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今回紹介する場所は、奇怪な大木が林立する風景が壮観な場所でした。その場所は静岡県沼津市にある「大瀬崎のビャクシン樹林」。
ここは、なんでも人気アニメ「ゆるキャン△」の聖地なんだそうです。
私の奥さんは「ゆるキャン△」の大ファンで、アニメのみならず、原作漫画まで買い揃えているほどです。だから、今回は奥さんと息子も珍しく付きあってくれました。
「行ってみたかったのよ~。」という奥さんや息子と一緒に、年末年始を利用して訪ました。
この時期にここを訪れる人はダイビング客以外は少なく、ゆっくりと見ることができました。
ビャクシンといえば盆栽では「真柏(しんぱく)」、園芸では「イブキ(カイヅカイブキ)」とも呼ばれ、奇怪な樹形に成長することで知られています。
ここでは盆栽が巨大化したような、うねうねとした奇怪な巨木が林立しており、その光景はとても壮観でした。アニメではどう取り上げられたのかは知らないので、今度は奥さんに付き合ってちょっと見てみようかな…
大瀬崎は伊豆半島の北西部、半島の首元に西側に突出した岬です。岬の先端には「神池」という淡水の池があります。この池、海とはたった数十m幅の陸地で区切られているだけなのに淡水なんです。摩訶不思議、奇跡的です。
ただ、この珍しい現象自体は天然記念物には指定されていません。
天然記念物となっているのは周囲に繁茂するビャクシンの老樹林なのです。
岬の先端は神聖視されているためか、大瀬神社という神様が祀られ、全域が境内となっています。
神社の一の鳥居は岬の根元部分にありました。
ここはダイビングスポットとしても人気で、鳥居の手前にはスキューバダイビングのショップやペンションが数軒、並んでいました。
その周辺がすでに「大瀬崎のビャクシン樹林」なのです。この辺りに生えているビャクシンの老樹は海からの強い風の影響なのか、幹が歪にうねった大木になっていて、壮観です。
これらの老樹は樹齢1000年を超えているといわれていて、江戸時代から既にその奇観が有名だったそうで数々の紀行文にも紹介されるほどでした。
いくつかの老樹を写真で紹介します。
この辺りがビャクシン樹林の第1区といったところでしょうか。
一の鳥居をくぐるとその先は高台があり、地元の鎮守、大瀬神社が祀られていました。
この周辺は第2区といったところで、後進の若齢樹が育っていました。
これらの樹は自然繁茂したものだけではなく、植樹したものも含まれています。後世のため、かつての繁栄を将来に伝えるために植樹したとのこと。
神社にお参りして岬の先端を目指すと、目の前に大きな池が現れます。これが「神池」です。
神池は淡水の池で、本当に海とは数十m幅の土地で隔てられているだけでした。
しかし、泳いでいるのは淡水性のコイ。確かに不思議な光景です。
他にも淡水性の魚が生息しているそうです。なぜ、こんな海に突出した岬の先に淡水が湧いているのかは解明されていないそうです。ただ、神聖な場所でもあるので、今後も調査するつもりはないとの話です。
ひとつ言えるのは、淡水池の水面は、周囲の海面より結構高いように見受けられます。まあ、そういうことです。
奥さんと息子も、ここの景観は気に入ったようで、「ここの樹はすごいね。もう一度『ゆるキャン△』見てみよう」っていいながら、ここで車に戻っていきました。
え?
「もっと奥まで見に行ってみない?」「いや、もう分ったから十分よ。」
というわけで、相変わらずつれない家族です。ここから先は私一人で探訪しました。結局、私の趣味には家族は付き合ってくれないのです…
この池の周囲、海と池を隔てている数十m幅の土地の部分がビャクシン樹林の第3区と言える場所です。この辺りもビャクシンの老大樹が多数聳えていました。
この周辺は第1区と違い、幹が歪ではあるけれど比較的真上に伸びる樹形のものが多いのが特徴です。
岬の先端、やや南寄りには大瀬崎灯台がありました。無人の小さな灯台ですが、今も駿河湾を出入りする船の航海標となっています。
この灯台の内陸側、神池の池畔側に、大瀬神社の御神木とされたビャクシンの老樹がありました。
何本かの樹が合わさったような太い幹が印象的です。古い木らしく洞があります。なるほど、その太さといい、樹高といい御神木にふさわしい威容です。
他にもこんな奇異な容貌の木々が見られました。
岬の北側は壮年期の樹が多いです。この樹林の未来を担う木々ですね。
数十年前に植樹された木々もあります。これらも今や樹林全体の一部を担う樹に成長していました。
これで岬を一周してきました。
また、天気が悪かったのでこの日はうすぼんやりとしか見ることができませんでしたが、天気がいいと岬からは駿河湾越しに秀麗な富士山を望むことができます。
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大瀬崎のビャクシン樹叢(昭和7年7月・天然記念物 静岡県沼津市西浦江梨)
大瀬崎は伊豆半島の首にあたる部分、地図で見るとややくびれた部分の西側に細長く突き出た岬です。岬の入り口には大瀬神社が祀られ、先端一帯は大瀬神社の境内地となっていて、先端部には神池という淡水性の池があります。
この岬の入り口付近から神池の周辺にかけて広がっているのがビャクシンの樹林です。ここのビャクシンは樹齢が1000年を超すとみられる、奇怪にうねった巨木が多いことで古くから知られていて、江戸時代の紀行文にも紹介されています。
ここの樹林は代表的な原始林で稀有な森林植物相を持つとされていますが、砂浜という特殊な土壌に生育した土地的な極相と考えられる、とのことです。
現在は100本を超える巨木が見られますが立ち枯れているものも増えており、台風などの災害や気候の変動を受けていて樹林の衰退が心配されています。