橋本聖子会長就任の背景 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 森会長の後継として、橋本聖子氏が決まった。

 内外の世論の反発が、森氏を辞任させ、女性の橋本氏を選択させたようだ。

 とりわけ決定的だったのは、国際社会の反響である。海外のマスコミの反応を見ると、森発言は「sexist(性差別論者)」だという批判が前面に出ていた。

  多様性を尊重する国際社会はジェンダーの問題には極めて敏感である。LGBTという性的少数派への差別は厳しく糾弾される。

 したがって、「女性は」とか「男性は」とかいう主語そのものが不適切なのである。とりわけオリンピック・パラリンピックは、国際的なイベントであり、国籍、信教、人種など、あらゆる差別が禁止されている。

 第二は、選挙が迫っているという事情である。7月4日には都議会選挙が行われる。そして、秋までには衆議院の選挙がある。

 小池都知事時は、2月17日に予定されていた4者会談(都、国、組織委、IOC)に「出席しない」と早々に表明したが、それは、森失言を利用して、自分に世間の注目を集め、選挙に勝とうと目論んだからである。

 小池都知事以外にも、菅内閣打倒を目指す野党などの勢力がいる。東京五輪中止ということになれば、菅政権が窮地に陥る可能性が高まるので、そのような文脈で森失言を道具に使おうとしたのである。

 第三は、東京五輪に絡むカネや利権の話である。1984年のロサンゼルス五輪以来、オリンピックは商業主義に陥っている。東京五輪も開催には約3兆円が必要である。そして、「完全な形」で開催されれば、約33兆円の経済効果があるとされてきた。

 そこで、経済的見返りを前提にして、多くの企業がスポンサーになった。トヨタやJR東日本など、スポンサーである大企業のいくつかが森発言を批判したため、いわば兵糧攻めにあったのである。

 とりわけ、放映権を持つアメリカのテレビ局NBCが公然と森退任を求めたことは、辞任の決定的な引き金となった。

 そもそも、経済効果については、無観客試合となったり、海外からの観光客が来なかったりする可能性があり、すでに「完全な形」で行うのは極めて難しくなっている。

橋本聖子五輪担当相は、会長になるのなら、国会議員も辞職せねばならないと思うが、自民党は離党しても、議員はまだ辞めていない。組織委会長も国会議員も片手間では務まらないと思うのだが・・・。

 3月25日には聖火リレーが始まる。それまでには東京五輪の開催か中止を決めるだろうから、新会長の責任は重い。