軍拡する中国にどう対応するか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 中国の軍備、とくに海軍の拡張が止まらない。連日、尖閣諸島周辺に海警の船が遊弋している。

 中国は、従来から保有している核兵器に加え、海軍の強化に乗り出し、航空母艦など対外遠征能力の整備に務めている。

 中国の防衛構想を見ると、九州、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオを結ぶ線を第一列島線としている。中国が、海警局に武器使用などを認める海警法を施行し、毎日のように尖閣諸島周辺で行動しているが、それは既成事実を積み上げて、自国領に組み入れることを目的としている。

 中国は、南沙(スプラトリー)諸島や西沙(パラセル)諸島で、構築物を建設するなどして領土化を進めており、フィリピンやベトナムが反発している。ASEANとの紛争防止を目的とする行動規範作りでも、中国は対象から西沙諸島とスカボロー礁を除外するように主張している。それは、すでに占拠しているので、中国領土だと言うのである。

 尖閣諸島については、アメリカは日本が施政権を有していることまでは認めているが、日本領土だとは明言していない。それは、サンフランシスコ講和に際して領有権を主張する蒋介石への配慮からだと言われている。

 中国は、日本側を挑発し、海保のみならず海上自衛隊を巻き込んで、日本側に反撃させることを狙っている。その作戦が上手く行けば、国際社会の中で日本を孤立させるという台本である。中国側の挑発に乗らないことが肝要である。

 第二列島線は、伊豆諸島からグアム・サイパン、パプアニューギニアに至る線であるが、その内側で制海権を握るために、航空母艦や潜水艦の開発を急いでいるのである。

 23日、アメリカの次期インド太平洋軍司令官に指名されたアキリーノ海軍大将は、上院軍事委員会の指名承認公聴会で、中国による台湾への侵攻が「大多数の人びとが考えているよりも極めて間近に迫っている」と述べている。

 中国の軍拡に対抗して、日米軍事同盟の強化が図られることは確実である。そのような中で、問題は韓国の文在寅政権である。北朝鮮との融和路線を維持し続けており、日米韓の結束の障害ととなっている。

 中国の軍事的脅威に対しては、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国(Quad)の連携も強化されている。そして、イギリスは核戦力強化の方針を決めており、英仏のみならずドイツも海軍艦船を太平洋に派遣するなど、中国封じ込め作戦が展開されている。

 23,24日にはブリンケン国務長官はNATO外相会談に出席し、中国の脅威を強調し、「中国の強圧的行動が我々の集団的安全保障と繁栄を脅かし、国際システムのルールや我々が同盟国と共有する価値観を弱体化させようとしていることは間違いない」と述べ、欧州同盟国との結束の必要性を訴えた。

 日米同盟を基軸に同盟国との連携を強化し、日本は防衛力を高め、中国の挑発に乗らないように注意しながら、自国の領土を断固として守る体制を固めねばならない。