緊急事態を宣言すべきか | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 日本でも緊急事態宣言が出されそうである。最低3週間、欧米の例を見ると、さらに長い期間にわたることが予想される。感染防止は重要だが、そもそも、PCR検査が不十分で正確な感染実態は把握されていない。

 自粛要請だけでも、多くの業界が大打撃を受けている。緊急事態を宣言したからと言って、欧米のように、命令などの大きな権限が首相や知事に付与されるわけではない。さらなる経済の悪化は、多くの犠牲を生む。

 対策は国によって異なる。ロックダウンをしなくても、韓国は感染率を下げつつある。台湾は優等生である。日本も、これまで何とかしのいできている。

 

 イタリアで急速に患者が広まったのは、中国人観光客や渡航歴があるなど中国との関連の深い者のみに注意し、国内での人・人感染に気づくのが遅れてしまったからである。しかも、イタリア北部で、イタリア人の患者が急増し、トリアージュすることなく、軽症者も重症者も入院させたために医療崩壊が起こってしまった。

 死者の少ないドイツとの差は、初期にきちんとPCR検査をしなかったこと、さらには日頃からの医療体制の不整備にある。

 アメリカでも感染者が急増し、とくにニューヨークが厳しい状況になっている。専門家たちは、当初から新型コロナウイルスの危険性についてトランプ大統領に警告したが、彼が聞き入れず、甘く見ていたことが批判されている。

 そして、日本と同様にPCR検査が十分に実施されておらず、この点でも、CDCも含めて、トランプ政権が厳しく追及されている。

 このような批判をかわすために、トランプ政権は大規模な対策を講じ始めており、また、多くの州が緊急事態を宣言している。それが大衆の危機感を煽り、全米がパニック状況になっている。

 マスクなどの不足は、アメリカやオーストラリアやヨーロッパでも日本と同様であり、トランプ大統領は「国防生産法」を使って、医療用品を生産する業界に増産を要請している。

 人の移動が禁止されるということは、経済活動が停止し、世界経済が大きな打撃を受けることを意味する。実際に、世界中で生産活動が停止され、製造業、観光業、飲食業、エンターテインメントなど、あらゆる業界が苦境に陥りつつある。たとえば、主要な自動車メーカーは軒並み生産停止に陥っている。

 休業を強制するのなら、補償を先に約束せねばならない。全ての業界、全ての人が在宅で勤務できるわけではない。緊急事態を宣言するか否かは、大きな政治決断である。

 まさに「正しく恐れる」ことが必要である。