鎌倉時代に制作された国宝『一遍上人絵伝』
という絵巻物があります。若い頃、私はその
絵画世界に衝撃を受け魅了されました。
下のように絹地に岩絵具で非常に美しく
描かれたものです。当時の庶民や武士の
暮らし、山水草木、寺社仏閣が
克明に描かれています。
俳優たちが演じる大河ドラマのようです。
法眼円伊筆 第7巻(東京国立博物館蔵)より抜粋
絹本着色 37.8×802.0
鎌倉時代・正安元年(1299)
縦40センチほどで、大和絵に詞書を交え
全長は8メートル。これが12巻という
途方もない作品です。
そして描かれたたくさんの名所・旧跡が、
現代も残っているのです。
若かった私は、まだどこも訪れたことが
なかったのですが、画集の中で知った
いくつかの図版の風景を実見して
みたいと切実に思ったものでした。