足立区の眼科、シオノアイクリニックの院長ブログです。

今回のお話は「突然視界が欠けてきた-網膜剥離-」についてです。

 

網膜剥離は眼科の病気の中で比較的有名な疾患ではないかと思います。

網膜剥離にもいくつか種類があるのですが、今回は手術が必要となる裂孔原性網膜剥離についてお話しします。

 

網膜は目をカメラに例えるとフィルムの役割をしている部分になります。

そのフィルムの一部が破れることを網膜裂孔、破れてそのまま網膜が剥がれてしまうと網膜剥離となります。

 

破れただけであればレーザー治療を行うことで網膜剥離への進行を予防できることもありますが、一旦剥がれてしまうと手術による治療が必要となります。

 

網膜が剥がれてしまうとどのように症状が生じるかと言うと、タイトルにもあるように、剥がれた網膜が機能しなくなることから、剥がれた網膜で見ていた視界が見えなくなります。

 

実際の症例を提示してみたいと思います。こちらは網膜剥離の眼底写真になりますが、上の方の網膜が剥がれています。ちょうど矢印が指しているところが網膜裂孔になっています。

この場合、上の網膜が剥がれてるので、症状としては視界の下のほうが欠けているように感じます。ややこしいのですが、実際の視界と剥がれた網膜は上下左右反転した部位に対応します。

 

ここまで剥がれてしまっていると手術が必要になります。

放置しておくとすべて剥がれてしまい、最終的には失明に至ってしまいます。

 

網膜剥離に対する手術はバックリングと硝子体手術の2種類があります。

基本的には20代くらいの若い方の網膜剥離にはバックリング、40代くらいの方の網膜剥離には硝子体手術が選択されることが多いですが、例外もあります。

 

今回は提示した症例では硝子体手術を行いました。硝子体手術では、硝子体を除去した後、目の中にガスをいれて、ガスによって目の内側から圧をかけることによって剥がれた網膜を接着させます。

 

下の写真は術後数日たった時の眼底写真です。矢印で示しているのが目の中にいれたガスになります。術後数日たっているのでガスの量は半分以下になっていますが、術直後は目の中はガスでパンパンになっています。

こちらの眼底写真は術後10日経過したときのもです。ガスは吸収されてなくなっています。矢印で示しているのはレーザー痕です。網膜の孔の周りをレーザーで囲んで、今後剥がれないように補強しています。剥がれていた網膜もくっついています。これで治療は完了です。

網膜剥離は剥がれている範囲が小さければ小さいほど、後遺症も少なくてすみます。

突然視野が欠けてきたら、なるべく早く眼科受診することが大事です。