お尻で折り紙 -2ページ目

"ラーメンはためいきをゆるさなかった"

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食べたくなくて
僕は時計をとめてしまった
残りの瞬間なんて吐いてしまってからじゃ
一秒だらけで暮らしてしまうんだぞ
おでこで悩みを打った
テーブルがぐらぐら揺れた

流れることを
懐かしいなんて思わないことにした
僕はれんげのすべり台に乗って
溜め息なんて吐いてしまってからじゃ
一秒だらけで暮らしてしまうんだぞ

スープも麺もきらきらして
たくましくて
飲み込まれそうで
僕はぼおっとして
ほんの少しだけ冷ました

食べたくなって
僕は時計をおとなりさんにあげてしまった
代わりにチャーシューを一枚もらえた
おでこを下げ
飾るように置いた

"サンダルのこと 風のこと"

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乾いたら
触れてもいいと言ってた
だから
もうちょっと待ってみる

塩っからく甘えるわたしを
風がおみやげにしてさらっていった

何度もサンダルが脱げた
今までとこれからの分も
拾った はいた

玄関でただいまを言ったら
はだしのうらに夏が来てた
だから わたし
風をおみやげにする

"5月のきみ" 2007.5.9

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まあるいテーブルに
ささやかな5月
野の虹 香り立つ
空もよう

まあるいお皿が
顔を照らす
きみと時間をすごしている

まあるいグラスに
ささやかな5月
そそぎこんでいる
歌がきこえてくる

まあるいビンが
まあるいフタあけ
ささやくようだ

きみと5月をすごしている

"かなで"

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かなうこと
かなえること
かなうように
かなでること

かなりあの
かなしみは
さえずりあって
かなめになって

かならず
かなたにいても
おなかならして
おいしいなかま

わらうこえ
かなでるように
かなえるおとが
つながるりょうり

あざやかななかにも
しずかななかにも
ながれてる
だから
きはのび
めはいぶき
はなはさくんだね

"五十銭"

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むかしむかしの大昔
お金は重くて大きな石で
綱で縛られ腰で運ばれ
肉や魚と交換されてた

むかしむかしの大昔
お金は硬くて大きな石で
意識失いそうになりながら
強い意志で掴み上げた

すこしむかしの五十銭
荷物の底から見つかった
わたしがこれを手にしたときの
意識も意志も忘れていた

いまかぞえてる紙切れで
夜の灯りを拭えるか
昼の真顔に問えるのか
朝の向こうを思うなら

"風は上のほうで吹いていました"2009.2.19

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風は
上のほうで吹いていました
腰かける
僕がかじりつくパンには
くるみとメープルバター

ゴミはここには捨てません
家までは10分くらいです

鳴かない虫が飛んでいます
尾のながい鳥がしがみついています

森は
晴れています
夜は
滝になって
聴こえないことがあります
春は積み重ねだそうです
ひと駅歩いて帰ります

"雨の部屋に流れる"

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部屋の中
外は雨
手足の先
海の話
私たちの反射
光が見ている

風を脱ぐ
換気扇を止める
落ち着く
もういない
まだいない
洗濯物から
搾れた私

川を向く
雨に入る
貝殻を見つける
毛布に潜り考える

砂の粒が呼吸をしているなんて
この太い文字の掠れに
あなたの夜が染みているなんて

洗濯物から
乾いた私たち
雨の話
空気の部屋の色
透き通ってみようよ
手足の先

"梅酒を割ったようなひと"

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梅酒を割ったようなひと
「まだ」は少なめに
「また」は多めに

ひとくちに
言えやしないから
モンキー
いやな氷を
お湯で溶かして
さようならの泡ぼっこ
消えないようにする

またたいて
一杯は一杯続いてくの
おとなが漬け込める夜
実のあるしわで
笑い
掛ける
眠るかい

またまたなんて
ごまかして
梅酒を割ったようなひと
「まだ」は少なめに
「また」は多めに

"てふてふ"

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いいかげん春は着かないかと

線路沿いのあじさいの枝がぶれていた

襟巻きしてると風がさらうし

駅には難しい半袖を内に羽織るものもいた

橋桁からは木蓮のつぼみが見えるし

梅の雌しべは宿に旦那を転がすし

瞳孔も鼻穴もいいかげん春の気だ

唐揚げで一杯やってる間に着いてほしい

お弁当の盛付けみたいに程々に

てふてふ読むように

飛んできた紙袋かぶって待ってるよおいら

"それとも"

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ごはんのとき
おとをきいてる
っとっくっ
っちっとっくっ
ひびをうちとかすような
くちびるとべろ
のどからしたがみえぬおと

おふろのとき
おとをきいてる
ざわぉざわぇ
ちゃぴぃちゃぺぇ
ゆげとともにさるような
きまりのいいたびじ
たおるでふきとれるおと

ふとんにはいり
おとをきいてる
すーうーしー
はーそー
みぎみみはたおれ
ひだりみみはゆめ
あくびとなぎさにしずむおと