※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#584  新鮮な女】

 

(本放送)1973年1月10日

(再放送)2016年6月30日

(脚本)山本雪夫

(監督)中村経美

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識課員(田川恒夫)、鑑識課員(西郷昭二)、

関根部長刑事(伊沢一郎)、白石刑事(白石鈴雄)、村井刑事(北村晃一)、

石原刑事(吉田豊明)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

関かおり、真山譲二、辻しげる、岡田奈津子、佐々木一哲、守屋俊志、山本廉、

水上竜子、高野ひろみ、高杉玄、星美智子

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

寒い夜、血まみれの男が病院に駆け込み、

出血多量で死ぬという事件が起きた。

近くのホテルの非常階段から、

何者かによって突き落とされたらしい形跡があった。

被害者は芸能プロダクションを営んでいた男、

だが、これは表向きだけ、

会社は秘密組織で手下どもはあくどい手段で女を集め、

客を取らせていたのである。

その女たちの中には、2日前に満18歳に達し、

規則により特殊養護施設を退所したばかりの美奈子もいた。

が、その美奈子は、運悪く事件に巻きこまれてしまった・・・!

家庭が貧しいために、母親も引き取れずにいたその少女、

安住の地は果たして何処であろうか・・・!?

三船班が事件の糾明に乗りこんだが、その解決のカギは如何に・・・!?

次回、特捜隊、「新鮮な女」に御期待ください。

 

 

(備考)

・風間ようじを演じた真山譲二は、2017年9月現在、東映chで再放送中の「柔道一直線」で、一条直也(桜木健一)のライバル・赤石旭を演じています。

・エンディング表記で、斉藤=高杉玄とありますが、劇中で台詞・表示からも明らかに「斉田」なので、本文ではそちらに従います。

 

 

(視聴録)

 

芸能プロダクション社長でありながら、ポン引き紛いのことをしている森良造(守屋俊志)が、病院に駆け込むもそのまま出血多量で亡くなった。三船班は、犯行現場をホテル・コスモスと断定、所轄署の小宮刑事(田中力)、矢部刑事(峰村銀)の協力を受け、ホテルの女中・照子(緑八千代)から、森が夜の女・ふるかわ伊佐子(高野ひろみ)を呼んだことを突き止める。

 

その後、三船班は森の事務所で健(辻しげる)から森の住まいや細君(未詳)、伊佐子の関連から情夫のチンピラ・風間ようじ(真山譲二)に着目するが、伊佐子のアパートを訪ねた加藤美奈子(関かおり)にも注目する。美奈子は、事件当夜、ホテル・コスモスの近くを下着姿でいるところを焼いも屋・浅吉(山本廉)に目撃されていたのである。

 

しかし、美奈子の身の上を調べると、「特殊児童」ということで母親(星美智子)から疎まれ養護施設・明光学園に入れられ、18歳退園の法律上の決まりから退園。申請すれば2年間延長できるのだがその間は退園、さらには母親が延長申請を怠っているという現実があり、学園の先生(水上竜子)ならずとも石原刑事は唖然とする。

そんな中、伊佐子への取調べから、森が持っていた50万円の出処から、中村組の斉田(高杉玄)、その子分・金子(佐々木一哲)が捜査線上に浮かび上がる・・・。

 

 

まず、検証本に書かれている(あらすじ)は読むともっともと感じますが、当作を見るととてもそこまで描いているとは思えません。ところで、(あらすじ)のベースは新聞記事、そして新聞記者さんは(作品鑑賞はできていないでしょうから)脚本を読んであらすじ記事を書くということになります。そのうえで考えると、脚本通りに当作が完成されていなかった証左でもあります。

つまり、検証本の(あらすじ)にまで理解がいくほど、当作は完成度が高くないということになります、これは再々放送でご覧いただければと思います。

 

それに、ひとつの題材(森の殺害事件)から、いろいろな話に広げていくことはともかく、あまりに広げすぎなのと、その項目を収束していないのが欠点といえば欠点。

特に、ラスト近くでは、

・蛇柄模様のネクタイの男は結局何だったのか、

・唐突な山荘夫婦(山田甲一、萩山洋子)のくだりは何だったのか、

・健の心境の変化は何なのか、

などが不明。三船主任と斉田との会話も、ラストの場面のあとでは意味をなさないなど、いろいろあります。

脚本・山本雪夫は、「#548 影を追う女」ではいろいろ人物を登場させながら、最後の、人世横丁の悲哀を謳いあげたところへの帰結は見事だったのに今回はどうしたことか・・・、となれば監督の田中秀夫と中村経美との差と言わざるを得ません。

 

中村経美監督は、与えられた脚本を「そのまま淡々と演出する」イメージが強く、良し悪しではなくこれが監督のスタイルなのです。実際、「#539 ある恐怖」はそれが奏功したケースで、決して間違いとは言い切れないところはあります。

当作はそういう点で、監督には合わなかった脚本であるとも言えそうで、膨大なストーリーテリングの小川記正脚本だったらどうなるか? それは「#499 白い殺人者」での説明不足な点が多く出たところからも明らかです。このように、特捜隊は、脚本と監督のバランスが作品に影響を及ぼすことが多いのも特徴です。

 

(2018年1月12日 全面追加)