フィンランド、スウェーデンまでNATOに加盟か?・・ウクライナ侵略の代償、プーチン戦略は失敗し、 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 ウクライナ戦争の被害は拡大しているが、停戦交渉は思うように進捗していない。ロシアの要求はウクライナがNATOに加盟しないことであり、その点では他の安全保障の仕組みでもよいとウクライナは妥協している。

 ロシアのキーウ攻略は失敗し、東部2州の制圧に軍事力を集中している。

 一方、アメリカは、主権国家がどの同盟に参加しようが、それは自由であるべきだという立場を堅持している。隣国が敵陣のNATOに加盟し、そこにアメリカのミサイルや核兵器が配備されることは、ロシアにとっては安全保障上、許容できないというのがプーチンの主張である。

 1962年のキューバ危機のときに、自分の庭先にソ連のミサイル基地ができるのは容認できないとして、海上封鎖で対応したケネディ大統領の主張と同じである。この問題は、フルシチョフが基地建設を止めたために片付いた。今回妥協すべきは、アメリカであるというのである。

 1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連邦の解体以降、ワルシャワ機構軍に加盟していた東欧諸国はNATOへの加盟を急いだ。また、ソ連邦に属していた15の共和国は独立国家となり、バルト3国はNATOに加盟した。隣接国のこれ以上のNATO加盟は認めないというプーチン大統領の意に反して、ウクライナは加盟を狙っている。

 プーチンの軍事行動は、北欧諸国にも影響を与えている。ノルウェーやデンマークは1949年のNATO発足以来の加盟国であるが、スウェーデンは中立政策、フィンランドは米ソ冷戦下ではフィンランド化と呼ばれるソ連寄りの外交政策を堅持した。

 フィンランドについて言えば、ソ連邦の崩壊で、フィンランド化は終わったが、それでも反ロシアの姿勢はとらなかった。「冬戦争」(1939年11月〜1940年3月)などソ連と戦火を交えた経験が、そのような慎重さを生み出したのである。スウェーデンもフィンランドも1995年にEUに加盟したが、NATOには加盟していない。

 ロシアのサンクトペテルブルクからフィンランドまでは、東京〜静岡くらいの距離なのである。そのような地政学的観点から、ウクライナと違ってフィンランドはロシアを刺激してこなかったのである。

 しかし、ウクライナへのロシアによる武力威嚇を見て、今年の初めにフィンランドのニーニスト大統領はNATO加盟という選択肢があることを明言して、ロシアを牽制した。

 スウェーデンでも、ロシアの傍若無人の軍事的挑発に対してNATO加盟論が議論されている。両国とも、この夏には加盟すると見られている。

 そして、ウクライナに続いて、ジョージアに続いてモルドバもEUに加盟を申請した。いずれも、旧ソ連邦の一員でロシアの隣接国である。

 プーチンの侵略行為は、自らが望むのとは真逆の結果を生みつつある。プーチンの歴史的な誤算である。