広告よりもファンづくり(キールズ)【他社戦略】 | 経営戦略で進むべき道を照らす!迷える後継者専門、「福井県後継者軍師」谷川俊太郎のブログ

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先代後継者との間の経営方針の違い、承継した会社の舵取りに迷う、そんな迷える後継者に経営戦略で進むべき道を照らす!福井県の迷える後継者専門軍師の谷川俊太郎です。経営戦略、経営お役立ちブログを毎日更新中!公認会計士・税理士・中小企業診断士の資格も保有してます!

こんばんは!

経営戦略と戦略会計で会社を変える、FSAコンサルティング株式会社社長の谷川俊太郎です。

今日は水曜日!【他社戦略】の更新日!頑張って書きます!

 

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【記事要約(平成29年9月1日 日経MJ P5より】


仏ロレアルグループが展開する米国発の化粧品ブランド「キールズ」。20~30歳代の女性を中心に支持を集めるヘアケア商品「キールズ アルガンオイルライン」は髪の毛のうねり、くせ毛のケアに特化した商品だ。

 

キールズのヘアケアライン6種類のうち、最も売り上げが大きいというアルガンオイルラインの日本投入は16年7月だった。

 

キールズそのものは化粧品ブランドであり、ヘアケア商品としてのブランドの認知度は高くはなかった。発売時点でこうした課題を抱えていたアルガンオイルラインを売れ筋トップに押し上げたのは地道な販売促進だった。

 

キールズは店頭で扱うほぼすべての商品について、サンプルを用意している。ヘアケア商品でも2~3日分のサンプルをそろえ、来店客に手渡した。大がかりな広告宣伝を抑えることでサンプルの容易に充てる資金を捻出し、ファンづくりを進めた。

 

化粧品を目当てに訪れた顧客向けに会計の待ち時間、アルガンオイルラインのヘアオイルを試してもらう仕掛けもレジの近くに設けた。「使ってみて、満足して帰ってもらう」(日本ロレアルキールズ事業部の田口沙奈枝さん)ことで次回の来店時の購入につなげている。9月9日にはお試し用のシャンプー、ヘアオイルの小容量セットも発売する。

(記事要約終わり)


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化粧品などのことは全く分かりませんが、この記事のアルガンオイルラインの販促方法に関しては「美しい」と感じました。お客様の心の中を読んで対応をしているな、と感心しました。やみくもにCMをするわけではなく、ファンづくりを地道にやる姿勢というのがとても素敵ですね。感心しました。私もくせ毛ですが、男なので、あまり気にしていませんが、女性だったらまとまらない髪にイライラしていたでしょうね。くせ毛のケアに特化した商品という点も面白いです。

 

では、今回注目した点は以下のことです。


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【記事で特に注目した点】
広告に頼るのではなく、お客様の心の中の流れを考えて対応していること

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<注目した背景>

今回これに注目した理論的な背景は佐藤義典先生の、「マインドフロー」からです。「マインドフロー」を簡単に説明します。以下、「マインドフロー」の説明を書きますが、以前に書いたもののコピペですので、もういいやって方は読み飛ばして下さい。

 

*例によって、理論が分かりにくかったら、佐藤義典先生の理論のせいでなく、
 私の説明の力量不足です。その場合は、佐藤義典先生の著書を是非読んで下さい。

 

マインドフローの解説

 

販売の理想は、自社(もしくは自社の製品・サービス)のファンを増やすことですよね。ファンが増えれば当然売上は伸びます。ファンが増えれば、良い口コミを広げてもらえ、さらにファンを増やす原動力になります。「マインドフロー」とは、お客様が製品やサービスを買ってもらい、ファンになってもらうまでのお客様の「心の動き」を表したものです。お客様がファンになるまでの「心の動き」は以下の7つの関門を通ります。

 

①認知:お客様が自社の製品を知る
②興味:お客様が自社の製品を知っていて、興味を持つ
③行動:お客様が自社の製品に対して具体的な行動をしようと思う
     (ホームページを見る、パンフレットを受け取るなど)
④比較:お客様が自社と競合他社を比較する
⑤購買:お客様が比較の結果、自社の製品を買う
⑥利用:お客様が自社の製品を使う
⑦愛情:お客様が自社の製品に愛情を持ち、ファンになる。


これだけでは分かりにくいと思いますので、自分の実体験をもとに新しいラーメン屋のファンになるまでの心の動きを例示しますね。


①<車で走っていて>
 「へ~、こんなところに新しいラーメン屋できたんだ」(認知)

 

②<ラーメン屋ののぼりを見て>
 「肉そばか~、俺、肉好きだし、おいしいかも」(興味)


③<車をそのラーメン屋に向けてハンドルを切る>
 「昼飯あそこのラーメン屋でもいいかも、ちょっと見てみよう」
 (行動)


④<店の入り口のメニューを見て>
 「ラーメン屋ならいつもはあそこに行くけど、どっちがいいかな?」(比較)


⑤「肉がたくさん入ってそうだなあ。おいしそう!ここで昼飯にしよう!

  肉そばひとつお願いしま~す」(購買)


⑥<ラーメン到着>
 「いただきま~す!おいしそう!」ズルッズルッ(利用)


⑦<食べ終わって>
 「おいしかった!このラーメン好きだな。よし、また来よう!!」 (愛情)


どうです?例示のように、確かにこの流れで心の中が動いていませんか?お客様は、このような心の動きをしていますので、このどこかで流れが止まるとファンになってもらえません。先ほどの例で言えば、(興味)のところで
のぼりがなかったら、(興味)はわかなかったかもしれません。そうであれば、そのラーメン屋は、私にとって「そこにあることを知っている」だけのお店になってしまいます。
お客様にファンになっていただくには、この流れを止めないようにする必要があります。流れが止まっているようなところには必要な対策をしなければいけない。


これが、佐藤義典先生の「マインドフロー」です。

 

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今回はマインドフローです!マインドフローとは、お客様があなたのお店(もしくは商品)を「知って、買って、使って、ファンになる」までのお客様の心の中の動きを表しています。そして、このマインドフローのセオリーは「下から改善」です。すなわち、広告などをバンバンうって商品を宣伝したのに、肝心の商品の質が悪かったり、使い方が分かりにくかったりして、なかなか使ってもらえないとなると、お客様はファンになりません。一度は買ってもらえたとしても2回目は買ってもらえません。商品が悪ければ逆にクレームになって、悪い口コミになる可能性すらありませすよね。

 

その点、キールズさんは販促をお客様の心の中の流れを読んで、ちゃんと下から改善していっているように感じます。ファンづくりから地道に始めているんですね。サンプル商品を用意して「比較」しやすくしていますし、小容量セットを用意して「購買」しやすくしています。

 

各関門ごとのうち手を想像も交えてですが見て見ると以下のような感じでしょうか。

 

認知:レジ近くにアルガンオイルラインのコーナーを設ける(想像)

興味:コーナーに「うねり・くせ毛ケア専用」などのPOP(想像)

行動:レジ近くなので、そこにおいてあるお試し品などが簡単に手に取れる

比較:お試し品を用意しているので、気軽に試すことができる(サンプルもあり)

購買:いきなり大容量は買いにくいので、小容量セットで最初の購買をしやすくしている

利用:使用方法などを店員さんがレクチャー(想像)

愛情:商品はアメリカでの主力商品、良いと思ってもらえる確率が高く、愛情を持ってもらいやすい

 

このようにみていくと、記事書かれてあった打ち手は「購買」や「比較」関門の打ち手を打っていることがわかりますね!キールズさんは化粧品ブランドで、ヘアケア商品としての認知度は低かったと書かれていますが、普通このような時に行うことは広告、すなわち「認知」関門の打ち手でしょう。ですが、CMなどを見て来店しても、自分に合うかどうか分からない商品にいきなり数千円を出すでしょうか?躊躇する人が多いのではないでしょうか?

 

キールズさんは、商品には自信があったのでしょうが、値段や量がお客様にファンになってもらえない理由と考えたのでしょう。サンプル品や小容量セットでそのあたりの改善を行っています。素晴らしいと思います!

 

マインドフローは下から改善。当たり前のようですが、多くは広告などの「認知」関門の打ち手に頼ってしまいますが、下の関門がだめだと、広告の効果が無くなってしまいますので、下から改善するのは本当に大事なことなんですね。

 

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【会計的な効果】

今回は「お金の使い方」の話です。「広告宣伝費」と聞くとどのようなお金の使い方を想像しますか?おそらく、テレビCMやチラシなどをイメージするのではないでしょうか?確かにそれは分かりやすい広告宣伝費です。ですが、見方を変えれば、お客様に渡すサンプルも商品を知ってもらうことですよね。お店の一角に商品のコーナーを設けてPOPを作ることも広告です。違いは「どこまで届くか」ということでしょう。テレビCMなどは不特定多数の多くの人に届きます。サンプルやお店の一角のコーナーですと、お店に来てくれた人にしか届きません。どちらが良いのでしょうか?

 

普通は不特定多数の人に届くことが良いと思われるかもしれません。ですが、結局その人達が買ってくれないと意味がないわけです。となると、サンプルも用意せず、広告だけ打って高価なヘアケア商品を買ってもらえる可能性よりも、お店に来ている人、少なくとも化粧品は気に入ってもらえている人に販売する方が買ってもらえる可能性が高いでしょう。

 

なので、そのようなお客様にお試し品を作るほうが買ってもらえる確率は高いと思います。記事にもありましたが、テレビCMなどでお金を使う費用をサンプル品に回したわけですね。効果的な投資とは何かを考えているなと思います。

 

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【自分ならどうするか?】

今回は綺麗にマインドフローが成立しているので、あまりどうするとかはないのですが、せっかくここまでファンになってもらえる流れをつくったのですから、ファンに対するさらなるアプローチを今度は考えたいなと思います。引用はしていないのですが、キールズさんは今後「ギフト」需要を狙っていくようです。これも使ってファンになった人はその商品を贈りたいという思いから作られたものでしょう。ファンづくりの先を考えていますね。他に考えられることは定期購入やファンサイトなどでしょうか。愛情をもってくれた人への次のアプローチを考えたいですね!

 

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さて、いかがだったでしょう?マインドフローは下から改善する。とてもとても大事なことですので、是非自分の会社でも考えてみてください!下の打ち手がおろそかになっていたら、広告など上の打ち手を打ってもあまり効果がないですよ!

 

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