【ブックカバーチャレンジ】⑦
ラフカディオ・ハーン「日本の面影」
ラフカディオ・ハーンはペンネームを小泉八雲といい、ギリシャで生まれ日本で没した文筆家。
「怪談」が最も有名だが、この「日本の面影」もとても面白い。
日本を愛し、日本を終の住処に選び、日本人と結婚した八雲。
心底日本に惚れたのだろう。
そして、自分が生まれ育ったヨーロッパに対する批判精神が強かったようでもある。
八雲の日本に対する眼差しは優しく、「日本の面影」は、日本人である僕らがちょっと気恥ずかしくなるほど日本賛美にあふれているが、同時に日本の近代化についての批判も忘れていない。
富国強兵を目指す明治の日本にとって、八雲のナイーブな「昔は良かった」式の論評は耳に入らないものだったろう。
しかし今、読み返すと、ハッとさせられるような視点も多い。
異文化に対する対等な(上からの逆という意味で)視線、そして、フィールドワークというか、現場に入り人々と交わって文化を肌で体験してアウトプットする八雲のスタンスが、本当に好きだ。
こないだ取り上げた小泉文夫さん(偶然小泉つながり!)の民族音楽研究の姿勢と共通する。
「自民族中心主義」ではなく、他者を理解しようとする姿勢。
20世期後半では当然のモラルとなった感がある。
いや、良心的な研究者、一流の芸術家は、直感的にこれができるのである。
しかし、できない人も多い。
自分の価値観が最高であり、そこに1ミリの疑問も抱かず、違う価値観の人の気持ちが想像できない人。
こういう人間が、簡単に人を傷付けるのだ。
こうはなりたくないものである。
自分の価値観を大切にし、その価値を分かっている人ほど、他者の価値観をリスペクトするのである。
これは、なあなあな妥協とは違う。
価値観の違う人と論戦したっていい。
自分の信じる価値観の素晴らしさを説くために一生懸命になる事は素晴らしい事だ。
大切なのは、現実に、この世の中、いろんな人がいるという事実である。
全員が同じでは、全くないのである。
そしてそれがいいのである。
「共生」というやつである。
余談だけど、同じことが「政治的価値観」にも当てはまる。
自分の正義を押し付けないで欲しい。
「共生」が大事。って掲げてる奴が
他の価値観を全く認めない。
矛盾してませんか?いや、矛盾してます。
とにかく、八雲は素晴らしい。
そして、僕は、そんな大好きすぎる八雲に対して
ラブレターのような音楽を作曲しました。
良かったらぜひ聴いてください!
YAKUMO I II III
これにて、Facebook上の【ブックカバーチャレンジ】7 daysのそれぞれの本の紹介は終わりです!
過去の紹介記事はこちら↓
よかったら、ぜひ!
ホロヴィッツの夕べ
https://ameblo.jp/shuheihosaka/entry-12595196485.html
独ソ戦、反抗的人間
https://ameblo.jp/shuheihosaka/entry-12595651166.html
私を離さないで、世界を聴いた男
https://ameblo.jp/shuheihosaka/entry-12596413693.html
ジャズ・マンとその時代
https://ameblo.jp/shuheihosaka/entry-12596850606.html
最後までありがとう!
ピアニスト/作曲家 保坂修平
♪ → プロフィール
♪ → Youtubeチャンネル
♪ → CD
ブログ、ぜひフォローお願いします!