映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


この映画が作られた時代って、当然CGもなければ、全部フィルムで回すしかない。それでこの規模かよ!という衝撃。


例えば橋の爆破シーンでは、人が乗った馬ごと何頭も川に放り出されるが、あんなのどう考えたってワンテイクしか撮れない。つまり、フィルムカメラマン、カメラマンアシスタント、美術、キャスト・・・全てのスタッフがプロフェッショナルな仕事をして、ノーミスでやらない限り、橋を作り直すところからやり直さなければならず、予算が幾らあっても足りなくなる。


そんな”プロの仕事”が凝縮された場面が至るところにある。


Wikiによると、この映画は「最後の西部劇」と言われているらしいが、確かに、色々な意味でやり切った感のある映画。


善悪と単純に割り切れない分、簡単に感情移入できるストーリーではないが、映像的な迫力、特にCG当たり前になった昨今では「実写の迫力」を感じることのできる、映像エンターテイメントな作品。



映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


実は、ファンタジー映画が苦手だ。

もちろん完成度の高い映像は好きなんだが、何せリアリティがないから感情移入できないし、もはやCGのクオリティが高いだけでは何も驚かない。


だから、ティム・バートンは俺にとって、「積極的に観ようとは思わない映画」を作る監督だった。でもこれは映画館で3Dで見るべきだった。


アリス×ティム・バートン×3D

この相性は抜群だったと思う。


映画館で見られなかった分、DVDならではの良さもある。特典映像。

案の定、ほとんどがグリーンバックでの撮影。途中まではフーンと見ていたのだが、驚いたのは、ジョニーデップの目を大きくしていたこと。


確かに不自然にでかいな、とは思ってたんだが、特殊メイクかなんかで大きくしてるんだろうと思っていた。違った。CGででかくしてるんだ。

ここは推測だけど、俺が知る限り、あれは一コマずつやるしか方法がない。あれだけ出演シーンの多いキャストの、目を大きくする作業を一コマずつ・・・気が遠くなる。

こだわりというより執念に近い。


モーションキャプチャ、実写合成、CG処理・・・およそ考え得るすべてのテクノロジーをふんだんに使って作ってるだけあって、隙のない完成度。


もはや映画に出来ない小説なんてどこにもないんじゃないか?





映像制作者の映像レビュー
★★★☆☆


制作陣が同業の広告系なこともあって、俺のTwitterのタイムラインにあまりに頻出するもんだから、思わず見に行ってしまった。


あのマッドハウスが「チキチキマシン猛レース」を作るとこうなる、という感じ。

スピード感はもちろんのこと、質感の表現が半端ないので、アニメのクオリティとしてはさすがの一言。


ただ脚本が今ひとつ。

「作り手側はここが面白いと思ってんだろうな」という、見る側との温度差が激しい。何度も観て、ハマって、マニアックになっていけば面白くもなっていくのだろうが、何かああいう内輪の盛り上がりが透けてるのって、引いちゃうんだよな。


音楽の迫力もあるので、映画館で見るのをオススメするが、これは好き嫌いがハッきり分かれるかもね。

映像制作者の映像レビュー
★★★☆☆


ドコモ用のケータイ放送局「BeeTV」で配信されたドラマのDVD版。

行定監督による、5つの短編オムニバス・ラブストーリー。


携帯電話で視聴することを考えれば、画面が小さいからあまりロング(引いたサイズ)は多用しないとか、ごちゃっとしてしまうから細部まで作りこまない方がいいとか、厳密に言えば映画ともテレビとも違う制作ノウハウが必要だと思う。


また、視聴シチュエーションを考えると、あまり長時間には向かないから、ショートフィルムの尺で丁度いいのだろうが、その分、深いところまでは掘り下げられない。


ケータイで気楽に観て楽しんでもらうためのコンテンツに、ここまでエネルギー突っ込むのか!と驚いた。さすがは行定監督。


ほぼ同世代ということもあるのだろうが、彼の描く恋愛には、非常に共感を覚えるところが多い。まず、男は必ずタバコを吸っている(笑)。そして、女には悪意がない。完全な「男目線」の恋愛映画だと思うのだが、女性はどう感じるのだろう?


あー恋したい(笑)


映像制作者の映像レビュー
★★★☆☆


日本でHIPHOPが流行ったのは、それまで表現する手段を持てなかった層の連中に、ラップという自己主張の機会を与えたからだ、という話を聞いたことがある。


だから、というわけではないが、何も刺激がない田舎で、勉強ができるわけでもなく、コミュニティにも溶け込めず、ただ漠然とビッグになりたい、有名になって金持ちになりたい、いい女と付き合いたい、みたいな夢を見るラッパーという設定には、すごくリアリティがある。


映像的にはぬるいな~という箇所があったり、演技が厳しいところも幾つかあって、個人的には正直、巷で騒がれているほどの感動は覚えなかったが、観た後に少し胸が締めつけられる切なさがあった。


それはきっと、夢を追いかけたり、現実に潰されそうになったり、それでも前へ進むしかなかったり、っていう心情が、多くの人の共感を呼ぶ”普遍”にまでたどり着いて表現されているからなんだろう。


決してクレイジーな連中ではない。HIPHOPという生き方を選ぶしかなかった、そこにしか居場所を持てなかった人種が確実にいて、だからこそ、そいつらの放つ言葉の弾丸は聴く者の心を貫く。


企画と脚本が素晴らしい作品。



映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


俺はTSUTAYAの宅配レンタルでDVDを頼んでいるが、この前「脱走モノ映画特集」をやっていて、それで以前書いた「大脱走」と一緒に予約していた。


見たの二度目だし、これが実話であることも、タイトル通り最終的に脱走に成功することもわかっているのだが、手が汗ばむ緊張感がある。


一つのミスが命取りになるシチュエーションで、諦めない強靭な意志と仲間との信頼、知恵とアイディア、看守側との駆け引き・・・題材として面白いんだろうな。


銀行強盗もそうだが、もはやハイテク化された現代ではリアリティのない世界だけに、この時代はロマンがある。今の刑務所、脱獄なんてできないでしょ?入ったこと無いから良く知らないけど(笑)。


とにかく、若きイーストウッドがすでに渋くて痺れた。決して台詞は多くないのだが、男の秘めた熱い心をところどころで表現している。


硬派なまま年を重ねると、グラン・トリノのような頑固ジジイになるのか。。。

有りだな。



映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


不動の人気を確立しているエヴァ劇場版3部作の2つ目。


映画用だから当然と言えば当然だが、とにかくディティールまで書き込んであり、色彩も鮮やか。アニメーション表現でここまでいくのか、と驚いてしまう。


投げっぱなしで物議を醸したテレビ版を見たのが大分前なので、ストーリーをところどころ記憶から呼び覚ましながら見たけど、それでも良くわからん(笑)ただ、確実に引き込まれ、面白い。


DVDの特典映像で、本編のスクリプトやカットした作りかけのシーンが入っていて、その作りこみ度合いにビックリした。あれだけのボリュームのシナリオを作る労力、コンテを書き込む労力、アニメーションを作る労力、それをまとめる労力。ストーリーを「理解」はできなくても、制作者の注ぎ込んだ「エネルギー」は伝わるんだということが良くわかった。もはや”執念”に近い。


ここまでやらないと気がすまないのが庵野監督ならば、テレビでの連続放映に間に合うわけがなく、ああなったのも合点がいく。最終作が更にヒートアップして、完全なるエンディングを見られることを期待する。



映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


ガイ・リッチーらしさが随所に散りばめられた、いわば新訳「シャーロック・ホームズ」。オープニングからすでにスタイリッシュ。


謎解き×アクションという、今まであまり見た記憶のない、良く言えばハイブリッドな、悪く言えば中途半端なところに挑戦しているが、きちんと伏線も回収し、どちらも納得いくレベルに仕上げているのはさすが。


CGのクオリティも申し分なく、世界観の完成度は一級品。


間違いなく続く終わり方なので、今後どう展開していくのかが楽しみではあるが、往年のホームズファン”シャーロキアン”がこの映画をどう評価しているのか、是非とも聞いてみたい。





映像制作者の映像レビュー
★★★★★★★


「24」は、シーズン2の第一話を見た時に、「あぁ、こういうフォーマットで続くのね」と納得してしまい、以降見ていない。


「プリズンブレイク」は、シーズン2が発売されるまでの間に熱が冷めてしまい、以降見ていない。


「LOST」は、シーズン1の後半で監督が色々変わってトーンダウンしているのを感じてしまい、以降見ていない。


「HEROES」も、シーズン1を見終わった段階で、この設定で延々と続くことがわかったので、以降見ていない。


最初のうちはどのドラマもエネルギーが存分に込められている。その勢いが次第に失速していくのは、作り手の言い訳にはなるけどある意味仕方ないことで、視聴者を飽きさせずに、毎回見せ場と次への期待を持たせつつ、完成度の高い連続ドラマを作り続けるのは、相当に大変な仕事だと思うのだ。


数十人のスタッフが携わる分、クオリティをキープし続けるのは週刊漫画連載よりも大変かもしれない。それを、ギャラクティカは見事にやり遂げた。


壮大なプロット、人間洞察に優れた緻密な脚本、完璧なキャスティング、とことんこだわっている美術、作りこんだCG、計算されたカメラワーク、飽きさせない編集。

最後まで妥協無くエネルギーを注いで作られている。


映像制作に携わる者として、ギャラクティカスタッフに心からありがとうと言いたい。これだけの本気で作っている人達がいることが励みになる。


間違いなく、俺が今まで見たドラマの中で最高の一本。

最後まで見て良かった。


映像制作者の映像レビュー
★★★★☆


末期の肺がんを宣告された真面目な化学教師が、家族に金を残すため、ジャンキーの教え子と一緒に麻薬精製を始める。化学の知識に基づいて作られた純度の高い麻薬が評判となり、バイヤーや警察も絡んだ様々な事件に巻き込まれる。


やはり、面白い企画のプロットは、数行で説明ができる。


もっとドタバタを期待したが、DVD3巻のシーズン1を終えた段階では、死を意識した男が生まれて初めて「自由」に生きようともがく様をシリアスに描いている。


海外ドラマを見る度に思うが、役者が本当に上手い。

どれほどのオーディションをして、どれほどの倍率で役をゲットできるのか想像つかないが、よくぞこんなにドンピシャな人を見つけてきたな、という配役ばかり。


役者人口の多さや演技の教育システム、演劇に対する文化的背景など要因は色々とあるのだろうが、タレント頼みの日本のドラマをもう少し何とかしてほしい。