感染再拡大のヨーロッパ:「優等生」のイタリア | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 ヨーロッパ諸国で、とくに、スペイン、フランス、イギリスで、新型コロナウイルスの再拡大が続いている。

 そのような中で、イタリアが優等生ぶりを発揮している。中国の次に新型コロナウイルスの直撃を受け、大きな被害を出したのがイタリアである。北部イタリアを中心に感染が広がり、これまでで31万人が感染し、3万5千人が死亡している。これは感染者世界ランキングでは19位である。

 ところが、最近は、スペインやフランスが1万人という患者を日々出しているのに対し、イタリアは1500人程度である。なぜ、少ないのか。また、陽性率もフランスやスペインに比べて低い。スペインは13%であるのに対し、イタリアは2%にすぎない。それだけイタリアは、ウイルスの封じ込めに成功していると言える。

 この違いはどこから生まれたのか。

 まず、第一波の直撃で多くの人が死に、ウイルスの怖さを身にしみたため、感染防止策に皆が精を出したからである。イギリスでは、8月くらいからやっと皆がマスクを着用するようになったが、イタリアでは、4月からほぼ全員が公共の場ではマスクを着用している。

 ロンドンやパリやマドリードから送られている映像を見ると、マスクなしの大衆が多い。イタリアでは、レストランも通常通り営業し、学校も再開されている。

 個人主義で政府の旗振りには従わないイタリア人が、ウイルスの怖さを認識して、政府の規制を素直に受け入れたのである。第一波対応への失敗の反省を踏まえて、イタリア全体が一丸となってコロナ感染防止対策を講じている。マスク未着用の場合には、400ユーロ(約5万円)の罰金が科せられるなど、厳しい強制措置も講じられている。

 さらに、サルディニア島にドライブルーの検査場を設置するなど、PCR検査が徹底的して行われている。感染者の濃厚接触者を追いかけ、隔離する。「検査と隔離」という感染症の基本原則が遵守されているのである。

 とくに濃厚接触者については、無症状であっても必ず検査をしている。日本の場合、これが徹底されず、濃厚接触者であるにもかかわらず、無症状者には検査をしないというミスを繰り返していたのである。

 以上のようなイタリアの状況を見れば、感染症の基本に忠実であること、そして無症状者でも他人に感染させ、潜伏期間が長いという新型コロナウイルスの特性に適した対応をすることの重要性が理解できよう。

 ヨーロッパの場合、夏のバカンスでの人の移動が感染を再拡大させた。とくに夏休みは気も緩み、マスク着用やソーシャル・ディスタンスをとることなどを遵守しない人が多かった。人の交流を増やすことは、経済にはプラスになるが、日本も感染防止と経済とのバランスを上手くとり、欧米の轍を踏まないようにしなければならな。