お尻で折り紙 -2ページ目
食べたくなくて
僕は時計をとめてしまった
残りの瞬間なんて吐いてしまってからじゃ
一秒だらけで暮らしてしまうんだぞ
おでこで悩みを打った
テーブルがぐらぐら揺れた
流れることを
懐かしいなんて思わないことにした
僕はれんげのすべり台に乗って
溜め息なんて吐いてしまってからじゃ
一秒だらけで暮らしてしまうんだぞ
スープも麺もきらきらして
たくましくて
飲み込まれそうで
僕はぼおっとして
ほんの少しだけ冷ました
食べたくなって
僕は時計をおとなりさんにあげてしまった
代わりにチャーシューを一枚もらえた
おでこを下げ
飾るように置いた
乾いたら
触れてもいいと言ってた
だから
もうちょっと待ってみる
塩っからく甘えるわたしを
風がおみやげにしてさらっていった
何度もサンダルが脱げた
今までとこれからの分も
拾った はいた
玄関でただいまを言ったら
はだしのうらに夏が来てた
だから わたし
風をおみやげにする
まあるいテーブルに
ささやかな5月
野の虹 香り立つ
空もよう
まあるいお皿が
顔を照らす
きみと時間をすごしている
まあるいグラスに
ささやかな5月
そそぎこんでいる
歌がきこえてくる
まあるいビンが
まあるいフタあけ
ささやくようだ
きみと5月をすごしている
かなうこと
かなえること
かなうように
かなでること
かなりあの
かなしみは
さえずりあって
かなめになって
かならず
かなたにいても
おなかならして
おいしいなかま
わらうこえ
かなでるように
かなえるおとが
つながるりょうり
あざやかななかにも
しずかななかにも
ながれてる
だから
きはのび
めはいぶき
はなはさくんだね
むかしむかしの大昔
お金は重くて大きな石で
綱で縛られ腰で運ばれ
肉や魚と交換されてた
むかしむかしの大昔
お金は硬くて大きな石で
意識失いそうになりながら
強い意志で掴み上げた
すこしむかしの五十銭
荷物の底から見つかった
わたしがこれを手にしたときの
意識も意志も忘れていた
いまかぞえてる紙切れで
夜の灯りを拭えるか
昼の真顔に問えるのか
朝の向こうを思うなら
風は
上のほうで吹いていました
腰かける
僕がかじりつくパンには
くるみとメープルバター
ゴミはここには捨てません
家までは10分くらいです
鳴かない虫が飛んでいます
尾のながい鳥がしがみついています
森は
晴れています
夜は
滝になって
聴こえないことがあります
春は積み重ねだそうです
ひと駅歩いて帰ります
部屋の中
外は雨
手足の先
海の話
私たちの反射
光が見ている
風を脱ぐ
換気扇を止める
落ち着く
もういない
まだいない
洗濯物から
搾れた私
川を向く
雨に入る
貝殻を見つける
毛布に潜り考える
砂の粒が呼吸をしているなんて
この太い文字の掠れに
あなたの夜が染みているなんて
洗濯物から
乾いた私たち
雨の話
空気の部屋の色
透き通ってみようよ
手足の先
梅酒を割ったようなひと
「まだ」は少なめに
「また」は多めに
ひとくちに
言えやしないから
モンキー
いやな氷を
お湯で溶かして
さようならの泡ぼっこ
消えないようにする
またたいて
一杯は一杯続いてくの
おとなが漬け込める夜
実のあるしわで
笑い
掛ける
眠るかい
またまたなんて
ごまかして
梅酒を割ったようなひと
「まだ」は少なめに
「また」は多めに
いいかげん春は着かないかと
線路沿いのあじさいの枝がぶれていた
襟巻きしてると風がさらうし
駅には難しい半袖を内に羽織るものもいた
橋桁からは木蓮のつぼみが見えるし
梅の雌しべは宿に旦那を転がすし
瞳孔も鼻穴もいいかげん春の気だ
唐揚げで一杯やってる間に着いてほしい
お弁当の盛付けみたいに程々に
てふてふ読むように
飛んできた紙袋かぶって待ってるよおいら
ごはんのとき
おとをきいてる
っとっくっ
っちっとっくっ
ひびをうちとかすような
くちびるとべろ
のどからしたがみえぬおと
おふろのとき
おとをきいてる
ざわぉざわぇ
ちゃぴぃちゃぺぇ
ゆげとともにさるような
きまりのいいたびじ
たおるでふきとれるおと
ふとんにはいり
おとをきいてる
すーうーしー
はーそー
みぎみみはたおれ
ひだりみみはゆめ
あくびとなぎさにしずむおと