こんばんは、本日は2019年12月31日(火)大晦日です。

いつもですと、更新は木曜日、2020年1月2日になるのですが、今年は新年早々、いろいろ多忙が予測されたため、通常の更新を断念。

今年中に更新することにしました。。。

 

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#734  絶望を越えて

 

 

 

(本放送)・・・1975年12月3日

(再放送)・・・2019年12月26日

(脚本)・・・西沢治

(監督)・・・鈴木敏郎

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

高品格、川代家継、藤田淑子、作本都、沢田勝美、市原清彦、湊俊一、

小林テル、石川敏、菊地敏昭、今村洋、尾崎清光、村田英雄、石橋雅史

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

・・・・・・・・・・(老人が、事件を告白する場面)

老人 「妻を殺したのは、私です。私がこの手で・・・、

    この汚い手で、絞め殺したんです・・・」

・・・・・・・・・・(以下、ナレーション)

長い間、病気で寝たきりの老妻の看護をしてきた老人が、

生活にも看病にも疲れ果て、

妻を殺して、四国は高知県へ逃亡の旅に出たが、

自分の犯した罪に恐れおののき、自首してきた・・・!

訊問を始めた特捜隊・三船班は、老人の自供と検証の結果が、

かなり食い違う点に不審をいだき、

老人の足どりを追って高知県に向かった。

そこで三船主任らが知らされたことは、

世の中の片隅に忘れ去られた、寂しい老人の姿であった・・・。

次回、特捜隊、「絶望を越えて」、御期待ください。。

 

 

(備考)・・・

#730 南国の 旅路の果て 、と、#734 絶望を越えて の2作は、高知ロケ2本撮りであり、引き続き、協賛に地元企業等の表記は無い。

・園長を尾崎清光が演じているが、「掲示板特捜隊 9」によると、台詞の吹替を行なっているとの指摘有り。

・オープニング表記の鑑識員2人の、出演場面が見当たらない。

・「むかい重吉(ジュウキチ)」を、検証本を参考に、以下本文では「向井重吉」と記述する。

 

★序盤で向井重吉が、回想を交えた長い自白を、(おかしなところもあるが)以下に記す★

>昨日の朝8時15分に羽田を発って2時間と5分、まだ朝のうちの10時55分に、

>飛行機は高知空港に着きました。

>私は、逃げてきたんです。

>後ろ暗いことをして逃げてきました。

>しかし、こうして高知に着いてはみたものの、これから先どこへ行くあても

>ありませんでした。

>(高知城、その他市内の風景の場面)

>あてもないまま、私は高知市内を彷徨(サマヨ)い歩きました・・・。

>(川沿いで紳士から、落とした財布を渡される重吉の場面)

>それは、見知らぬ人の親切でした。

>その人の目に、私が病人に移ったとしても、当然だったかもしれません。

>私は、心の中に重くのしかかってくる罪の意識に、苦しんでいたんです。

>(土佐闘犬センターで、2頭の勝負を観戦する重吉の場面)

>気がつくと、私は桂浜の闘犬センターに、迷い込んでいました。

>しかし、土佐犬の激しい闘いを見ても、気は紛れませんでした。

>(坂本龍馬像を見つめる重吉の場面)

>坂本龍馬の銅像が、私に向かって呼びかけてくるんです。

>「向井重吉、おまえは何をしたんだ! おまえは自分のしたことを、

>どう思っているんだ!」

>自分がやった、あのことを・・・。

>(浦戸大橋で海を見つめる重吉の場面)

>いつしか私は、浦戸大橋の上に佇んでいました。

>胸をよぎるのは、妻のことです。東京のアパートに、残してきた

>妻のことです。

>(アパートに帰り、部屋に入った重吉の場面)

>私は、夜の飛行機で、妻が待つ東京に帰ってきました。

>アパートに着いたのは、昨夜11時半ごろです。

>そこに待っていたのは、妻の死体でした。

>首にタオルを巻きつけた妻の死体が、私を待っていました。

>私が殺したんです! 私が殺して逃げたんです!

>(取調室で重吉を訊問する、三船主任・関根・松木の場面)

>そして、私は、すぐ110番しました・・・。

(註・8時15分は、後に石原・水木の聞きこみで8時50分だったことがわかるので、台詞の読み間違いだと思われる)

 

 

(視聴録)

・・・開始約15分前半まで

 

向井重吉(高品格)が、妻・民枝(小林テル)殺害で自首したことから、三船班は検証・聞きこみと捜査に当たり、三船主任・関根・松木は重吉の訊問を行なう(上記の(備考)参照)。そして重吉は、民枝の首にタオルを巻きつけ絞殺したこと、15年前に脳出血で倒れてから口も聞けず身動きも出来ない身体の民枝を、楽にしてやりたかったから殺害したと話す。その反面、民枝を入院させることも考えたが、医師・看護婦の人員不足の実情から不可能であり、自宅看護が続いたことから重吉も看病に疲れ、自身が楽になりたいから殺害したとも話すのだった。と、そこで三船主任が、何時タオルを巻きつけたかを聞くと、重吉は昨日の朝(家を出る前の)7時だったと答えるが、三船主任は後を関根・松木に任せ、東都大学付属病院に向かう。

 

そこでは畑野が、民枝の死亡推定時刻は昨日の朝7時だと解剖医(湊俊一)から報告される。合流した三船主任は、現場での鑑察医・佐伯(市原清彦)の初見で、昨日の朝10時だったことを聞く。解剖医は、佐伯は死後の経過時間を短めにみる傾向があるから10時と判断したのだろうと断言、自分の7時の判断に自信を持っていた。さらに三船主任は、自殺の可能性も聞くが、解剖医は脳卒中による右半身不随の身体では不可能だが、左手・左足がどの程度動いていたかは解剖だけではわからないと答える。

 

病院を出ると、畑野は解剖医の死亡推定時刻と自白から重吉の犯行は動かせないと話すが、三船主任は(鑑察医・佐伯の所見から)何とか重吉を助けたい気持ちで駆けつけたと、真情を吐露する。そこに、石原・水木が合流、石原は羽田空港で飛行機便が供述どおりであったことを確認・報告。水木は成人して家庭も持つ重吉の子に聞きとりを行なったが、母の死を何とも思わず、父の行為についても親とも思わぬ発言に声を荒げていた。

 

その頃、取調室では関根・松木が重吉と食事をとりながら、言葉を交わしていた。重吉は定年退職して15年、その後嘱託として働いてきたが、高齢のため正式に退職を勧告されたことで新しい職を探さなくてはならない現況だった。あまりの境遇に、松木は高知での話を聞きたいと話題を逸らすと、重吉は、浦戸大橋で東京から来た、ささがわ電気社員・ながさわ明(川代家継)と出会ったことを話すのだった・・・。

 

 

ストーリーはその後、明に石原・水木が聞きこみ、浦戸大橋から飛び降り自殺しようとしたところを重吉に止められたことがわかります。明は1ヵ月前、同僚のGF・路子(作本都)と新宿の裏通りを歩いていたところ、チンピラたち(石川敏、菊地敏昭ほか)に襲われ、路子を奪われてしまったことで、後に路子は退職、故郷の高知県佐川町に帰ってしまいました。そこで、明は高知へとやって来ましたが、浦戸大橋から海を見つめているうちに自身の不甲斐なさから自殺しようとしたところを、重吉に助けてもらい、一緒に佐川町に行くことになった経緯を話します。

 

佐川町では、路子の実家で姉(藤田淑子)から、今は佐川町保育園に勤めていることを聞き、訪れることになります。明と路子の関係は以前ほどでは無いものの、何とか収拾するのですが、そこで園長・おぜき(尾崎清光)に会って驚きます。先ほど、落とした財布を拾ってくれた紳士だったからなのですが、重吉は「お願いがあるんです」と言って、おぜきと一緒に保育園の中に入っていった事実が明らかになります。

この聞きこみの結果、特に「お願いとは何か」に関心を持った三船主任は、田中係長の勧めもあり、畑野とともに高知へ出張捜査。所轄署の大西部長刑事(石橋雅史)、佐川町保育園教員・布施(沢田勝美)の協力を得ながら、事件の裏側から真相を追及することになります。。。

 

 

刑事ドラマとしては、#731 昭和枯れすすき で触れた「7年前の関西の某事件のように、可能性はあるものの納得しづらい」と個人的に思うため、どうもしっくりいかないところがあります。また、鑑察医と解剖医の意見の相違についての決着が不透明ぽくみえるところはどうなのかなとも思います。

 

が、それらを除けば、直前作#733 銭湯ブルース に続き、これは面白いと評価できる作品です。脚本・西沢治の「大化け」とでも言えるような脚色・構成でした。題材が、44年前のものかと思えるほど、現在でも直面している社会問題であり、よくこういうところに目をつけたなと。またもや直前作#733 銭湯ブルース の鳶辰ではないですが、「西沢治、なかなかやるじゃねえか」と叫びたくなる思いです。

 

また以前、ロケ2作で同じ監督が担当するようになり、負荷の問題から、1作を捨ててもう1作に全力投球する傾向があるのでは? と指摘しましたが、この点でも高知ロケ前作#730 南国の 旅路の果て よりも上手く出来ており、分散破綻することがありませんでした。

今回も、協賛で地元企業の名称が出ませんでしたが、ストーリーの展開の邪魔にならない程度に、高知城・浦戸大橋・闘犬センター・桂浜などが登場。それが、ストーリーの流れにうまく乗っているところは着目すべきでしょう。これは好調時の、龍伸之介監督のロケ作品にみられる傾向で、鈴木敏郎監督にそれが乗り移ったかのような好調さです。

 

序盤から重吉の独白(自供)が始まるわけですが、この導入部が回想も含めスムーズであり、演じる高品格の(台詞間違いはあるのですが・・・)巧みな演技もあり、あれよあれよという間に、高知の方に目がいってしまうところも、見事なつくりです。

その高知では、上記本文で触れた、「重吉のお願いとは何だったのか」がテーマとなり、それを追及していくうちに、果たして真相は何なのかという三船主任の苦悩。そして新たな問題提起をする畑野。さらに園長という立場から私見を述べるおぜき。この3人のコントラストが、回想の重吉・民枝と相まって感動的なものに仕上がっていきます。この点は、多分、20歳代、30歳代の方にはピンと来ないでしょうが、初老に近づきつつある年代の方には切実なメッセージとなるのではないか、そう思います。

そして、東京での様々な証拠固めに入った後の、特捜隊本部での三船主任、重吉の姿も印象的。数作前の「鬼の三船」の姿はどこへやら、「情の男・三船主任」を上手く描き切っているだけでなく、警視庁前で見せる「いい顔」も忘れがたいです。

 

キャスティングに問題があるようなことが「掲示板特捜隊 9」で触れられていますが、作品の質は充分視聴に耐えうるものであり、秀作と評してもいいと思います。

 

 

2019年も最後になり、2作続けて特捜隊の秀作を観れたことは本当にうれしかったですね。思い起こせば、2019年初頭は特捜隊の再放送(第4回)再開など考えられず、その前年12月には再放送が決定かと、早とちりしたこともありました。

それが、今年の3月14日に再放送されてから(#651 姿なき脅迫者)、あっという間でした。ただ、最終回が#801なので欠番が無ければ、今後再放送されるストックは67回分です。それですと、来年の2020年中には特捜隊再放送分が、すべて完了となってしまいます。

それで、来年の目標とというか希望ですが、なんとか未見の【第1回再放送】【第2回再放送】が、東映chで行なわれるような機運づくりを考えます。

けっこう、【第3回再放送】【第4回再放送】でリメイクが多いという指摘もあるので、その原本である【第1回再放送】【第2回再放送】を観てみたい。

そして、欠番分の回を、発掘・放送してもらいたい。

まあ、こんな意気込みで来年はブログ更新のほか、何らかのアクションをしていこうと考えています。

 

それでは、長くなりましたが、ブログを読まれている皆様も良いお年をお迎えくださいませ。

次ブログの更新は、来年1月2日(木)の特捜隊#735,#736を視聴し終わってから、

1月5日(日)の#735  あるニッポンの悲劇 になる予定です。