※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#539  ある恐怖】

 

(本放送)1972年3月1日

(再放送)2016年2月4日

(脚本)横山保朗

(監督)中村経美

(協力)無し

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(西郷昭二)、鑑識課員(田川恒夫)

その他三船班は(備考)を参照。

 

(出演者)

扇町景子、清水京子、森本景武、夏川圭、三上左京、磯野のり子、九重ひろ子、

五月晴子、河合絃司、伴東武、鴨田喜由

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーション(=青木義朗)をそのまま聞き写しています

 

池のほとりに発見された、女の死体。

時を同じくして、臨月の主婦・君子が行方不明になった。

殺人に繋がる誘拐か・・・? 

このカギを追って、私たち三船班は、

君子と一緒にいたという幼い女の子を頼りに、

その足取りを調べた。

・・・・(夜、女の子を背負って歩く畑野刑事と婦人警官その他捜索する人たち)

畑野刑事「順子ちゃん、この道をどっちに行ったの?」

婦人警官「ヒヨコさんのいるお風呂は、大きなおうち? 小さなおうち?」

順子「おばちゃん、、、おじちゃんに秘密でおうち借りたんだって!」

・・・・(以下、ナレーションに戻る)

刻々と迫る密室の恐怖に怯え、必死に助けを求める君子の声は、

イベット(註・はっきりと聞きとれず)の騒音にかき消され、

私たちには届かなかった・・・。

次回、特別機動捜査隊、「ある恐怖」に御期待ください。

 

 

(備考)

・劇中に、特捜隊メンバー(男優名)、三船主任(青木義朗)、関根部長刑事(伊沢一郎)、水木刑事(水木襄)、石原刑事(吉田豊明)、白石刑事(白石鈴雄)、畑野刑事(宗方勝巳)、の表記がされている。

 

 

(視聴録)

 

石神公園の池のボートで、脳底骨折の女性の他殺体が発見された。三船班は死亡推定時刻は前日の午後5時ごろで、遺留品から荻窪の洋菓子店ナカタヤの店員・野口圭子(柳リエ)と断定、同店マダム・輝子(五月晴子)やチーフ・鈴村(三上左京)も死体は圭子であると証言した。さらに、同僚・真知子(磯野のり子)は、ある夜圭子が同僚・中原まさお(伴東武)に凌辱され、それに憤慨した同僚の運送係・島田(高木真二)が中原と争ったのを目撃していた。

 

中原は、姉・しげみ(夏川圭)の居住する桜マンションを訪ね、捜査中の三船班とバッティング、躓き転んだところを逮捕・連行される。しかし、中原は夜11時ごろに公園池のボートにマッサージ師・光子(河野ミサ)と一緒だったことは認めたが、夕方5時から10時まではスナックに圭子から呼び出され結局すっぽかされたと、犯行を認めようとしない。

 

そんな折、所轄の石神署に須藤一郎(森本景武)から妻・君子(扇町景子)の捜索願が出される。昨日の、午後2時30分ごろから、パーマ・ばら園の幼児・順子(鶴留理恵)と買い物に出てから行方不明、順子は石神公園のほとりで泣いているのを近所の人が午後5時に見つけ連れて帰ったという。場所・時間の共通点から、圭子殺しと関連があると睨んだ三船主任は、清水婦警(清水京子)と協力して君子・順子の行動を調査する。

そして、配達から帰った島田、出頭した光子から新たな証言を聞き出し、事件は意外な方向に流れていくのであった・・・。

 

 

かつての立石班を想起するような事件と展開もあり、面白く見れました。#451以降でもみられた、特捜隊本部の黒板書きの場面こそなくなっていますが、死因・死亡推定時刻・凶器・アリバイなどがちりばめられ、さらにハードボイルドのにおいが漂う三船主任が進行させるなど、なかなかの趣向をとっていたと思います。

脚本は横山保朗、地方ロケ作品ではないですが、場面を大きく公園・マンション・旅館と絞っているせいで内容が膨らみながらも、コンパクトにまとめています。中村経美監督は当たり障りなく演出するイメージが個人的にあるので、当作の面白さは演出よりもスジにありそうです。

 

また、子供の前だとハードボイルドさがなくなり、童心に帰ったようになる三船主任のキャラも健在。さらに、三船主任に捜査の全権すべて任せるようみせるためか、田中係長(山田禅二)の出番がないのも、新趣向のような気がしました。

そして、ラストの大団円に向け、三船主任の動き・畑野刑事の動きを並行して描き、どちらの導火線が先に届くか興味を持たせているところもいいですね。今回の両者の扱い、会話を見ていると、立石班から三船班に移った当初の畑野刑事の姿は影を潜め、捜査に当たる1対1の刑事の姿に成長したようにも見えました。

特捜隊の特徴の「流れる」進行も、開始24分20秒あたりから一気に勢いを増し、ストーリーの盛り上げに一役買っているようでもあります。

 

チーフ・鈴村役の三上左京は、「ロボット刑事」(1973年4月5日 - 9月27日)で情報屋・地獄耳を演じていたのが思い出されます。最近、wikiでも項目をたてられているようで、元俳優と書かれていますが、2005年6月28日の「琉球新報」によると舞台朗読グループ「沖縄可否の会」を主宰しているようです。この記事では65歳とありますので、ご健在ならば現在77歳ということになります。

 

(追加)

あと、事件の進行と閉じ込められている状況を並行しての場面設定は、「#496 闇の中」での事務所→救出現場→トンネル内での繰り返し描写に相通ずるところがあります。前作では、「サスペンスの盛り上げ、ハラハラドキドキさを引き立てるのに、ギリギリの繰り返し回数とみて成功した」と評しました。当作では、極限状況の内容が内容だけに、早く救出してくれと画面に見入る頻度は高く、これも成功したと思いますが、人によっては(どういう人かはさておき)「極限状況の内容」に嫌悪感を抱いてうんざりする場合もあるかもしれません。

 

(2017年12月18日 全面追加)