※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#681  襲われた夜

 

 

 

(本放送)・・・1974年11月20日

(再放送)・・・2019年6月27日

(脚本)・・・横山保朗

(監督)・・・高桑信

協力)・・・無し

(協賛)・・・NST・新潟総合テレビ

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(西郷昭二)、鑑識員(田川恒夫)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、石原刑事(吉田豊明)、

松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

小浅初江、水の江じゅん、香川純、丹羽たかね、三川雄三、木村修、森井睦、

菊地正孝、西沢武夫、川越たまき、坂口江都子、今村洋、早川研吉、中村竜三郎、

春江ふかみ、松風はる美、手塚茂夫、霧島八千代、日野道夫

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

北陸の夏を彩る、万代太鼓の響きが、

人々の心を躍らす新潟祭りの夜・・・、

悦子の身に何かが起こった!

そして、それを目撃した真知子という少女が、

東京で殺害される。

3カ月後、死んだはずの真知子から、

謎の手紙が悦子の元に舞い込み、

死者からの手紙に誘(イザナ)われるごとく、

夜の街に彷徨い出る悦子・・・。

祭りの夜、何が起こったのか!?

そして、死者の手紙は、何を語ろうとしていたのか!?

新潟と東京を結ぶミステリーの糸を手繰る、

特捜隊・三船班!!

次回、特捜隊、「襲われた夜」、御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・エンディング表記で、信雄=香川純とあるため、下記本文では長髪男を演じた男優を三川雄三と判断した。しかし、掲示板特捜隊 8」で長髪男が香川純らしきコメントもあるため、「?」をつけて下記本文を訂正した。

(追加)R4.08.19

wikiの練馬図書館テレビドラマ事件 の項目内容は、当作のストーリー内容と大まかに一致する。ただ、その項目には

>1967年6月12日、テレビドラマのスタッフが下見のために練馬図書館を訪れた。

と有り、当作本放送時期(1974年11月20日)と一致しない。そこで当作は、1967年6月12日以降間もない時期に本放送された作品(原型作)を、6年以上経ってリメイクしたものと考える。

→その原型作は、検証本164頁のストーリー記述、リスト特捜隊の記事により、特別機動捜査隊(第299回)夜の季節(本放送・1967年7月19日)と推察されるが、【第2回再放送】では欠番回であったことから、内容をうかがい知ることが出来ない。

 

 

(視聴録)

・・・開始約16分初めまで

 

光ヶ丘更生病院では、シンナー中毒で入院中の鬼頭悦子(小浅初江)が、女医(松風はる美)から回復まであと1週間ほどと指導されていたが、西川真知子(水の江じゅん)から届いた封筒を手渡されると怪訝な顔つきになる。日付が3か月も前の8月26日でもあったからだが、手紙を読み始めると、顔つきはますます険しくなる。

その晩、悦子は病院を外出、ある駅で下車。シンナー後遺症か足元はふらつき、通行人の長髪男(三川雄三?)も振り返るほどだった。そして午後9時、悦子は高木牛乳店へ高木三郎(手塚茂夫)を訪ねるが、店員・すずき達男(菊地正孝)から新潟に行ったことを聞き、落胆する。そして悦子はプラモデルに内包されたシンナーを取り出し、倉田家門前で吸引し始める。

 

翌朝、三船班は、公園用水路に到着、所轄刑事・石田(中村竜三郎)と合流。午前3時、パトカーが用水路で意識不明の女性を発見、駅前の救急病院に搬送した案件だった。しかし、突き落とされた形跡があり、3ヵ月前の8月26日、公園内の便所で女性が暴行・殺害された事件を三船班が捜査したことが想起された。そして、畑野から、救急病院の見立てで、入院女性がシンナー中毒の疑い有りとの報告を受けた三船主任は、周囲への聞きこみを命じる。

 

松木、水木は、倉田家門前でシンナー吸引の痕跡を発見、倉田夫妻(日野道夫、春江ふかみ)へと聞きこむ《 3か月前の被害者は、倉田夫妻の娘(丹羽たかね)の元で働く真知子で、当夜は倉田夫妻が旅行のため、娘の依頼で真知子が留守番に来ていたことがわかる》。そして、昨晩9時ごろ来訪したのは悦子であり、既に亡くなった真知子から手紙を貰ったことで真知子に会わせろと、強く言ってきたという。ならば、倉田夫が、その手紙を見せてくれるよう頼むものの、悦子は強く拒絶して、倉田家を飛び出していった経緯もわかってきた。

 

一方、用水路では、封筒を発見。「宛名=新潟県つちおか町 鬼頭悦子、差出人=西川真知子」と読め、8月26日の日付、11月21日の消印、回送付箋の剥がれた跡が判明する。三船主任は、手紙本体、回送付箋の発見に努めるよう言付け、石原、石田とともに真知子の勤めていた倉田娘の住む三鷹へと向かう。倉田娘からは、真知子は新潟出身で身内は兄のみ、8月に新潟から帰京後事件に巻きこまれたこと、悦子の名は知らないことを聞き出す。また、郵便局へ悦子の現住所を調べに松木、水木が聞きこむも、回送付箋が無い現状では、封筒に書かれた新潟県の住所に問い合わせるしかないと、局員(森井睦)から返答される。

 

しかし、用水路の再捜査で、不鮮明ながらも手紙を発見、出来得る限りの復元作業を行なうことになる。さらに、畑野が回送付箋を発見。「北多摩・・・光・・・病院」と読めるところから。関根は、光ヶ丘に薬物中毒患者を収容する更生病院があることに気づく。

 

そして、光ヶ丘更生病院を訪れた三船主任、石原、石田は、女医に聞きこみ。悦子には新潟に母(霧島八千代)がおり、関町の牛乳店主・高木信雄(香川純?)が保護者となり、信雄の甥・三郎は高木牛乳・駅前店の運営を任されている事情を知る。さらに三郎、信雄の依頼で、11月から悦子の治療入院が判明する。

 

そして、高木牛乳店での信雄、すずきへの聞きこみで、三郎と悦子が新潟での幼馴染なこと、三郎は悦子との結婚承諾を悦子母からもらうため昨晩新潟へ向かったこと、三郎に婦女暴行未遂の過去があること、8月の新潟祭りに三郎は現地にいたことも明らかになる。

 

さらに救急病院で、悦子から、微かな意識の中、真知子からの手紙には「新潟での犯人らしい人を見つけた」とあったことを聞き出した三船主任は、関根に手紙の復元を急がせ、自らは石原とともに新潟へと向かうのであった・・・。

 

 

ストーリーは、その後、新潟駅で所轄刑事(早川研吉)と合流、悦子母に事情聴取となります。8月の新潟祭りの当日(註・8月23日)、母と暮らす悦子は、墓参で帰ってきた三郎と新潟祭りに行ったが夜になっても帰って来ず、翌朝、怪我をした悦子は真知子に連れられ帰ってきたことがわかります。そして、悦子はなぜ翌朝帰宅したのか、なぜ怪我をしたのか明確に話そうとせず、そのうち家を出て行方不明になったことで、新潟―東京の因果関係が明らかになります。そして回送付箋の謎も解けたところで、所轄刑事が三郎の立ち寄り先を見出し、いよいよキーマンである三郎へ迫ることととなります(なお、下線部については、実見した人なら感じたと思いますが、この時点で触れることではなく、新潟で三郎・悦子母に同時訊問をしているときに触れる方が自然でありましょう)。

 

 

前に、#678 追いつめられた群 で

>捜査班の気づかないうちに、事件当時者(容疑者、関係者)の間でストーリー

>が流れていき、番組終盤まで捜査班が全く新事実に気づかない

のが、最近の特捜隊作品で見受けられると書きましたが、当作はこれに似ているようでありながら、上記本文(開始約16分半ば)までには三船班も流れを掌握、あとは視聴者とともに真相解明に向けて進んでいくのが異なります。この点は、特捜隊古参の横山保朗らしい、オーソドックスな脚色で描いております。

 

そして、開始約29分過ぎの、欠落が多いながらも「真知子の手紙」の内容が復元され、そこでのある文章に、ピンとくる視聴者もいたと思います。開始約10分過ぎ、13分後半の、「ある人物」が発した「状況にそぐわない台詞」で、「なるほど、こういう追及の仕方もあったか」と感じる箇所であります。ところが、この「状況」を三船班自体が実見しておらず、視聴者だけということもあり、スルーされてしまい、真相追及は「事件当日、真知子は手紙を何処で書いたのか?」という点に絞り、真知子の足どり捜査となり、犯人逮捕の布石となります。

 

全体的には、ストーリーは流れるように展開、犯人逮捕も上記のスルーの点はともかく、まあアリかなと思うものの、やはりツッコミどころはあります。

・(手紙自体ではなく)封筒への日付記入は、業務上はともかく、私信で書きこむものか?

・手紙をどこで書いたのかという、三船主任の発想

・こんなに優しい司書さんがいるのかどうか?

・東中山図書館を出たときの三船主任の発想

後3点は、のんびり観ていれば、ストーリーの流れとともに、ツッコミも流れていきます。しかし、最初の点は、それも開始早々の悦子の入院場面から映し出されるので、自分自身としては違和感ありありでした。そして、これが事件のポイントのひとつですので、ここいらへんは上手く構成できなかったか?手紙でなく、葉書というやり方もあったと思います。

 

それと、回送付箋の件も含め、場面の前後関係が入れ替わっていればという点も気になります。これは、1時間枠というテレビドラマに慣れた監督さんでしたら、上手く構成・調整できるのでしょうが、映画畑の高桑信監督ゆえ、もう少し時間がかかるのでしょうか?過去、現在を回想場面を用いて展開させるところ、前述した早い段階で事件の輪郭を三船班に認識してもらうところなど、良いところがあるだけに、慣れてほしいところはあります。それらを考えると、当作は佳作にやや届かず・・・敢闘賞といった評価でしょうか。

 

さて、当作は、チョイ役ながらも「人造人間キカイダー」のヒロインを演じた水の江じゅんが出演しています。ほとんどの人は、この配役ににっこりしたことでしょう。

しかし自分は、所轄刑事・石田を演じた中村竜三郎に目を魅かれました。この俳優さんは新東宝出身で、たぶん中井義プロデューサーからの要請で出演されたのでしょう(これは、新東宝で同僚だった明智十三郎も同様)。【第3回再放送】でも数作出演していますが、当作は自身が観た中でも結構台詞もアップも多く、恵まれた役となっています。

 

自分は一時期、新東宝DVDに傾倒していたことがあり、その中でも明智十三郎と並び中村竜三郎の存在が気になっていました。時代劇俳優であることには違いないのですが、当時の新東宝のご事情で、現代劇にも出演することもありました。その中でも「毒蛇のお蘭」での警察署長役は「滝の白糸」を彷彿させるもので、意外に見どころがありました。時代劇では、嵐寛寿郎との共演が多く、確信は無いですが、映画界ゆえの人間関係があったかもしれません。

1927年生まれなので、当作出演時は47歳、ご健在でしたら現在は92歳となっていますが、近況は知る由もありません。新刊「新東宝」(2019年、ワイズ出版)を読むと、1996年(69歳)のときのインタビューで、都内の有名天婦羅屋さんが実家と語っておりました。