コロナ対策:今後、どのような方針で臨むのか? | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

 最近は、東京ではコロナ感染者が減少する傾向が定着してきた。一部の地域では増えているが、全体としては減少の方向と見てよい。

 おそらく、次の第7波は来ないのではないか。重症化しなくなっているし、ワクチンや飲み薬の普及で普通の風邪のようになりつつあるのではないかと思っている。

 ウイルスのことなので何とも言えないが、世界の感染状況を見ていると、そのような気がする。オミクロンの変異株がBA2、XE、XJと変化しても、重症化せずに、次第に弱毒化していくのならば、慌てないですむ。

 海外に目を向けると、中国、とくに上海で感染が拡大しているため、当局は都市封鎖を断行した。2500万人の全市民にPCR検査を徹底した結果、無症状の陽性者が多数見つかり、感染者数が膨れ上がったのである。

 経済活動の継続を重視する上海市当局は、「コロナとの共存」の方向に舵を切ろうとしたが、習近平政権はゼロコロナ政策に固執し、北京からの強力な指示で徹底した隔離政策を実施することになった。政権の3期目を狙う習近平は、秋の党大会に向けて、何としてもコロナを抑え込みたいのである。

 ただ、都市封鎖は経済へ大打撃を与えており、中国政府も方針を再検討中である。

 一方、中国とは対極のコロナ対応を実行しているのがイギリスである。今の1日当たりの感染者数は2〜3万であるが、イギリス政府は規制を課すことはしない。単純化して言えば、「コロナは普通の風邪になった」という認識だからである。ウイルスが弱毒化し、重症化することがなくなり、しかも飲み薬が普及したことも影響している。感染しないに越したことはないが、感染してもパニックになったり、日常生活に大きな支障は生じないという判断である。

 無論、その前提には、成人の過半数がワクチンの追加接種を完了しているという事情もあるが、要するに、経済優先ということである。

では、わが日本は中国型、英国型のいずれを選択するのだろうか。

 まずは、中国型は無理である。感染症対策の基本は「検査と隔離」であり、中国はそれを実行する。しかし、日本の厚労省は、その基本を怠ってきた。

 したがって、無症状や軽症の陽性者が野放しになっている。中国のように全都民にPCR検査を行えば、1日に4万人前後という今の数字にはとどまらないであろう。

 中国並みとは行かなくても、検査の徹底が必要である。さらには、ワクチンの追加接種を促進すべきである。4月25日現在で、3回目のワクチン接種完了者は全人口の50.8%である。しかし、若者の間ではまだ2〜3割程度でしかない。

 中国型が不可能なら、一にも早く英国型に近づける方向を目指さねばなるまい。そのためには、特に若い世代へのワクチン接種が必要である。

 検査とワクチン接種の徹底、飲み薬の普及によって、人々がコロナを過剰に恐れなくなり、マスク着用、手洗い励行などを徹底することにより、次第に「コロナとの共存」の作法が身についていく。そして、集団免疫状況が生まれ、コロナも普通の風邪のようになっていくというのが、これからの展開ではなかろうか。

 私が厚労大臣として対応した2009年の新型インフルエンザも、そのような道を辿った。WHOがパンデミック収束宣言を出す数ヶ月前から、日本では新型インフルエンザは話題にもならなくなってしまったのである。

 日本政府は、今後の方針を明らかにすべきである。