ジャニーズ性加害問題と日本のマスコミ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川による性加害が明らかになり、大きな問題となっている。この問題を日本のマスコミという視点から論じたい。

 ジャニーズ事務所は、9月7日に記者会見し、性加害を認めて謝罪し、藤島ジェリー社長の辞任、後任に東山紀之の就任を明らかにした。10月2日に2回目の記者会見をし、社名を「SMILE-UP」に変更し、被害者の補償に専念すること、タレントのマネジメントと育成については、新たなエージェント会社を作り、その社名は公募することなどを発表した。

 2回目の会見では、指名を拒否すべき「NG記者」のリストまで司会者が用意していたことが判明し、それもまた問題になっている。

 被害の救済窓口には478人から被害の申し出があり、そのうち325人が補償を希望しているという。この数字には、世界のメディアも驚愕し、イギリスのBBCなどは大々的に報じている。

 その世界の常識から見て、この犯罪を黙認してきた日本のメディアの責任は重い。日本のマスコミは、国際水準からみて、非常識かつ異常である。ジャニーズ事務所所属のタレントを番組に出演させてもらえなくなることを恐れて、ジャニーズ事務所の恫喝にひれ伏したというほかはない。

 テレビ局が有名タレントの出演拒否を恐れて、不祥事に目をつぶるとしても、新聞は何をしていたのか。どこかの新聞社一社でも、もっと早く性加害問題を取り上げていたら、被害者の数も減ったであろう。ジャニー喜多川による性加害は1950年代から2010年代半ばまで続いていたという。

 日本のマスコミの特色は、テレビ局と新聞が系列毎に合体していることである。テレビ朝日・朝日新聞、日本テレビ・読売新聞、TBS・毎日新聞、フジテレビ・産経新聞、テレビ東京・日経新聞という具合である。これでは、新聞がテレビ局に拘束されずに記事を書くことは不可能である。

 欧米先進民主主義国では、両媒体は独立している。アメリカのニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、イギリスのタイムズ、ドイツのツァイト、フランスのルモンドなど、そうである。

 ジャニーズ事務所性加害問題の背景には、この日本のマスコミの特異性がある。

 オリンピックのスポンサー企業については、「1業種・1社」というのが原則である。先の東京五輪について見ると、ノンアルコール飲料ならコカコーラ、モビリティーならTOYOTAなどとなっている。その他の社の製品は五輪では使えない。ところが、新聞については、読売新聞、朝日新聞、日経新聞、毎日新聞、産経新聞、北海道新聞がスポンサーになっている。

 本来は、報道機関の新聞がスポンサーになることは好ましいことではない。それは、五輪について自由な報道ができなくなるからである。海外では、その常識は維持されている。日本ではなぜその常識が守られなかったのか。それのみならず、談合のように、皆で揃ってスポンサーになっている。

贈収賄など、五輪の不祥事が明らかになったのは、五輪終了後であり、それも検察が動いたからだ。

 五輪とマスコミの関係にも厳しい検討が必要である。日本のマスコミには、問題が山積している。