中途半端な対応が墓穴を掘る岸田首相 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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  9月10日、11日に行われた朝日新聞の世論調査では、内閣支持率は41(-6)%で過去最低である。岸田内閣の支持率下落が止まらない。不支持率は47(+8)%であり、初めて不支持が支持を上回った。

 安倍元首相の国葬については、賛成が38(-3)%、反対が56(+6)%であり、反対論が強まっている。国葬についての首相の説明については、「納得する」が23%、「不納得しない」が64%である。「納得しない」人で、不支持率が62%と高い。

 岸田首相は、統一教会問題と並んで、国葬問題も世論の動向を読み間違えたようだ。

 11日公表されたSirabeeのリサーチだと、安倍元首相の国葬に関しては、全世代で反対が過半数になっている。全体では、賛成が39.9%、反対が60.1%と反対が6割である。高年齢ほど反対が多いが、10~20代でも、賛成が45.6%なのに対し、反対が54.3%である。60代だと、賛成は27.4%、反対が72.6%である。さらに、50代、60代では「断固反対」が最も多い。岸田首相のの予想しなかった事態である。

 統一教会問題についていえば、関連議員の内閣からの「排除」を徹底せずに、かえって問題の深さを白日の下にさらしたからである。世論の反応を見れば、内閣改造が大失敗だったことがよく分かる。

 自民党は、所属の国会議員全員にアンケートを行い、8日に公表したが、教団と接点のあった国会議員は総数379人中、約半数の179人で、そのうち121人の氏名を明らかにした。自民党は、所属議員が今後統一教会とは一切関係を持たないという方針を決定している。

 問題は、その方針と国葬とが明らかに論理矛盾であるということである。それが、国葬に対する反対論を強めたようである。

 私は、統一教会との関わりについて、その濃淡に従って基準を設けることを提案してきた。たとえば、教団(及びその関連団体)の会合に出席したり、政治献金を受けたり、会費を払ったり、選挙支援を受けたりしたらアウト、関連雑誌などのインタビューを受けただけならセーフとするといった具合である。

 しかし、岸田首相は、それもせずに、各議員の自己調査に任せ、今後関係を持たないことを約束すればよいということにした。しかも、自民党は関係ないと言い続けてきた。

 ところが、党、とりわけ安部派が教団票を組織票として党の公認候補に割り振りしていた事実が明らかになってしまった。萩生田光一政調会長、山際大志郎経済再生大臣などの教団との「深い関係」が次々と判明するに至って、もはや内閣全体の信頼性が失われたと言っても過言ではない。

 最初の対応が曖昧すぎたことが、禍根を残すことになっている。中途半端、曖昧、不決断が際立っている。統一教会問題は、安倍元首相の国葬の正統性をも疑わせることになってしまったのである。

 イギリスではエリザベス女王の国葬が19日に行われるが、どうしてもそれと比較されてしまう。

 私が疑問を感じるのは、反対論が多いことを考慮してか、各府省や自治体や公的機関に弔意表明を求める閣議了解を見送ったことである。弔意強制として世論が反発することを恐れてのことであるが、これなら国葬とは呼べない。

 この中途半端な対応が支持率を下げている。