身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法 -61ページ目

身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

我孫子道院 道院長のブログ

師走のこの季節、いつの間にか、チキンを焼いてを食べるのが世間の定番になっているようで……


我々拳士にとって、「トリ」と言えば、開祖の愛した丸亀名物の「骨付鳥」!

発祥は、開祖がご贔屓にしていた、1952年創業の老舗

「骨付鳥 一鶴」http://www.ikkaku.co.jp/index.html


スパイシーで、バリッとジューシー

ビール片手に、ダイナミックに手で持ってかぶりつくと、もうやめられません


いまやこの骨付鳥は、拳士のソウルフード

ワタシも、本山に帰山するたびに、仲間と一鶴に繰り出して、骨付鳥で一杯やるのを楽しみにしているひとりです。


じつは、昨日は親子三代が集う身内のパーティーがあり、

メニューに鳥もも肉を焼く、というのがあったので、

それなら「一鶴風の骨付鳥に!」と提案したところ、調理担当者に任命され……


恐れ多くも63年の歴史を持つ、あの伝説の味の再現に挑戦することになってしまいました。




(これが一度食べたら病み付きの、ご本家=一鶴の「オヤ」)



さて、どうなることやら……



まず、鶏肉をフォークでブスブスと刺して、

フードプロセッサーでたっぷりのニンニクと塩、胡椒などのスパイスをキュイーンとすりおろして混ぜておく




それをスリスリお肉に刷り込んで、およそ30分ほど放置して、味を染み込ませて、オーブンへ




途中で、一回ひっくり返して、天板にたまった鶏油(チーユ?)を肉にかけて、もうひと焼きで完成




こんな感じに出来上がり

(写真には写っていませんが、もちろん付け合せのキャベツも用意しました)


味はなかなか上々で、

集まった家族にも好評でしたが、

伝説の味の再現度は70%ぐらいかな?


足りなかった30%の内訳は、

第一に辛味

子供達も食べるので、ちょっとスパイスを控えめにしたのですが、

大人用は、あと1.5倍はスパイスを効かせてもよかったかなと。


次に焼き加減

もっとバリッとジューシーに焼き上げたかったので、オーブンの温度はもう少し高めがベターだったかも

(今回は250度に設定。一鶴のHPを見たら、本家は特注の窯で300度以上で焼くらしい)


あとはオヤ鳥が手に入らなかったので、次回は市場にでも買い出しに行って……

できれば、盛り付けもあのメタルのお皿にすれば、

再現度80%はいけるのでは!!


もっとも、拳法の技でもなんでも、肝心なのは、最後のツメ

技が決まるか決まらないかも、最後の決め手が左右するので、

なかなか本物の味には及ばないでしょう

(なにせ素人料理ですから)


もっと頻繁に一鶴に通って、味鶏稽古に精を出したいと思います(笑)



本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『105

少林寺拳法には、前受身、後受身、大車輪、横転より起き上がりの、四種類の受身があり、

(教範には、「とんぼ返り」も記載されている)

稽古の度に、基本修練の中で毎回、四種類とも練習している。


にもかかわらず、受身は気づくと自己流に崩れやすいので(例=前受身が、横ゴロゴロ受身に劣化する……)、我孫子道院では、定期的に集中稽古を行って、矯正しています。


柔道や合気道の受身と違って、少林寺拳法の受身は、畳ではなく、板の間でやるのが基本!

(我孫子道院では、新入門者はマットを使って受身の練習を行います)


でも、受身の集中稽古の際は、有段者から白帯まで、全員マットを使って修練します。

その代り、各自のレベルに合わせて、マットに胴を置いたり、キックミットを置いたり、ぞうきんを置いたりして、障害物を越える形で、前受身を行ってもらいます。



(胴、キックミット、ぞうきんなどを越えることで、横方向に崩れるのを補正するのが目的)




新入門の子は、まずはぞうきんをクリア!






(キックミットを……)




(自称 上級者は胴&ミット越えにチャレンジ! この子は上半身と下半身がねじれているので×だけど……(笑))


練習だから失敗してもいいんです。

失敗したら、障害物がひとつ小さいマットに移動して、そこで上手く受身が取れたら、もう一段障害物が大きいマットに移動して再チャレンジすればいいんですから。


ワタシは、せっかく少林寺拳法を学んでいる以上、この受身だけは、みんなに上達してもらいたいと思っています。


六百数十もあると言われる少林寺拳法の技法の中で、おそらく一番日常生活で役に立つワザは、この受身でしょう。


歩いているとき、走っているときに躓いて転ぶ。

あるいは自転車やバイク、スキー、スノーボードで転ぶ。

歳をとって、段差に躓いて下手に転倒すると、それが原因で寝たきりなんていうことも、決して珍しくはありません。

そうしたとき、この受身さえ身につけていれば、ダメージが最小限で済むようになります。


そして、なにより、人生に躓いた時も、受身は役に立ちます


少林寺拳法に限らず、武道の稽古は受身からはじまります。

受身とは、相手に倒されたとき、投げられたときに初めて必要になるわけで、

いわば負け方の訓練です。


ボクシングで、ダウンの仕方を練習する人はいないでしょうし、レスリングでも、フォールのされ方を習うことはないでしょう。


しかし、武道は受身から修行がはじまる。


これは、武道・武術の先人たちが、何人たりとも、勝ち続けることはできない、という現実を知り尽くしていたからではなかろうか。


自分の腕が未熟であるがゆえに倒されるときもあるだろうし、

ときには思わぬ嵌め手で、倒されることもある。

だからといって、倒れたから負けではない。

倒されたら、受身をとって、立ち上がる。


とくに少林寺拳法の受身は、柔道のように腕や足で床を打ったりしないで、転がったら、そのまま立ち上がるのが特徴。


おまけに、立ち上がったら、すぐさま払い受け等を行い、さらには上中二連突き+蹴り等の連反攻まで行って、それから残心をするところまで含めて、受身にしている。


人生も同じ、倒れたら負け、失敗したら終わりじゃない。

倒れても、失敗しても、そこから受身をとって、ダメージを往なし、すぐさま立ち上がって、連反攻まで持っていく。

七転び八起きの達磨の精神にもつながっていくわけです。


開祖の「勝たなくてもいい、だが絶対に負けるな」という教えも、

「人生、勝ちっぱなしではいられない。だから負けシロの確保を意識しておけよ」という意味もあったと思います。


というわけで、人生に負けないためにも、受身は早く一人前になろうね



本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『108


◆オマケ◆

相田みつをの作品に、「負ける練習」と題した、柔道の受身をテーマにした詩(?)があるそうです……

師走に入り、ワタシも走り回っております。


まず12月5日(土)は、関東実業団連盟の技術研修会にお邪魔させていただきました。





関東実業団連盟には、N本理事長をはじめ、K田副理事長、H本理事など、親しくさせていただいている諸先輩方がいらっしゃり、今回の研修会は、比較的近くの浦安が会場で、しかも主任講師がS木先生ということで、ワタシも仲間に入れてもらいました。


研修会後は、近くのスーパー銭湯で、入浴&懇親会にも……


実業団の皆さんは、寛大かつ切れ者ぞろいで、連帯感も抜群

だからこうした行事のセッティングは、美に入り細を穿つ、お手本のような運営で、いつも見習いたいと思っております。


楽しい時間と、充実した稽古、ありがとうございました!


その翌週の12日(土)も、出稽古に。

今度は浦安スポーツ少年団にお邪魔して、

錫杖伝の基礎練習




錫杖伝に興味がある門下生も2名ほど一緒に浦安に向かい、基本をみっちり仕込んでいただきました。


法器(錫杖)を使った技法というのは、徒手の技法とまた別の難しさもあり、慣れない動きに悪戦苦闘……


しかし、K藤先生他、先達が根気強く教えてくださるので、「難しいけど、愉しい」と初心に戻って、夢中になり、あっという間に3時間が経過……。


稽古終了後、K藤先生に「骨付き鳥を食べながら、打ち上げでも」と誘われたら、ワタシに断る術(すべ)などあるわけなく、喜んでお供させていただきました(笑)



いつもながら、他所の道場に出稽古に行くと、本当に勉強になります。


我孫子道院も、出稽古歓迎の道場ですが、

ささやかな礼儀と節度を忘れなければ、比較的どこの道場でも、出稽古の拳士を温かく受け入れてくださるのは、少林寺拳法ならではの特徴と言えるのではなかろうか。


それが可能になるのは、やはり少林寺拳法が「競い合い」ではなく、「学び合い」を本旨にしているからに他ならない。


そうした法縁に感謝しつつ、来年もこまめに出稽古に励みたいと思っておりますので、関係各位はどうぞよろしくお願いします。



本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『109

先ほど、本部より一通の訃報が……


(愛媛県)今治道院の合田清一先生が、昨日、身罷われたとのこと


本部期生49期 大範士九段で、長年、武専別科の主幹として、技術指導の第一人者としてご活躍された、最古参の先生のおひとり


開祖の側近でもあった大先生なので、本来、関東の一拳士のワタシなぞ、お近づきになれる存在ではなかったのですが、2011年にご縁があり、恐れ多くも今治道院まで訊ねていき、合田先生にお目通りがかないました。



少林寺が誇る、豪勇の武僧、合田先生の構え



(合田先生とワタシ……)



(合田先生の今治道院)


じつは、合田先生が、最後に千葉武専にいらした際も、

「せっかくの機会なので、若手指導者を」とご指名いただき、

技法解説の際、お相手の攻者役を務めさせていただいた経験も……


80歳近い年齢だったにもかかわらず、突き蹴りの速さが尋常ではなく、若手並どころか、若手以上のスピードに驚愕したのを覚えています。

剛法だけでなく、柔法も実戦的なシンプル&ストレート、それでいて効果抜群の技でした。

「ワシの技は、半分は合田流だ」とおっしゃっていたのが印象的

そして技は厳しいが、お人柄は本当に温かい先生でした。


今年のお正月、新春法会で帰山した際、「今年で85歳になる」とおっしゃられていたので、「いつまでもお元気でいてくださいね」と言うと、「おお、ありがとう。でも、身体だけは丈夫なんじゃ」と、いつもの笑顔で……


最後にお目にかかったのは、今年の道院長研修会の開祖忌法要



直弟子どころか、孫弟子、曾孫弟子でもありませんが、憧れの先生のお一人でした。


再来年の、少林寺拳法創始70周年大会までは、お元気でいらっしゃると思っていたのに、開祖のもとへ旅立たれてしまうなんて……




(創始60周年大会で、全国の道院長にコツを語る 合田先生)


4年前には、月刊秘伝の特集記事にも取り上げられていました


月刊 秘伝 2012年 01月号 [雑誌]/ビーエービージャパン
¥1,018
Amazon.co.jp

ワタシがお聞きした、合田先生のお言葉をいくつか紹介させていただきます。


「少林寺拳法を好きになって、夢中になって、数をかけること。そうしたら絶対強うなる。それは私が保証する」


「禅拳一如ではない、拳禅一如だ。愛力不二じゃない、力愛不二で力が先だ」


「(後進拳士に)私が声をかけるだけで喜んでもらえるなら、何ぼでも声ぐらいかけますよ」

(※合田先生は、本山に帰山した際、極力見知らぬ拳士に声をかけていた。かつて、我孫子道院が本山での帰山合宿を行った際も、帰山拳士が修練している会場に、わざわざお越しになって、声をかけてくださるというサプライズもあった!)


少林寺一筋の85年の人生

たくさんの指導者を育て、全国の多くの拳士に慕われてきた合田先生に再合掌


合田先生、本当にありがとうございました

心から、ご冥福をお祈りいたします

この週末、11月度の昇級考試を行いました。


今回の受験者は、

二級が二名、四級が三名、五級と六級、八級が、それぞれ一名でした。



(今回の受験者たち)


まずまずできていた子もいれば、

「おいおい、(そんな技・動きを)誰が教えたんだ」という子も……

(もちろん、彼らを指導したのは、他ならぬワタシ自身です。つまり出来不出来はワタシの責任!?)


課題はそれぞれあったにせよ、一応全員合格となりました!


できの良かった子も、そうでなかった子も、昇級したといっても、ここで気を抜かずに、

もっと上、もっと先を目指して、精進を重ねていってください


武道・武術で大切なことは、なんといっても残心


勝負がついたとしても、興奮しない、油断しない(平常身と平常心)

ゆとりを持つ

そして、何ごとも人のせいにしない


こうしたことを、先人たちは「勝負が決まってからの勝負」が肝心として、残心の大切さを説いてきたわけです。


先賢曰く、少林寺拳法は、「いまから、ここから」が合言葉


昇級・昇段は修行の大事な里程標だが、合格しても、「いまから、ここから」残心の精神、教えに従って、次の目標に向かって、足を止めずに、力強く歩き続けてください。



ところで、この日は昇級考試の終了後、

合格祝いを兼ねて、拳士と保護者のランチ懇親会、

名付けて「ボジョレー会」も開かれました








要は、ボジョレーヌーボの解禁に合わせて、有縁者が集まって、親睦を深めようという行事です。

拳士会有志主催の年に一度のイベントで、今年は約15名ほど集まりました。


いつもは真面目な行事が多いので(?)、たまにはこんなお楽しみがあってもいいですよね。

日が高いうちから、美味しく、愉しいひと時を過ごさせていただきました。


また来年も飲りましょう!!



本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『105



◆オマケ◆


この日は久しぶりの快晴で、道場から富士山が大きく見えました



空気が冷えて、乾燥してきた証拠です。

明日から師走、皆さんどうぞご自愛ください