2021年、新型コロナウイルスはどうなるか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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  新型コロナウイルスが中国の武漢で流行し始めてから1年が経った。このウイルス感染はどうなるのか、このパンデミックはいつ終息するのか。

  幸い、ファイザーなど各種のワクチンが開発され、海外では既に接種が始まっている。この接種が世界中で順調に進んでいけば、新たな感染者の減少につながり、次第に感染が収束していくものと期待される。

  問題は、発展途上国をはじめ世界中に接種が拡大するのにどれくらいの時間が必要かということである。集団免疫を獲得するには人口の6割が免疫を持つ必要がある。世界77億人の人類の6割は46億2千万人であるが、それだけの接種人数に達するのは容易ではない。

 さらには、ウイルスの突然変異も心配である。昨年末にイギリスや南アフリカで変異株が流行し、世界中がその対応に追われている。また、ブラジルから日本に帰国した人から、別の変異株が発見されている。

 今のところ重症化のリスクはないし、ワクチンの効果も変わらないと言われている。しかし、今後もまたウイルスが変異する可能性はあり、その特性も予想がつかない。

 ワクチン接種が少しずつ行われていったとしても、数ヶ月でパンデミックが終わる状況にはない。SARSのときは、ワクチンなど開発する暇もないまま、なぜか突然ウイルスが消えてしまった。そのような僥倖はコロナに関する限り期待しないほうがよい。

 新たな、しかも感染力のより強い変異株が半年後に出現する可能性も考えておかなければならない。来年6月頃にそうなれば、世界中で往来がストップするので東京五輪は無理である。

 ワクチンが開発され、接種が始まったからと言って、そのような事態が絶対に起こらないという保証はない。万が一、今のワクチンが有効でなくなるような変異種が出現した場合には、万事休すである。

 ジョンズホプキンス大学などの研究によると、新しい感染症は今後10年に1度は発生するそうである。SARSが2002年、新型インフルエンザが2009年、MERSが2012年、COVID-19が2019年であり、10年どころか、発生の間隔はさらに短くなっている。

 平均して5〜6年である。つまり、2025年頃には、新たな病原体が出現し、感染症を引き起こす可能性があるのである。

 このような状況をもたらしたのは地球温暖化だと言われている。温暖化によって生態系が大きく変化し、それが生物の生存圏を移動させ、病原体を人間に伝染させるようになったのである。

 パンデミックになっても、人間はすぐに忘れる。実際に、2009年の新型インフルのときの大騒ぎを多くの人が忘れており、ウイルスと格闘した厚労大臣としては驚くばかりである。しかし、今回のコロナを皆が忘れる前に、次なる病原体が人間を襲う可能性がある。そのように考えると、仕事や生活様式をコロナ以前のものに戻さないほうがよいのかもしれない。