最近、保護猫活動の話題を見聞きしたので、昔拾った迷子の子猫の思い出話を書き留めておこうと思います。
※ペット禁止のアパートで猫を飼っていた話が含まれています。もう30年以上前の話ですので、大目に見てください。
①と②はこちら。出会いと、保護してからの暮らしです。
今回は、最終回です。
慢性腎臓病
2011年の初め頃。
昔は、階段で2階に上がったり、ソファや椅子に飛び乗ったりしていましたが、めっきり1階の床に置いてあるペット用ベッドで過ごす事が多くなっていました。元々、ほとんど一日中寝ているので、そういうものかと思っていました。
ある日、トイレから戻る途中で、腰が抜けたように足が動かなくなって寝そべっているのに気付きました。
抱き抱えてベッドに連れて行くと、何事も無かったかのように毛繕いを始めましたが、初めての事だったので、慌てて近所の動物病院に連絡して、診てもらいました。
検査してもらった結果は、慢性腎臓病。高齢の猫は、このようになる事が多いそうです。
定期健診で早期に発見できれば、進行を遅らせる事は出来たそうですが、すでに進行してしまった腎臓を回復させる治療法は無く、対処療法で症状を和らげるしかない、との事でした。
提案された治療方法は2つ。
①入院して、血管から薬剤と生理食塩水を点滴で入れる。
②家で出来る点滴器具で、家族が生理食塩水を入れる。
いずれにしても、根治する訳ではなく、症状を和らげ、延命するための処置。
弱った腎臓で老廃物を排出するには、口から摂取できる水分量では足りないので、点滴で補って排尿する、という治療方法です。
お医者さんの説明では、
「①の場合は、最期まで入院生活となるので、ご家族が看取るのは難しいでしょう。
②の場合は、最後までご家族と一緒に居られるので、みゃーちゃんも安心できると思います。
少しでも永く生きてほしい、と言う事で有れば①ですが、猫ちゃんで21歳という年齢は、長寿と言えます。住み慣れた家で、ご家族と一緒に過ごされてはいかがでしょうか。」
との事。
迷わず②をお願いしました。
点滴治療
点滴のやり方を教わって、点滴セットを受け取って、自宅に戻りました。
点滴の器具やパックは、ほとんど人間と同じ仕組みでしたが、針を刺す位置が違います。
猫の点滴は、首筋少し下の皮がたるんでいる所に針を刺して、輸液を流し込みます。
親猫が子猫を運ぶ時、首の後ろの皮を咥えてぶら下げますよね?あそこには神経が通っていなくて、痛くないそうです。なので、針を刺しても痛がる様子は有りませんでした。
血管に流し込むのではなく、皮下脂肪の下に輸液が貯まって、一時的に、何となく水風船のようにプヨプヨになるんですが、毛細血管から少しずつ吸収されるそうです。
看取り
点滴治療を始めて、一時的に少し回復し、歩けるようになりましたが、やはり、徐々に歩くのが難しくなってきました。
リビングに置いたペット用ベッドの前に、ご飯と水を置いて、ペットシーツとタオルを敷いて、ほとんど歩けなくても、何とかなるようにしました。
時々膝の上に乗せたり、なるべく傍で撫でたりして、少しでも安心してもらえるように心がけていました。
2011年5月7日。GW最後の土曜日の夜。
トイレしたので洗面所でタオルを洗っていたら、妻が呼ぶ声。
「様子がおかしい。痙攣してる。」
慌ててリビングに戻ってみると、手足を突っ張って、口をパクパクさせ、目を大きく見開いています。しかし、覗き込んでも視線は合いません。
何度も声を掛けて、身体や手足をさすっていましたが、そのうちフッと力が抜けました。
最期の瞬間、僕らの顔が見えていたのか、声が聞こえていたのか、さすっていた感触を感じていたのか、それは分かりません。それでも、最期は傍に居て、虹の橋に向かう彼を見送る事は出来たと思います。
あとがき
1990年12月に寒空の下で保護してから、ペット禁止のアパートで10年間、その後一戸建てに引っ越して11年間、家族として一緒に暮らしました。
保護して、自分で飼うと決めた以上、最後まで責任を持って面倒を見る覚悟でいましたが、迷いや反省点は色々有ります。
・家猫として、外に出さずに閉じ込めていた事
・去勢して、繁殖の機会を奪った事
・怪我もなく、病気もせず、元気にしていたので、その間、定期健診に連れて行った事が有りませんでしたが、もし、定期健診で腎臓の不調が早期発見出来ていたら
また違う一生を送っていたかもしれません。
21年間の彼の一生は、充実していたのか、幸せだったのか。それは彼にしか分かりません。
虹の橋を渡ってから、すでに13年。次は何に生まれ変わっているのか、まだ生まれ変わる前の修行中なのか分かりませんが、これからも色々な経験を積んで、充実した生涯が送れるように祈ってます。
出会ってくれて、一緒に居てくれて、ホントにありがとう!!
いつかまた、どこかで!!