※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#709  華麗なる殺人計画

 

 

 

(本放送)・・・1975年6月11日

(再放送)・・・2019年10月3日

(脚本)・・・佐々木武観

(監督)・・・高桑信

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川勝雄)、鑑識員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、石原刑事(吉田豊明)、水木刑事(水木襄)、

松木部長刑事(早川雄三)、田坂刑事(倉石功)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

山科ゆり、山口暁、建部みち子、大神信、菅沼赫、津田亜矢子、若松和子、

伊東光一、花岡菊子、大村文武

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

ある夜、炎に包まれた刑務所から、4匹の野獣が逃亡した。

厳重に張り巡らされた警戒網を巧みにくぐり抜けて、

一軒の豪邸に押し入る。

血に飢えた野獣たちは、

3人の男女を人質に、一体何を企むのか!?

極限状況の中に、飛び散る憎しみの火花・・・。

特捜隊・三船班と機動隊の包囲する中で、

事件は意外な方向に進展していく。

次回、特捜隊、「華麗なる殺人計画」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

鑑識員(田川勝雄)のことを、関根が「みずの」と呼びかけるが、自分が【第3回再放送】以降視聴した範囲では初めて、この鑑識員の苗字が明らかに

→(追加)R4.5.12

当作の約4年前、#503 純愛の海 にて

>水野鑑識員(田川恒夫)、西田鑑識員(西郷昭二)

とオープニング表記されていたため、上記文章を取り消す。

・劇中では、晃子を「あっこ」「あっちゃん」、幸代を「さっちん」と呼んでいるが、エンディング表記には愛称ではなく正式名があるので、それに従う。

 

 

(視聴録)

・・・開始約15分前半まで

 

ある夜、刑務所から、安達(大神信)をリーダーに、須藤(菅沼赫)、森山たつゆき(山口暁)、南原(椎橋重)の4人組が脱走した。その後、4人組は洋装店に侵入、店主(松下昌司)を襲い着衣強奪、城北警察署・北上派出所の警官(未詳)から、拳銃を奪う暴挙に出る。

 

そして4人組はストッキングを被り豪邸屋敷に侵入、安達・須藤は就寝中の今村産業会長・今村(伊東光一)の頭部を殴打、須藤は寝室の金庫を破ろうとする。一方、南原は女中・志津(花岡菊子)を包丁で殺害しようとするが、拳銃を持つ森山はそれを止め台所に監禁、別室へ向かう。そして、今村の娘であり今村産業社長・雅代(若松和子)、その夫で専務・宮崎(大村文武)を応接間へと引きずり出すが、ここで南原はライフルを発見、新たな武器を調達できたと喜ぶ。その様子に恐れた雅代は応接間を抜け出し、非常ベルを押して逃走、南原が追うが、森山は現金を奪った安達・須藤と鳴動音を止め、外に出る。そして、行方を見失った南原と合流するが、車に乗って屋敷から逃げようとする宮崎を発見、逆に車を奪い宮崎を人質に5人での逃走を図る。

 

翌朝、事件が発覚後、東海病院に緊急搬送された今村を、三船主任が見舞うが、松木によると危篤状態が続き予断を許さないという。病室には会長秘書・よしかわ珠美(津田亜矢子)が待機も、三船主任は現場検証もあり、今村邸に同行するよう促す。

今村邸では、先行して関根・田坂が捜査しており、医者(朝倉一)に診察を受けている志津が落ち着き次第、詳細を聞く手はずになっていた。そして、今村・宮崎の寝室、応接間以外は荒らされている気配は無く、非常ベルが壊されていると見立てたところに三船主任が到着。関根は、雅代が刺殺されていたことも報告するが、逃げているところを刺されたなら、傷口が背中にあるはずだが左乳の下にあること、それも心臓を一突きであること、に疑問を呈する。

 

宮崎を人質に車で逃走中の4人組は、今村邸の車がマークされていることを考え、安達が森山・南原に他の車を奪うよう命じる。2人が目をつけたのは街道沿いのレストラン。車で来訪した晃子(山科ゆり)が、友人・幸代(今野博美)と話を終え出てきたところを、晃子ごと車を奪い安達の元へと突き出し、車を乗り換え、4人組に人質2人を加えた6人で逃走を図る。そして、森山の提案で、工事現場の待機小屋に一時避難することになる。

 

その後、乗り捨てられた車発見の報に、三船班が到着。同行したよしかわから、社長(雅代)の車に間違いないこと、車内の遺留品のライターは専務(宮崎)のものという証言を得る。と、そこに田中係長から無線連絡が入り、よしかわを今村邸に戻すよう指示が出る。今村産業あてに得体の知れない電話が度々入り、夜には今村邸に電話をかけるという。どうやら身代金の要求と思われ、事件は佳境に入ってきた・・・。

 

 

ストーリーはその後、今村邸で関根・田坂・志津が見守る中、よしかわが身代金の要求電話に対応しますが、逆探知に失敗。うまく切り抜けた4人組ですが、ラジオで雅代の死亡が放送されたことで、焦り出します。そして、あくまでも金目的で押し入ったのにと、安達は雅代を追いかけていた南原に掴みかかります。身に覚えのない南原は否定するのですが、安達は次の一手として、人質の晃子が政治家・瑳珴の娘であることがわかり、その家に逃げ込むことにします。家では晃子の父母が葉山へ静養に行って、片足が不自由な晃子の姉(建部みち子)が、ひとり留守番をしていたのですが、そこに晃子の車が帰って来たことで(開始約21分半ば)この先どうなるのか・・・? というところでストーリーは後半に移ります。

 

 

当作は、脱走した4人組の目的が「逃走」だけであるなら、脱走後バラバラに行動するのでしょうが、ひと固まりで行動するわけは? という点にポイントを置いて展開。「金目当て」というところがわかってからも、警察の目をくぐりぬけ、ここまで固執する理由は何かを、今村家での殺人事件と併行して描いたものです。

クライマックスはどんでん返し要素有り、勧善懲悪も有りとなかなか盛り上げてはいるものの、そこに至るまでの経過がまどろっこしいというか、各自の発言・行動が視聴者から観て、なぜ周りの人たちは不自然さに気づかないのか? 

これらが目立つため、あまり良い仕上がりには見えません。

 

上記本文でも

・なぜ、雅代殺害事件について、軽く触れるだけなのか?

・なぜ、今村邸での逆探知が失敗したのか?

おかしい点があり、自分自身も(完全ネタバレにしたくない意向も有り)、正直上記本文を書くのに苦労しました。これは、当作を実見した方でしたら、どうしてこういう書き方をするのだろうと思われるでしょうが、理由はこういうわけです。実のところをいうと、後半の展開は、もっと指摘する場面が多くなります。。。

要は、脚本・佐々木武観の特徴(私見)である「前半飛ばしの、後半バタバタ」が発展して、前半から鞭を入れっぱなしで、後半どころか中盤で足が止まった感が強い。

 

これは、監督・高桑信という点からみても、特捜隊初演出#678 追いつめられた群(ムレ) (脚本・佐々木武観)では

>構成というかバランスの悪さで、せっかく「伏線からの真相解明」が台無し

>になりかねない出来になっているのは否定できない

と評したのですが、特捜隊2作目#681 襲われた夜 (脚本・横山保朗)では

>1時間枠というテレビドラマに慣れた監督さんでしたら、上手く構成・調整

>できるのでしょうが、映画畑の高桑信監督ゆえ、もう少し時間がかかるので

>しょうか?

と考えました。

しかし、当作に至っては演出力不足を指摘されても仕方は無いでしょう。

 

クライマックスの包囲戦にしても、「ある出来事」は1度目はわかるような気がしますが、2度目は有り得ないことで、これは勧善懲悪で視聴者にカタルシスを与えるどころか、馬鹿にされているような気がして仕方がありません。ですので、細かな詳細は控えたいと思います。

キャスティングは、当時の日活ロマンポルノ女優・山科ゆり、特捜隊のレギュラー・ゲスト共に縁が深い山口暁、個人的に気になる脇役女優・建部みち子(建部道子)、さらには注目の助監督・三村道治と揃えているのに、脚色・演出はどうもいけません。ただ、スタッフ内では良い組み合わせ(相性が良い)と思ったのかどうか、来週というか再来週に東映chで、特別機動捜査隊(第713回)涙の渡り鳥 が(再)放送されます。そこでは、この脚本・監督でどのような出来になっているか、この点は着目していきたいと思っています。