クオモNY州知事の日本への警告  | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 アメリカの新型コロナウイルスの感染拡大は深刻だ。感染者は46万人を突破。とくにニューヨーク州は16万人を超えた。そのような状況下、獅子奮迅の戦いを展開しているのがクオモ知事だ。

 彼は、日本に対して2つのことをきちんと行えと警告しているようである。

 第一は、<Test!Test! Test!>である。今のような不十分なものではなく、PCR検査をしっかりと行えということである。                  

 アメリカで最大の問題となったのが、PCR検査が十分に行われていなかったことである。それが感染が急速に広がった理由の一つとして指摘されている。日本のような国民皆保険でないアメリカでは、検査を受けない人々が市中に感染を拡大させたと見られている。

 人種別の感染比率が公表されているが、ヒスパニックや黒人に多い。貧しい彼らは外出して仕事に行かなければ食えない。白人富裕層が嫌う、いわゆる3K(きたない、きつい、きけんな)仕事に従事し、社会を維持させている。もし、ゴミ収集が止まったらどうなるか考えてみるがよい。

 3月13日、米下院の監査政府改革委員会のマロネィ委員長は、PCR検査が遅遅として進まないことを痛烈に批判した。「1週間で韓国は66000人、アメリカは4900人、今や196000人検査した韓国はドライブスルーのPCR検査もあるのに、米国では医者すら検査を受け付けてもらえない」と指摘し、米国は遅れていると憤慨した。

 このような批判を受けて、トランプ政権は検査体制の拡充を約束し、またニューヨーク州ではドライブスルーのPCR検査を導入したのである。

 私は、これまで一貫してPCR検査の必要性を説いてきたが、PCR検査はしないほうがよいという間違った意見を述べる者が多かったし、これだけ市中感染が拡大した今でもまだいる。彼らは、検査をすれば陽性と判定される人が増えて、イタリアのように病院がパンクするという。

 しかし、初期にPCR検査をきちんと実施したドイツで死者数が少なく、検査を怠ったイタリアで世界一の死者数という事実の前に、そのような愚かな意見は力を失っている。

 クオモ知事の第二の警告は、<Ventilator, Ventilator, Ventilator>である。<人工呼吸器>という言葉であるが、要するに医療崩壊に備えよということである。

 3月初めに、厚労省は重症者と軽症者とで別の措置をとる方針をきめながら、1ヶ月無策のままであった。安倍首相は、まさに医療崩壊を理由に、4月7日に緊急事態宣言を発令している。トリアージュをしなかったツケが緊急事態宣言だとすれば、その責任は大きい。

 PCR検査が医療崩壊を招くという主張は本末転倒の議論であり、「軽症者は自宅で療養、重症者が入院」というルールにすれば済むことである。上述したように、この選別を行わなかったのがイタリアの医療崩壊の原因の一つである。

 医療体制整備は急務である。