土井ヶ浜に住み着いた弥生人は、中国の山東省の出身者だったが、
特権階級の人たちではなかったと、思われる。
では、彼らの身に着けていたゴホウラ貝が、
粗末なものだったかというと、そうではない。
沖縄でしか取れない、当時は貴重なものだったのだ。
このゴホウラ貝は、縄文時代から日本に流通しており、
北は、北海道まで交易されていた。
北海道の遺跡でも、土地の有力者と思われる人々の
副葬品として、このゴホウラ貝が、出土している。
土井ヶ浜の人たちは、既存の縄文人の交易ルートを利用して、
高価な、装飾品を手に入れていたことになる。
イギリスの貧民が、アメリカに渡り富を得たという、
アメリカンドリームの逸話に似ていないだろうか。
当時のジャパンドリームだったのだろう。