お尻で折り紙 -4ページ目

"紅葉とじょうろ"

お尻で折り紙は淡々と冒険します-081203_1512~01.jpg

あかいの

きいろいの

めだたぬの

みすぼらしいの

みどりの

あおいの

こちょこちょ

くすぐったい朝焼け

三角座りしか

できなかった気持ち

泣き足したいのに

暗いのに

夜はもう朝

電車のはじまりとともに

あかいの

きいろいの

めだたぬの

みすぼらしいの

ちゃいろいの

ぼくは

記憶したたる低木

枝振りのわからぬ気になって

しろいの

毎日の顔をしたパン

えりまきのエッセンス

面と向かって ことばのじょうろ


そらいろの

汗をかくほどの

陽射し

昼ごはんを抱え込む

ぼくは

朝をまた

一歩踏みしめるだろう

葉っぱのなくなる

冬の庭に

たねをまく日を

決めたから

"保温のいろ"

081116_1436~01.jpg

言葉をひとつ
ひとつ探していると
通りすがりのひとの
通りすがりの生活が
ひとことの端々から
転がり込んでくる

星をひとつ
ひとつ眺めていると
通りすがりの町の
通りすがりの坂道を
ひとつぶを頼りに
前奏にすることができる

さらばひとつ
枯れ葉一枚の曇りよ
寒風は見つける
保たれる関わりや
温まっていく窓

ひとつひとつ
到来する冬が
顔を合わせどうやら
白い歌に火を灯している
沸々と静かに
皆の息が色づいていく

"匙は教えてくれた"

071003_0055~0001.jpg

ゆっくりしてるかな

ゆっくりしてるといいな

長いワンピース揺らして

汽笛の空に遠い雲

匙は教えてくれた

さじかげんげんきげんき

そんなことじゃあ走れない


落ち着き影と昼寝星

ゆっくりできるといいな

長いフライパン揺すって

取っ手を掴む心の中

匙は教えてくれた

さじかげんげんきげんき

そんなことじゃあ味気ない


木も鉄もアルミニウムもホウロウも

当たって掬って磨り減っても

いいやつでいた

匙は覚えていくよ

味が出ること歳をとること

"味噌汁が放つ光と湯気"

070707_1903~0001.jpg

暮らしの中に

山も入江もある

火を起こし水を茹で

金の泣く音を

背中びったん楽しませながら

よく乾いた海風の

染み込んだ出汁をとる

ザルの目にひかからないのが

人生の浮き沈みだ

悪い風邪をひいた朝も

間違えた柵のごとき夜も

黄金色の木犀の香りを追う

散歩する豆のように

坂道を往来しようじゃないか

新しく古い土の息を吹く

深呼吸が暮らしのミソだ

具はなんでもこい

やさぐれた街の夕暮れに

そうだと言わんばかり

また静かにかっくらう

お椀型のへその山

味噌汁が今日の今日を広がり落ちる

"おばけおまじない"

081022_2301~01.jpg

騙すか絵を描くか

改称か


化けて出た

まじょまじょ言った


毛布かぶった

からだより重かった


畳から陽が上り

地でも水でもありません

僕平線じゃあ 起きれません


騙すか

心は空だ

子どもも黙る明け方だ

"おとこのたから"

081010_1608~01.jpg

ひるのひざしをあびて

よるのはなしをさかす

さかみちをうんせとのぼり

じてんしゃでかぜとあそぶ

おとこのたから

おとこのじかん

おもいをかさねたら

おもいくももなんのそら

まちにおとこあり

ひとにおとこあり


ひるのていしょく めをひらき

よるのばんしゃく めがたれる

たからものは いわずとも

なまえをよぶ えがおかな

てれくさくても あじわい

いきてゆくたび ほろよい

こーひーのかおりにめをとじて

まじめなかおして

なみだがじかんをながれる

おとこ

むじゃきでやさしい

おとこ

"むかしむかしの"

080726_1815~02.jpg

蚊に刺された数

月が見ている

家の灯りはまだ

むかしむかしのあさを

遠目に見ながら

自らの躓きを

謝る者がいる


蚊に刺された跡

月が染みていく

膨らんでいく

むかしむかしのよるも

黙って頷く

本日は駆け出した

忘れない光を懐に抱いて

"あくびとなみだ"

081001_2008~01.jpg

試着した服 ぜんぶ合わない

ブーツをはいたら あたしが消えた

いい あくびしたよ

ねえ 名前呼んで


初めての言葉 始まりの落ち葉

買い換える靴は 近づいてく旅だよ

いい あくびして

ねえ 名前呼んで


ゆるさない時の 匂いを覚えた

はなさない時の 匂いがした


いい あくび

へんな 夢


そんな今日も

おしゃべりをジュースにしたら何パーセントか


朝だ

長袖をまくって

家を出た 細かい毛玉とった

傘は あってもなくてもよかった

あくびした

雨を かるい涙と呼ぶことにした

あたしだった

秋の虫は星を探して鳴いてた

"ひょうがらさん"

080919_1334~01.jpg

ぎゅうどんやでばいとしてるこが
にくをぬすんだ
それでしゃぶしゃぶした

あさはあつい
なんでだろう
ふとったかな
かいぞくのえいがのすきなてんちょうは
おとこなのにあんなにほそい

のーまるらーめん
みそ しお とんこつ
ちゃーしゅー わかめ
ねぎ もやし たんたんと

たぐちさんより
はやくおぼえた

のーまるらーめんがいちばんすきだ

すきなてぬぐいをもってきていいのもすき
だいたいあかいはなのをまいてる

まかないがでないひは
みせのよこのうらどおりで
しゃがんでぱんをたべる
おくにはじんじゃ
おもてにはゆきかえりいがいでない

むかいのこんびにのわきには
いつもおなじひとがしゃがむ

にもつのないこ
きまって
たばこをいっぽんすって
じんじゃにむかってあるいてく
ひょうがらのせなかをみるのがすき

めがねをてぬぐいでふいて
てんないにもどった

てんちょうがやまもりのまかないをたべてた
うらやましいといったらかんちがいされた

いえにかえったら
きのうのにくがのこってた
やきにくして
おわらいをみてねた

きょうもわらえてよかった

"おやすみまつげ"

080919_2224~01.jpg

あかりをまぜて

きくずれたシャツ

はずれたあくび

きのうのあした

ボタンささやく

ほんとのところ

ねむいくちぶえ

おやすみまつげ