フランス大統領選挙:決選投票へ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 4月10日にフランス大統領選挙の投票が行われた。12人の候補が乱立したが、結果は、事前の予想通り、トップが現職のエマニュエル・マクロン大統領((大統領、「共和国前進」、中道)で得票率27.6%、2位が極右のマリーヌ・ルペン((大統領、「共和国前進」、中道)で23.0%、3位が急進左派のジャンリュック・メランション(「不屈のフランス」、国民議会議員)で22.2%、4位が極右のエリック・ゼムール(評論家)で7.2%、5位が中道右派のヴァレリー・ペクレス(「共和党」)で4.8%、6位が環境保護派のヤニック・ジャド(欧州議会議員)で4.7%、7位がパリ市長のアンヌ・イダルゴ(社会党)1.7%であった(最終確定前)。

 前回の2017年の大統領選挙では、中道右派のマクロンが勝ち、伝統的保守党も社会党も第一回投票で敗退してしまった。決選投票は、マクロンとルペンという今回と同じ組み合わせであった。マクロン66.10%、ルペンは33.90%という結果であったが、これは極右の大統領誕生を警戒して左派の支持者までマクロンに投票したからである。

 マクロンの支持率を急上昇させたのは、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻である。ウクライナ戦争の勃発で、日本と同様にフランスのメディアでも毎日のトップニュースがウクライナ情勢となり、有権者の関心もウクライナ一色になってしまった。

 マクロン大統領は西側の大国として、早期の停戦を目指してプーチン大統領と交渉したり、精力的に努力を重ねている。その姿は連日報道され、それが支持率をアップさせているのである。

 ルペンは持論の移民排斥論を抑制し、それが功を奏して支持率でさらに極右のゼムールを逆転したのである。

戦争が長期化するにつれて、人々の日常生活にも大きな影響が出てきている。戦争と経済制裁によって、ロシアやウクライナからのエネルギー資源など鉱物資源、ひまわり油、小麦粉などの食糧資源の世界市場への輸出が削減されてしまった。

 フランスでは、ガソリン代などの燃料代が高騰し、ガソリン1リットル当たり280円にもなっている。食料の値上がりもひどく、生活防衛ということが選挙戦の大きなテーマとなったのである。

 ルペンは経済制裁には反対である。制裁が物価高を招いているのは事実であり、これは一定の効果を持つ。さらには、ガソリンや電気に課される消費税の減税もうたい、有権者の支持を広げている。

 4月24日に、マクロンとルペンで決選投票が行われる。支持率の差は、54%対46%と、ルペンが激しく迫っている。これまでのケースでは、左翼支持者も極右阻止のため、マクロンに票を集中してきたが、今回は必ずしもそうはならないだろう。ルペンが極右色を抑えて、生活防衛を前面に掲げているため、左翼もルペンに投票する可能性がある。

 今のところマクロンが優位に立っているが、極右の大統領がフランスに誕生する可能性もある。