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〔勝手に評価 = ★★★★ = 直球勝負!〕
2024年/アメリカ映画/122分/監督:リー・アイザック・チョン/製作:フランク・マーシャル、パトリック・グローリー/製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、トーマス・ヘイスリップ、アシュリー・ジェイ・サンドバーグ/原案:ジョセフ・コシンスキー/脚本:マーク・L・スミス/撮影:ダン・ミンデル/出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、グレン・パウエル、アンソニー・ラモス、モーラ・ティアニー、ブランドン・ペレア、ダリル・マコーマック、サッシャ・レイン、キーナン・シプカ、ニック・ドダーニ、ハリー・ハデン=ペイトン、トゥンデ・アデビンペ、ケイティ・オブライアン、デヴィッド・コンスウェット ほか
【気ままに感想】
30年近く前の名作の続編…ってだれのための作品なの??
まあ、これは本作に限らずアメリカ映画にはこんなのばかり…というのは言い過ぎではなく、この手の作品は多いですよね~。
本作について言えば、若い人はもちろん前作を知らないし、実際にもお話の内容として“続編”という意味はほぼない…というか「全くない」作品なのだから、そういうことにどんな意味があるのだろうか??
主張したいのは『スピルバーグ印!』ということで、宣伝にも「ジュラシックワールドの…」みたいな文句があって、もうこれはスピルバーグの名声を使ったPR戦略に過ぎない…のでしょうね。
こういう売り方をしないとハリウッドでも商業的に成り立たないのでは??という危機感というか不安感に襲われるのでしょうか???
おそらく、そんな風にアピールしないと、製作費の資金調達も(が)難しいのでしょうね。堅実なリターンを求める投資家を相手にすると、どうしてもこんな風にチグハグなことになってしまうものですかね。
製作に携わる人たちは大変です。
でも、本作は、内容については極めて真面目に災害に向き合った、かつ、ラブストーリー、デザスター映画としても直球な内容の、王道作品…悪く言えば予定調和が崩れない、とてもまとまりの良い作品になっています。
人が竜巻にビュンビュン飛ばされていくシーンをリアルに描いているので、子どもたちにもおすすめ!…と言う訳にはいきませんが(映倫はGですけど)、お話としては決して俗悪にならない、悪者も居ない、甘いお菓子のようなだけど良心的な作品です。
主人公は、デイジー・エドガー=ジョーンズが演じる気象学者…というか、気象学、特に“竜巻”を研究テーマとしている学生として登場し、後にアメリカの気象庁?で予報官として働く人物です。
後に明らかになっていくのですが、この人の「竜巻好き」は筋金入りで、中学校の夏休みの自由研究からして精巧なミニチュアを活用した「竜巻のシミュレーション実験」…って、そんな子ども居るの???
なので、学生時代の事故のトラウマ?で現場主義からすっかり足を洗っているものの、仕事ではやっぱりきっかり“竜巻”に関わっている。
何せ、それだけ筋金入りなので、竜巻の動きが読めちゃう人(その原理は別にして)で、そんな特技を備えています。
大学生だったときに、研究仲間と一緒に竜巻の観測をしに出掛けるのですが、その研究内容は、竜巻の中に水分を吸収する素材を投げ込んで、竜巻の勢いを制御できるか…という、何とも野心的なものなのですが、そのためには“ほどよい規模”の竜巻の中に入って素材を竜巻に吸い込ませる必要があります。
小さくてもダメ、大きいと危険なのでなおさらダメなわけですが、お約束通り、とても大きな竜巻に入ってしまい、観察をしていた仲間たち4人のうち、デイジー・エドガー=ジョーンズを除いて3人が竜巻に飲まれて、お空にピューッと飛んで行ってしまう。
残された仲間は、デイジー・エドガー=ジョーンズと竜巻の外で観察作業をしていたアンソニー・ラモスの2人のみ。
お約束のとおり?3人のうちの1人が当時の恋人でやっぱりピューッと飛んで行ってしまいます。
5年後、恋人と仲間を失ってから竜巻地帯から離れて、都会生活を満喫していたデイジー・エドガー=ジョーンズのもとに、未だに竜巻の研究をしているアンソニー・ラモスが事故以来久しぶりに訪れ、研究の協力を求めます。竜巻とは関わりたくない…と思いながら、天性の竜巻少女のデイジー・エドガー=ジョーンズは、いやいやながら(でも内心ワクワクしながら)数日限定という条件で協力を承諾する。
オクラホマの竜巻発生地帯に赴いたデイジー・エドガー=ジョーンズは、アンソニー・ラモスの研究チームと合流するが、そこには、ユーチューバーのストーム・ハンター(竜巻追っかけ)のグレン・パウエル一行も居合わせて、お祭り騒ぎをしてフォロワーにグッズを売ったり、研究チームにちょっかいを出したりしています。
後は、絵に描いたように(笑)、研究チームとストーム・ハンターチームの竜巻追っかけ競争、相次ぐ竜巻の脅威があって、実は研究チームが悪役で、ならず者のハンターチームが善玉だった!というビックリ?なお約束展開。
もちろん、デイジー・エドガー=ジョーンズはハンターチームに鞍替えして、グレン・パウエルとの関係が…という流れです。
お話としても破綻のない、スムーズな流れの作品…という点が好感的。
最初は胡散臭いならず者として登場するストーム・ハンターたちも、商売第一主義的な行動は、実はその資金を被災者支援のボランティア活動費として活用していて、炊き出し(アメリカなので“焚いて”はないけど)にも積極的に取り組んでいて、実はイイやつだった…展開は観客にもやさしい。気持ちが良い作品です。
一方で、これもお約束ですが、研究チームが研究資金を得ていたのは、実は被災者を食い物にしている不動産業者からで、不動産業者は被災地に赴いては被害者の土地を二束三文で買いあさっていた…という真相が後に明らかになる。
デイジー・エドガー=ジョーンズは、研究チームのリーダーであるアンソニー・ラモスを攻めるのですが、当然ながら(笑)、最初は“大人の都合”を振りかざすアンソニー・ラモスも良心に目覚め、研究チームと決裂する。
そして、当然ながら(!)最後は、壊滅的な打撃力を持った超大型竜巻の襲来に対して、学生の頃にやっていた、“竜巻の勢いを制御する”実験の発展形で人々を救おうと奔走します。
猛烈な勢力を持った竜巻が刻一刻と街に襲来しようとする、まさに危機一髪の事態に、デイジー・エドガー=ジョーンズ、アンソニー・ラモス、そしてグレン・パウエルたちは、竜巻の威力を制御することができるのか…???
もう、お分かりですね!
ということで?
お話自体は“それなり”なのですが、何ともすごいのが“竜巻の描写”
もちろん、映像技術が格段に進化している現代…どんなシーンでも表現できるし、スゴイ映像が溢れかえっている今日この頃ですが、本作の“竜巻”は“これまでの竜巻”に比べても決して劣らない…というか、最高の出来!と言ってもよいのでは?(まあ、竜巻作品がこれまでどれだけあったかは…よくわかりませんが(笑))
少なくとも、人間がピューッ、ピューッと飛んでいく描き方はちょっとビックリ、多少心臓に悪いくらいに衝撃的です。
竜巻を、自然現象として描いているというよりも、怪獣映画の“カイジュウ”扱い。情け容赦のない破壊神として描かれています。
まるで、神の意思が自然現象に宿っているかのごとく。
主人公はそれを“読んで”対峙していくのです。
その点では一見の価値ある作品ではないか??…と思います。
本作でよかったのはグレン・パウエル。
『トップガン マーヴェリック(2022)』の、いかにもなライバル役に続いて?本作でも悪役と善玉との中間の微妙な役回り(でも、最後は美味しいところを持って行く人)をそれらしく演じていて、立ち位置的には『スターウォーズ』のハン・ソロ。
結局オイシイ役を嫌味なく演じました。
この嫌味なく…ってところが大事なところですね。
傷心のヒロインの心をガッチリつかんで、かつ、大事なところで活躍する人…1作の中でガラッと印象を変える役を納得感もって演じられるところは、この人のもって生まれた天性なんでしょうね。なかなか得難いキャラです。
すでに30代半ばを過ぎた遅咲き?(子役から役者をやっててキャリアは長いですけど)の俳優さんですが、今後の活躍は結構期待…です!
★★★★★ 完璧!!生涯のベスト作品
★★★★ 傑作!こいつは凄い
★★★ まあ楽しめました
★★ ヒマだけは潰せたネ
★ 失敗した…時間を無駄にした
☆は0.5