特別機動捜査隊に関連する作品、映画・Vシネ・テレビドラマ・動画に限定せず、あるいは脚本・監督にこだわらず、主観的に関連性がありそうと判断したものを取りあげました。

 

 

【江戸の牙・・・・#25  生か死!?暁の脱出作戦】

 

 

(公開日・本放送日)

1980年2月19日・テレビ朝日で本放送(制作・テレビ朝日、三船プロダクション)

2012年2月13日・時代劇専門chで再放送(2012年8月DVD発売)

(脚本)石森史郎

(監督)吉川一義

(出演者)オープニング

天知茂、若林豪、坂上二郎、藤村俊二、白都真理、吉田正志、鹿野新太郎、

三船敏郎

 

(出演者)エンディング   ※配役名表記の俳優のみ列記

茂七(平凡太郎)、お君(榊ひろみ)、お加代(斉藤浩子)、浦辺(上野山功一)、

里見(吉田豊明)、北島(大木正司)、お銀(夏海千佳子)、善助(中村孝雄)、

橘(高杉玄)、吉次(沖田駿一)、伊東(宝井宏冶)、清次郎(森祐介)、

お光(里見和香)、按摩(小池幸次)、老主人(稲川善一)、農夫(依田英助)、

お咲(山村葉子)

 

 

(特捜隊関連事項)

特捜隊で石原刑事を演じた吉田豊明が出演、また特捜隊監督四天王の1人・吉川一義が演出した作品。なお、特捜隊常連女優でもある、榊ひろみ、夏海千佳子もゲスト出演。

 

(備考)

・直参旗本・大番頭・朝比奈軍兵衛(三船敏郎)は世情を憂い、町奉行所の目の届かないところへの捜査機関として、本所方に剣精四郎(天知茂)を任命。剣のもと大熊伝十郎(若林豪)、金丸半兵衛(坂上二郎)、間兵助(藤村俊二)、橘志乃(白都真理)が集まる。さらに、その実態を知らない若手同心、中山純之進(ジュン・京本政樹、註・#17で殉職)、磯貝三一郎(サブ・古田正志)、矢追源之助(ゲン・鹿野新太郎)を配下に、江戸八百八町を取り締まる。

※配役名は、HP・チャンバラ狂時代から引用。

・雪を演じる竹下景子、お咲を演じる山村葉子は準レギュラー。

・自分がDVD録画したものには予告篇が無いため、江戸の牙・・・#25 瓦版・醜聞を追え!では開始21分半ばまでのあらすじを作成しましたが、ニコニコ動画で断片ながら予告篇をUPされたのを発見、ナレーションの文面を引用しました。

・エンディング表記では吉沢=沖田駿一となっていますが、劇中表記では吉次としているため、後者表記に従います。

 

 

(オープニング・ナレーション)    

※ナレーター=黒沢良

 

あなた、剣精四郎を知ってますか!?

大熊伝十郎を知ってますか!?

金丸半兵衛を知ってますか!?

間兵助を知ってますか!?

橘志乃を知ってますか!?

朝比奈軍兵衛を知ってますか!?

あなた、江戸の牙を知ってますか・・・!?

 

西暦1837年、当時の江戸の人口は1,284,815人、

ロンドンを凌ぐ世界一の過密都市であった。

この大都市の治安維持にあたる町奉行所の陣容は、

南北両町奉行、与力、同心併せて、わずか296名・・・。

現在の警察機構とは比較にならぬ、

お粗末な治安体制であった・・・。

にもかかわらず、そのわずかな陣容で

世界最大の都市・江戸八百八町の平和と安全が

保たれていたのは、町奉行支配の裏に

影の捜査機関が暗躍していたからである!

幕閣中枢が秘かに組織した特命捜査班、江戸の牙!

だが、その存在はいかなる記録にも残っていない・・・!!

 

 

(あらすじ・予告篇から)  ※ニコニコ動画にUPされたものから引用

秋月藩・江戸屋敷に送られる千両箱を狙う、5人の浪人たち!

・・・・・・・・・・(待ち伏せのため宿の部屋に潜む5人の浪人たち)

浪人・浦辺 「一行は予定通りに進んでいれば、明日はこの宿場に入る。

       襲撃するのは、この機会を置いて他には無い! 

       失敗は許されん!」

浪人・里見 「藩の大事のときには、散々俺たちの腕を利用しながら、

       騒動が収まると邪魔者扱いにして、雀の涙程度の銭で

       放り出しやがった! これまでの働きに見合った銭だけは、

       どうしても手に入れる!」

・・・・・・・・・・(以下、ナレーション)

企ては発覚し、宿に泊まっていた半兵衛は

他の客、主人、娘らとともに一室に押し込まれた。

長い夜が明け、輸送の一隊は近づく!

江戸の牙、「生か死!?暁の脱出作戦」、御期待ください。

     

 

(視聴録)

 

ある犯罪のため宿泊施設に潜入するグループ、しかし、ふとしたことから、その他の宿泊者を施設内に缶詰にする展開・・・。これが当作の大雑把な展開ですが、今だったら、たいして興味も湧きません。ところが、特捜隊を見慣れた目で見ると「おやっ」と思うところがありました。

榊ひろみが出演していることもあるのですが、監禁された三船主任が絶対的な存在を醸し出した#544 絶体絶命をつい思い起こしたからです。ただ、当作で監禁された金丸半兵衛のキャラは三船主任と違うこともあるのか、ディテールはさすがに異なっています。

 

当作では、犯罪者が潜む宿屋に、訳がありそうな人たちが集い、監禁状態になる。対して、#544 絶体絶命では、犯罪者がホテルに潜んでいるのを特捜隊は把握、秘かに宿泊者に避難指示を出すが、様々な理由で残り、調べてみると訳あり気な宿泊者ばかりだったということ。

また、当作は、犯罪を実行するために宿屋に待機、実行に移すことができるかどうかということ。対して、#544 絶体絶命では、既に実行済みの犯罪者が、どうやってホテルから脱出するかということ。これらの点は異なっています。

 

そして、訳有りばかりの宿泊者、清次郎とお光、善助、吉次、お銀に加え、宿屋主人夫婦、女中の人間模様を描き、勧善懲悪的結末に導くという点は似ています。狙いは良いのですが、主役はあくまで天知茂演じる剣精四郎ということもあり、部分部分で、剣精四郎、大熊伝十郎、橘志乃の話す場面が挿入されるので、宿屋での緊張感が途切れてしまうところが残念。#544 絶体絶命でみられた、ホテルと外部の三船班との絶妙な場面転換が無かったのは、 監督の違いもあったからか? 個人的には、吉川一義監督なら出来ないはずはないと思っているので、脚本設定の違いもあったのだろうと思いたいところ。これは贔屓の贔屓倒しになってしまうのですが・・・。

 

それでも当作が最後まで見れたのは、意外にも里見を演じた吉田豊明の存在。前に、暴れん坊将軍Ⅴ・・・#16 剣も躍る! 阿波おどりで触れたときは、晩年だったせいか、何かもっさりした感が強く、悪役慣れした感じでもありました。当作では、特捜隊終了後3年、年齢も39歳の壮年期のころということもあるのでしょうか、悪役を一生懸命やっているように見えます。

特捜隊のときは、三船主任のもといろいろ動かされている印象で、当作でも浪人グループの長・浦辺のもと動き回るという印象。つまり、善役、悪役でも2番手でいることが絵になるタイプであります。なので、浪人たちが潜む部屋の脇にいる半兵衛や、台所にいる宿屋夫婦、女中にちょっかいをかけるところなど、いい味を出しています。

さらに、アップの頻度が浪人グループの長・浦辺よりも多く、特捜隊時代を知る吉川一義監督の気遣いと思えるほど(笑)クライマックスの格闘でも、精四郎VS浦辺よりも、半兵衛VS里見のほうが見せ場を作っているようです。まあ、特捜隊ファンならではの観賞とはいえ、最後までなかなか見れる出来になっています。

 

ただ、特捜隊で見かけた榊ひろみ、夏海千佳子は、失礼ながら、ずいぶんとお年を召されたなあという感じ。現代劇で見かける頻度が多かったから、そう感じたのかもしれませんが。

 

さて、吉田豊明は東映作品出演が目立つので、てっきり東映所属かと思い続けていました。ところが、細かにネット検索してみると、元大映社員のブログ・映画が中心のブログです!に行き当たります。そこでは、1970年度(6月1日現在)の大映社員名簿が紹介されており、そこに契約社員とはいえ吉田豊明の名前がありました(大映倒産は1971年12月)。そのリストには成田三樹夫の名もあるようで、これまた意外なところであります。

さらに、ネットでの大河ドラマ出演者人名辞典では、いつだかはわからないもののアマチ企画(元)所属とありました。アマチ企画は天知茂の事務所(註・アマチプロゼのことか?)なので、確かに当作を含め、天知茂との共演が多い時期があるので、その現れかもしれません。