新型コロナウイルスの感染再拡大・・ヨーロッパの教訓 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 11月28日の新型コロナウイルス感染者は2685人と過去最多となった。東京561人、大阪463人、北海道252人など、急激に増えている。死者も14人、重症者は440人、医療崩壊も危惧される深刻な事態になっている。

 しかし、国も東京都も、迅速かつ適切な対応を怠っている。GoToキャンペーンへの対応が、その典型である。

 春の緊急事態宣言発令中の頃を思い出してほしい。感染症対策の原則は、ペストの昔から「検査と隔離」である。東アジアの中で、中国や台湾や韓国(もっとも韓国も今感染が再拡大しているが)に比べて日本は劣等生である。それは、PCR検査を徹底して行っていないことのツケである。

 一足先に感染が急拡大したヨーロッパでは、都市封鎖、夜間外出禁止令、飲食店の営業時間短縮などの厳しい規制措置を再び採った。

 なぜヨーロッパで感染が再拡大したのか。

第一に、経済社会活動の再開である。夏のバカンス以来、日常が回復されるようになった。それに応じて、人々は気の緩みからか、マスクをする、手洗いを励行する、人と人の間隔を開けるなどの感染防止対策を等閑にしていったのである。

 とくに、レストランやパブや喫茶店などでの飲食は、長時間に及び、会話を楽しむことに眼目がある。これが感染を拡大させたことは疑いえない。当然マスクはしない。

 新型コロナウイルスは、無症状のケースが多く、しかも、それでも他人に感染させるという厄介な特質を持つ。経済活動の重要性は十分に認識しながら、ヨーロッパ諸国があえて都市封鎖などの厳しい規制を行う方針をとったのは、何とかしてクリスマスまでに収束させたいからである。

 第二は、水際対策の重要性である。陸続きで移動が簡単なヨーロッパ大陸では水際作戦が思うようにできない。とくに無症状の感染者にはお手上げである。チェコからドイツにウイルスは侵入する。

 以上のことから日本にとっての教訓は、第一に経済と感染防止のバランスを上手くとることが重要であり、今は後者に重きを置くべきだということである。各種のGoToキャンペーンは経済再活性化に大きく貢献しているが、感染再拡大を招いてしまったことは否めない。飲食店の営業時間短縮、会食人数の制限などが必要である。

 第二に水際対策をしっかりと行うことである。11月から、韓国、台湾、ベトナムなど一部の国や地域に対して入国制限を緩和したが、それが海外からのウイルスの持ち込みに繋がる危険性もまた認識しておく必要がある。拙速主義はかえって感染の終息を遅らせる。

 ヨーロッパでは、都市封鎖から2〜3週間で感染のピークは終わり、今は終息しつつある。日本も、今はブレーキを踏むべきだし、何よりもPCR検査をもっと徹底させるべきである。いつになったらドライブスルー検査が実現するのだろうか。為政者の怠慢である。