『書を捨てよ、町へ出よう』というタイトルの本がある。1967年に寺山修司という詩人・劇作家が書いた。劇団「天井桟敷」を主宰し、詩や評論も多く、当時の若者にはカリスマ的存在だった人だ。

 

この書物の刺激的なタイトルも広く知れ渡っていた。もともと評論集だが、のちに同じタイトルの戯曲や映画も作られている。

 

 

私自身、この本をまともに読んだことがあったわけでもないのに、なにか本のことが話題になったり、考えたりするとき、かなり頻繁にこの言葉を思い出した一人だ。

 

こうして図書館のサイトに載せるべき一文を考え始めたとたんに、またしてもこの文句が浮かんできてしまった。そこでこの際、妖怪のように何十年も私にまとわりついている正体不明の、しかしインパクトだけは強いこのタイトルを、ちゃんと考えてみようと思った次第である。

 

 

この本の終わりのほうでタイトルの意味が明かされるところがある。大学に入って病気になり、療養生活のあと快方に向かった頃、寺山は生きる「実感」をもとめて読書ざんまいの生活から遠ざかろうと思いはじめた。そしてそこには、それまでの豊富な読書体験から得たモデルがあった。それはアンドレ・ジッドの紀行的詩文集『地の糧』で、「書を捨てよ、町へ出よう」とは、そこに出てくる言葉なのである。

 

以上は、ネット上から拝借した文章。

 

『書を捨てよ、町へ出よう』は、カルメンマキ『ときには母のない子のように』とともに流行病のように自分にも感染した。風に吹かれる程度のことだったけど・・・。

 

 

そんなことをふと思い出すと、

「この頃は、町へ行くことがないなぁ」。

特に目的があるのではないけど、ふら~っと町を歩いてみようかなぁ。

 

そうして熊本県営駐車場に車を止めて、鶴屋百貨店新館6Fから旧館7Fへの通路を渡る。新館にあるコロンビア専門店に立ち寄ってみる。

 

「売り子の女性店員はいるかな?」

と店内の様子を探ると、若くて親切でやさしい娘がいて、目で挨拶を交わす。その娘はほかの女性客2名の応対をしている。

 

がねさんには意地悪で出しゃばりの先輩娘がついた。ま、二人とも変わらず、元気に続いているようでまずはよかった。

「なにかお探しですか」

「あ、いや、ちょっとひととおりざっと見に来ただけで・・・」

「ごゆっくりどうぞ・・・」

などと出しゃばりの先輩娘とやりとり。

 

ま、ひととおり商品を見て回ると、値札2万4千円のものが1万6千円に値下げしてある。

は~、なるほど・・・。

ということで、そのまま店を出る。

 

旧館7Fは飲食店街。後で、東京『藪』に来ることにして、その場はスルー。

 

エレベーターで1Fに下り、外に出ると、TSUTAYA下通へ。

 

保育士さんに誘導されて園児さんたちの散歩が通り過ぎるのを待ち、店内に入る。

 

入るとすぐに新刊本コーナーがあり、青山文平『下垣内教授の江戸』を見出した。ほかにも数冊、手が出そうになったけど、このところほとんど本を読まない生活が続いており、積読の本があるので、購入するのは一冊のみにとどめた。

 

 

そうして三年坂から下通アーケードに出て、上通アーケードへと向かう。

 

岡田珈琲店、スイス、ドトールコーヒー、長崎書店などは変わらず営業中なのを見て安心したけど、たまたま休日閉店なのかもしれないけど、シャッターが下りている店舗がいくつかあって、嗚呼、やっぱり少し寂れているのかな。以前のイメージからすれば、人通りの数が少ない。

 

 

そんなところで上通から引返し、鶴屋百貨店7F飲食店街の『藪』にて天ぷらせいろを昼食にして、満足。