※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#673  ある 追跡の記録

 

 

 

(本放送)・・・1974年9月25日

(再放送)・・・2019年5月30日

(脚本)・・・佐々木武観

(監督)・・・天野利彦

協力)・・・無し

(協賛)・・・名古屋テレビ、愛知県警察本部、グランスパー・長島温泉、

       東急鯱バス株式会社

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(西郷昭二)、鑑識員(田川恒夫)、

事務員(田中正吾)、関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、

石原刑事(吉田豊明)、松木部長刑事(早川雄三)、畑野刑事(宗方勝巳)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

富山真沙子、隅田和世、宮沢奈緒美、三夏伸、建部道子、亀井三郎、杉山元、

中条文秋、水上達也、東龍明、加東三和、大阪憲、小林重四郎、高野真二、

六本木真、田口計

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

暴力団組長殺害の容疑者を追って、

名古屋に大捜査網を張る三船班。

迫り来る警察の目をかすめて、

別れたままの妻子に近づこうとする刑務所帰りの男・・・。

だが、その妻は、すでに別の男と再婚していた。

刑事に追われ、今また仲間のやくざにまで命を狙われて、

身動きできない男・・・。

その影に怯え、つかの間の幸せも吹き飛ぶ妻と子・・・。

ついに、長島温泉に一味を追い詰めた三船たち!

空と陸から、決死の逮捕を敢行する!

次回、特捜隊、「ある追跡の記録」、ご期待ください。

 

 

(備考)・・・

・当方が観賞した【第3回再放送】以降では、初めての名古屋ロケ作品。

・実見したところ、鑑識員2人、事務員の出演場面は見当たらない。

・建部道子は、建部みち子からの再改名か、併用名かは不明。

・劇中に映る球場は、正式には「中日スタヂアム」であるが(wikiより)、当時の中日ドラゴンズ応援歌の影響もあり「中日球場」と呼ばれていた。

・金森の娘を、エンディング表記では伊知子とあるが、劇中ではいつこと呼ばれているため、後者にしたがう。

 

 

(視聴録)

・・・開始約21分後半まで

 

暴力団組長・金森りょうすけ(小林重四郎)が、部屋で斬殺された。凶器の日本刀から発見された指紋は、千葉の刑務所を出所したばかりの同組大幹部・浜田重吉(六本木真)のものと判明、三船班は浜田を最重要容疑者として全国に指名手配した。浜田が収監された5年前に別れた、妻・伸江(富山真沙子)、娘・ユリ子(宮沢奈緒美)が名古屋にいることから三船主任は、浜田の潜入の可能性を考え、畑野と先発して愛知県警に到着。機動捜査隊・係長(高野真二)に応援を求め、内海部長刑事(中条文秋)、西山刑事(水上達也)の協力を得る。

 

東京では、松木、石原が再度の現場検証から、金庫の中の白い粉末はヘロインであることをつきとめる。そして、関根、水木は金森の営む金森商会に立入り、下っ端のサングラス男(杉山元)、半袖男(亀井三郎)を訊問、兄貴分の尾倉(田口計)は浜田を追って帰ってきていないこと、金森の娘・いつこ(隅田和世)が行方不明のままであることが判明する。

 

三船主任は、畑野、内海、西山と伸江・ユリ子の住む西区堀端町へと向かう。2人は半年ほど前に引っ越してきたもので、伸江は近藤(三夏伸)と再婚しているという。しかし、出所したばかりの浜田は新住所・再婚のところまでは掴んでいないことも考え、畑野は西山とともに旧住所のアパートへ行くことになる。そのアパートに現在住む女性(建部道子)は、つい先ほど男女が訪ね、伸江の転居先を聞いてきたので教えたということだった。そこで、畑野は浜田の写真を提示するが、女性は訪ねて来たのはこの男ではなかったと答えたのだった。

これらの情報から三船主任は、訪ねた男女は尾倉、いつこの2人だと断定、大きな仕掛けがあると睨み三船班本隊を名古屋に招集、関係者を徹底マークする方針を立てる。

 

一方、浜田は名古屋に潜入、伸江、ユリ子の居所を確認、声をかけようとするも近藤の存在が目に入り、なかなか切り出すことができない。さらには、三船班、愛知県警の取り締まりも厳しく、浜田はひとり喫茶店で休憩、伸江、ユリ子の写真を見つめ破いていると、地回りのチンピラ・峰岸(東龍明)に声をかけられ、廃工場へ呼び出される。峰岸は、浜田の持っている荷物をよこさないと、伸江の身に何かが起こると脅してきたのだった。浜田は、人違いをしているのだろうと断り、背を向けて去ろうとしたとき、峰岸が懐から匕首を出し向かってきた・・・。

 

 

当作は、名古屋ロケ作品。個人的には、1999年に名古屋出張、全国各地の社員が集まり、その日の夜は長島温泉のホテル花水木で一泊、大騒ぎの一夜だったのを思い出しました。三重県とはいいながらも、名古屋市内からバスで1時間もかからない長島温泉、その舞台でもあるグランスパー・長島温泉は、ネット検索すると出てきますが、wikiに

>現在の「湯あみの島」は、2002年7月まで「グランスパー・長島温泉」

>の名称だった。

とあります。たぶん、長島観光開発運営のナガシマリゾートの一角に、「グランスパー・長島温泉」も「ホテル花水木」もあったのだろうと推測します。

開始約27分過ぎ、長島温泉一帯が舞台となりますが、1999年の記憶でも、遊園地や広い敷地があり、ヘリコプターやセスナが離発着してもおかしくないスペースでした。ですので、#631 大爆発 で展開したストーリーの再現を期待したのですが・・・。

 

肝心なストーリーなのですが、結果的にわざわざ名古屋ロケまでする作品なのか、と思ったのが正直な気持ちです。何よりも、ストーリーにひねりが無く、ポイントをどこに求めるのか非常にわかりにくい作品です。キャステイングは、富山真沙子、三夏伸、六本木真、田口計、短時間ながら高野真二、小林重四郎、と揃えているのにもったいない。。。

事件の真相も、文章的解決であり、状況証拠というか主観的証言だけで真犯人が告白するというのも芸が無い。さらに、直接証拠への反証というのが、回想場面でいう「真犯人のある所持品」というのも?がついてしまうところです。また、石原が張り込み中ブチ切れて、車に突進していく理由もそれらしく描かれてはいますが、後に続いていかない単発的なものに終わっているところも気になるところです。

 

これは、「ロケ苦手」の印象のある天野利彦監督より、盛り上がりのポイントがズレ気味の脚本・佐々木武観のほうにあるような気がします。【第4回再放送】の作品群でも、前半はそこそこ観れる展開になっているのに、後半になると息切れの様相を醸し出す作品の多さが目立ちます。つまり、前半でストーリーの核になる材料を様々掲示しているのですが、後半でまとめきれずに散らかったままラストに至るところが共通しているのです。

当作でのその部分は、あれほど浜田の影に怯えていた伸江が、後半はそれが無かったように場面が展開していくところが、該当します。あるいは、それを三船主任は伸江の不安・危惧をわかっていたはずなのに、それを安心させるための「あるもの」を破棄してしまうところなど、首をかしげるつくりにみえるところも該当するでしょう。

 

佐々木武観、天野利彦の脚色・演出の組み合わせは、#613 転落の愛 では良かったものでしたが、これは脚本に横山保朗が加わっていたからかもしれません。純粋には、#563 陽のあたる町 でのラスト3分での強引な完結、#555 慕情 のような刑事ドラマだか人間ドラマだか中心軸が捕らえにくいもの、のように相性が良くないのかもしれません。むしろ、#540 夜の誘惑者 のような、おどろおどろしい題材を脚色、さらにそれを実際にあった事件を反映させるような構成で演出という流れなら、上手くいったかもしれません。

 

さて、伸江の旧住所のアパートに現在住んでいる女性住人を演じたのが、建部道子(あるいは、建部みち子表記も有り)という女優さん。wikiでは1946年7月23日生まれ、東京都出身の女優、劇団文化座に所属歴有り、とわずかにある程度です。特捜隊でも、脇役出演が多いのですが、唯一、#475 限りなき逃亡 でインパクトある役を演じました。婚約者のいる大企業の秘書でありながら、只者とは思えない目つき、素振りをする役柄だったのですが、これが上手く板についていました。その後、少なくとも特捜隊ではそれなりの役柄を与えられるかなと思っていたのですが、どうも一歩先に出ることが出来なかったようです。

他番組では、特撮番組への出演が多かったようで、確認できる最終作品は1975年の秘密戦隊ゴレンジャー・#02 青い地球! 死の砂漠化計画 、となります。特捜隊の終焉までには女優業を引退したのではと思われます。その他には一切情報が無く、ミステリアスな雰囲気ですが、今もご健在でしたら72歳であり、東映シネマチョップで特捜隊の思い出番組がつくられるなら、出演してもらいたいひとりでもあります。