐山のものだという証言を得る。この報告を無線連絡で受けた立石主任は、そのまま丹下組に向かい聞きこむよう指示、自分たちは特捜隊本部に戻り佐山の前歴を調べることにする。
しかし、丹下組を訪れた荒牧・桃井は、組長から、佐山は1年前に破門、それ以来1度も会っていないこと、住所不定・妻子無しということしか聞き出せず、他の幹部・組員たちも同様の返事しかしなかった。
特捜隊本部の西本捜一係長・立石主任に、鑑識上田から、ドライバーに犯人らしき指紋を検出、ドライバー・手ぬぐいの血痕は被害者の血液型B型と一致、などが報告され、タイヤ跡・靴跡の石膏が提出される。
佐山の前歴を調べていた橘・岩井田は、犯罪者カード資料を提出。佐山は、傷害で前科5犯、詐欺・横領で前科3犯、麻薬密売での摘発歴を報告。この中でも、立石主任・橘は、麻薬密売の件が怪しいと見解が一致する。そこに、荒牧・桃井が戻り、丹下組の報告とともに、犯罪者カード資料を目にする。
これらから、西本捜一係長は、麻薬担当の刑事4課の木村刑事に聞いてみるようアドバイス。そして、刑事4課を訪れた立石主任・橘は、木村から、最近浅草から王子・三ノ輪にかけて麻薬が出回っていること、佐山の内偵を始めたばかりということで、1週間もすれば全貌を明らかにして報告できると話される。
そして、立石主任は、麻薬の件は4課からの報告待ちだが、すべての情報を総合して、63年型のトヨタセダンで、「ツートンの白/黒のタクシー」(備考参照)を都内各所に緊急手配する方針を立てる。さらに、「現場百回」に倣い、再度、犯行現場を捜査することにする・・・。
特捜隊についての自分の見方は、刑事ドラマ、人間ドラマ、双方の観点から述べることが多いのですが、当作はどちらの点も届かないかなの印象でした。
刑事ドラマの点では、佐山の死体が発見(以下、第1事件と略)されたあとに、新たな死体が発見(以下、第2事件と略)されるのですが、
(1) (第2事件が)第1事件の当日か翌日かが不明瞭な点
(2) 第1事件と第2事件の死体発見現場が、近いように描写される点
(3) 第1事件での潮の満ち引きが、第2事件では反対になるという点
という矛盾に陥ります。
これがなぜ矛盾しているのか? ということは観賞して確認していただきたいのですが、自分には?マークがちらついた内容でした。
併行して、結局、刑事4課の出番はどうなったのか? とか、現場検証で、同じ台詞を何度も繰り返す捜査員の姿をみると、構成(脚本)に問題があったとも考えます。
人間ドラマの点でも、
>か細い光に向かって、這い上がろうとする一家族
というのであれば、法令違反をなぜ行なったのかという点で、反省した形跡も無く、「生活のために仕方が無い」とは到底思えない構成になっています。さらにいえば、予告篇の内容は、本篇とは関係の無いあらすじになっているため、観ていて首を傾げるところも多々ありました。
こうして考えると、脚本・守田二郎、監督・大岡紀、スタッフに辿り着きます。
脚本・守田二郎は、後年リメイクされることが多いのですが、スペシャルセレクションシリーズを観賞した限りだと、それが松井稔・柳節也・小川記正の脚本になっているのを見かけます。これをもって、戦前の梶原金八のように、複数の脚本家が「守田二郎」の名前で作品を執筆したのでは、と書いたことがあります。
また監督・大岡紀にしても、名前が出るのは特捜隊と、もはや失われたフィルムと思われる鉄道公安36号のみで、いずれも中井義プロデューサーの作品群です。もしかして、若手助監督に大岡紀の名前でメガホンを持たせたのでは・・・とも考えます。
これらから、当作の出来栄えが著しくないのは、若手の脚本家、監督(助監督)に担当させた可能性も有り得ます。特に、特捜隊は予算を絞られていたことが、映画秘宝のムック本で目にしたことがあるので、それを考えると「むべなるかな・・・」とも思います。
ただ、当作の本放送時点でのタクシー業界については、#118 ながれ【スペシャルセレクション】 と並んで観賞するとなかなか興味深いものがあります。時は、東京オリンピックを迎えようとしているときなので、この一大ムーブメントをきっかけに、法体系が整備されていったとも理解できます。
そして、その直前に、#141 おんな【スペシャルセレクション】 で、藤島班が再編成されたというのも、特捜隊の歴史では興趣を沸かせます。