白内障手術はかなり安全な手術ですが、それでも合併症のリスクがあります。

 

細かな合併症を含めたらきりがないのですが、必ず説明する合併症の一つが後嚢破損です。

 

後嚢とは水晶体を包んでいる袋(嚢)の後ろ側の部分です。

 

白内障手術では嚢の中の濁った水晶体を取り除くため、嚢の前面を切開して穴をあけます。

 

そして残した嚢の中に眼内レンズを入れるのですが、稀に嚢の後ろ側が裂けたり、穴があいてしまう事があります。

 

これが後嚢破損です。後ろ側が破けてしまった嚢にはレンズを入れることができないので、その場合は前嚢と虹彩の間に

レンズを固定します。

 

嚢が破れると、眼の奥にある硝子体がでてきてしまう事があるので、その場合は硝子体切除が必要になります。

 

今回、硝子体はでてこなかったので硝子体切除の必要はありませんでした。

 

嚢が破ける原因は、超音波器具での誤吸引だったり、嚢と水晶体を分離するときに圧で破けてしまったり、色々なパターンがあります。今回は、何度画像を見直してもどのタイミングで後嚢破損したかわかりませんでした。

 

後嚢破損は数百件に一件の割合で生じると言われています。

どんなに気を付けていても起きる時は起こるので、起きた時にどう対処するかが大事だと思います。

今回は無事水晶体もとれて、レンズを入れれて良かったです。