難局だからこそ、頑張らないで! | 身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

我孫子道院 道院長のブログ



東日本大震災から6日目

東北エリアの友人知人については、幸いなことにそれぞれ無事が確認できたが、まだまだ救助を待つ人や、避難生活を余儀なくされている人は多数おり、さらに福島原発は暴走を続け、今朝は静岡県でも震度6の地震が起きた……


日本人全員が結束して、被災者の救援と、これ以上の被害の拡散の防止、そして復興にあたらなければならないのはいうまでもない


しかるがゆえに、どんな小さなこと、例えば節電に協力するとか、メッセージを送るとか、行方不明者の救出を祈るとか(祈りは必ず届きます! だから祈るだけでもとっても重要)、買占めをしないとか、やたらと騒がないといった振るまいが非常に大事になってくる

(現に、いまのところ計画停電がほとんど実施されずに済んでいるのは、みんなの自制心が働いているおかげ)


もちろん、現場の最前線で不眠不休で働いていらっしゃる方には、100%のリスペクトと心からの声援を送りたいと思っている


でも、だからこそ、「頑張れ!」と声をかけるのはやめようではありませんか


以前のブログ(「ガンバル」は禁句! )でも書いたことだが、

「頑張る」とは、文字通り「頑なに張る」ことであり、生理生化学的には、「緊張して、筋肉を固める」状態のこと

緊張して筋肉が固まると、新陳代謝が極端に低下し、疲労物質がたまり、身体の動きがどんどん悪くなってしまう

そして脳も身体の一部なので、「頑張る」ことで新陳代謝が悪くなると、脳の機能も落ち込んで、判断が鈍り、いいアイデアも湧かなくなる


つまり「頑張る」と危地が死地になってしまうのだ


「頑張る」のがNGだとしたら、いまのような切羽詰った土壇場では、一体どうすればいいのか?

それは、「頑張る」の反対、「ゆるむ」しかない!


伊藤守・坪田一男共著の「ごきげんな自分になれる本」(大和書房)にも、下記のような記事が載っていた

「エスキモーが絶対口にしない言葉」  

北極圏に住むイヌイット(エスキモー)は、毎日が生命の危機に立たされています。

そんな彼らが絶対口にしない言葉があるそうです。

それは「がんばろう」という言葉

がんばると筋肉が硬直してしまうからだそうです。

北極圏という極寒地で、筋肉の硬直は致命傷になってしまいます。飛び越えられるはずのクレパスも、「がんばる」と飛び越えられなくなってしまうのです。

ではイヌイットの人たちは、クレパスの前に行って飛び越えるとき、がんばる代わりになにをすると思いますか?

みんなで冗談を言い合うのだそうです。

笑ってリラックスしてから、飛ぶのだそうです。「ねえ、ねえ、お前、鼻水がツララになっているよ」というかうかまでは、定かではないようですが(笑)

がんばらなきゃいけないときこそニッコリと笑いましょう!


(※引用以上)


「頑張る」は「緊張身」


我々、武道・武術家が目指すのは「平常身」


そもそも武術の「術」とは、一つひとつの技法のことではなく、どんな状況でも生き抜く「術」(すべ)のこと(「生き残る」でも「生き延びる」でもなく、あくまで「生き抜く」ことが肝要)


少林寺拳法が目指す「本当の強さ」が、「相手を倒す強さ」ではないように、いま求められているのは、身心を最大限ゆるめた平常身で、周囲と結束し、いまそこにある危機を乗り切ること


開祖の法話に

「嫌なことを笑えるようになってみろ、すごい人生が開けるぞ!」

という訓えがあったが、これはまさに前記のエスキモーの教訓に通じる人生の極意だという気がする



「オマエは、とりあえず安全なところにいるから、そんなことがいえるんだ!」と現地の人々に叱られるかもしれないが、何をさておき身心をゆるめておかないと、いざというときに「カラダを張る」ことができなくなる


ちなみに「ゆるむ」の対語は「固まる」で、「張る」の反対は「たるみ」になる

緊急事態に、気の「たるみ」は厳禁だが、張りっぱなしでは切れてしまうだろうし、固まっていても、たるんでいてもカラダは張れない

身心がゆるんでいる人だけが、カラダを張ることができるので、現地の人々はもちろん、日本人全員が身心をゆるませて、救援と復興に全力を尽くそうではありませんか


たとえ無力であったとしても、嘆いているだけ、心を痛めているだけでは、状況は好転しません

まずは現地にいる人々(政府関係者、自衛隊、東京電力、etc.を含む)を精一杯励まし、支持し、勇気づけていきましょう


ワタシもはなはだ無力ではありますが、

被災された有縁者が避難されてきた場合は、狭いスペースで食糧の備蓄もたいしたことはありませんが、いつでも受け入れる準備はできています


みんな、ゆるんでね!!



身体からの悟りを目指して ~ 少林寺拳法

「ガンバル」は、エスキモーの人たちの間でも禁句になっている

(写真は、いわゆる「かまくら」ですが……)



本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『119』