アフリカでクーデターが頻発 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 8月30日に、アフリカの中西部にあるガボンで、軍幹部によるクーデターが起こった。7月にはニジェールで軍事クーデターが起こっている。今、アフリカで何が起こっているのか。

 ガボンは、人口が2285万人のフランスの旧植民地で、石油とマンガンの産地である。石油が国の輸出の8割を占める主要産品であり、OPECのメンバーである。マンガンは、南アフリカに次ぐ世界第二位の産出国である。また、森林資源も豊富である。

 8月26日に大統領選挙が行われ、選管が、ボンゴ大統領の3期目の当選を発表した直後、軍幹部がクーデターを起こし、権力を掌握した。軍部は選挙結果を無効とし、国会や政府などの国家機関の解体を宣言した。大統領は自宅軟禁状態にある。

 クーデターの背景について詳細は不明であるが、アフリカで2020年以来8件目のクーデターである。

 7月26日、ニジェールで軍部がクーデターを起こした。首謀者のアブドゥハーマン・チアニ大統領警護隊長は、親欧米派のモハメド・バズム大統領を追放し、憲法を停止し、自ら国のトップに就任した。

 ニジェールは旧フランス植民地であり、宗主国フランスへの反感が強く、クーデター後に首都ニアメーのフランス大使館が暴徒に襲撃されるなどして、治安が極度に悪化している。

 ニジェールは人口約2600万人の世界最貧国の一つで、大多数がイスラム教徒である。また、原子力発電の燃料であるウランの有数な産出国であり、EUのウラン輸入の約24%を占める最大の供給国である。

クーデターの背後にはロシアの存在が見える。ワグネルが傭兵として、軍事政権側についており、ウランなどの天然資源もワグネルを介してロシアへ渡っている。

 実は、近年、隣国のマリ(人口2190万人)やブルキナファソ(人口2210万人)でも、同様な軍事クーデターが起こっている。マリでは2020年8月に軍部が反乱し、民主的に選ばれたケイタ大統領を追放し、ゴイタ大佐が2021年5月に大統領に就任した。ブルキナファソでは、2022年1月に軍事クーデターでカボレ大統領が失脚した。

 この2国は、旧フランス領、イスラム教国、最貧国という点でニジェールと共通しているが、金を算出するなど、資源に恵まれている。

 ワグネルは、その他、リビア、スーダン、中央アフリカ、モザンビーク、マダガスカルにも進出している。

 アフリカ大陸の北部サハラ砂漠の南で、半乾燥地域のことをサヘルというが、この地域では、2019年頃から国際テロ組織のアルカイダや過激派組織「イスラム国(IS)」などの活動が拡大している。その結果、治安が悪化し、国民の不満が高まった。 

 西アフリカ地域には、旧宗主国のフランスの軍隊と、EUの混成部隊の約2万5千人(うち仏軍は約4千人)が展開し、治安の維持に当たってきた。しかし、十分な効果は上がらず、また民主的に樹立された政権が治安の維持に失敗してきた。そこで、軍がクーデターを起こしたのである。

 これまで日本は、アフリカの発展のためにJAICAなどの活動を通じて多大の貢献をしている。旧宗主国でもなく、民主主義国である立場を活用して、さらなるアフリカ戦略を構想すべきときが来ている。