【ブックカバーチャレンジ】⑥
丸山繁雄「ジャズ・マンとその時代」
本当に労作だと思います。
丸山さんはボーカリストとして存じ上げていたが、一線で活動するジャズ・ミュージシャンがこのように素晴らしい歴史研究をされたということに心底感動した。
僕も25歳位まで、研究者を目指していた者の端くれとして、この大変さは想像できるつもりだ。
偉業と言えます。
※※
この本の特徴は、ジャズの歴史における「黒人」について、執念とも呼べるような気迫で調べあげ、掘り下げていることだと思う。
「ジャズは黒人が作った」
「クロい表現かっこいいよね」
「やっぱりブルースが根っこだね」
「黒人のリズム感、出せないよね」
「黒人差別が酷かったらしいね」
こうやって消費、交換されるいつもの言説。
音楽をやり、コミュニケーションする上で、便利な記号のようなものだ。
それ自体になんの罪もないし、多くのジャズに関わる人間が大なり小なり知っており、感じていること、「黒人という存在」「黒人の表現」について語るとき必要不可欠な表現だ。
僕ら日本のミュージシャンは大体において黒人を大尊敬しており、常に憧れつつ話しているわけだから、その意味するところを突き詰めれば、「黒人てすごい」なのである。
しかし、その便利なコトバたちの裏側にある本当の苛烈さ、歴史の重さ。
これを僕たちは知らない。
なぜ知らないかといえば、学ばなければ分からないことだからである。
叩かなければ開かない扉なのである。
この21世紀の日本に住んでいれば、黒人奴隷がどんな生活をしていたか、知る由もない。
20世紀の公民権運動の激しさ、これも知る由もない。
差別がどれだけグロテスクなものだったか。わかる訳が無い。
ジャズを学べば、必ず「黒人」って何なんだろう?
ここにぶつかるのは間違いない。
ただそこで、どう動くかは人それぞれだ。
知りたくて学ぶ。
その学び方にもいろいろある。
丸山さんはとことん、行ったのである。
そして、丸山さんは才能と能力があるのだ。
研究を続ける。このような本に結実させるまで、ひたすら続ける、マラソンのように。
このように時間とエネルギーをかけるという「才能」だ。
普通はできません。
この本の素晴らしさをもう一つ特記するとすれば、英語とジャズのリズム(三連符、スウィング)の関係の分析である。
これはボーカリストにも楽器奏者にもぜひ読んでいただきたい。
本当におすすめの本です。
※※
ブックカバーチャレンジの過去記事です!
よかったらあわせてぜひ。
https://ameblo.jp/shuheihosaka/entry-12595196485.html
https://ameblo.jp/shuheihosaka/entry-12595651166.html
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ピアニスト/作曲家 保坂修平
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